【第16話】『最後の挑戦へ』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
完全に取り越し苦労だった…。
いや、あの小道を入ったのは、完全にムダ苦労だった…。
先が見えないのは怖い。
真っ暗なのは怖い。
歩道が無いのは怖い。
トンネルは怖い。
笹子トンネルの経験が僕に、こういう先入観を植え付けさせていた。
経験は、とても役に立つ。
しかし稀に、その先入観が仇となることもある。
環境が変われば、同じ結果になるとは限らないのだ。
この一件で、こんなことが分かった。
ムダ苦労はしたが、
いい勉強になった!
いい経験になった!
良しとしよう!
白馬村へ
トンネルを抜けると、そこは白馬村だった。
標高818m。
白馬駅に向かうため、佐野坂という大きな坂を下る。
道の両サイドにたくさんの木々が茂り、自然の中をひたすら下っていく。
やはり下り坂はキツイ。
9日目、僕の体は、ボロボロだった。
荷物の重さで肩コリはヒドく、
両足にはサポーター、冷やさぬようにホッカイロを貼り、
応急処置用のサロンパスを常備している。
ところどころに出来た靴擦れにテーピングを貼り、
痛みを何とか誤魔化して歩き続けてきた。
こんな今にも爆発しそうな足を慎重に前に出し、一歩一歩下っていく。
でも不思議なことに、気持ちだけは元気だった。
旅に出る前は、気持ちが元気じゃなくて、動く気にもなれなかったのに、
今は、どんなに体が痛くても、気持ちだけが元気で、前に進むことが出来ている。
やっぱり気持ちって大切だと思う。
長い坂を下り切ると、一気に視界が開けた。
スプラッシュマウンテンで最後に落ちるところから見る景色みたいに、パッと視界が開けた。
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