原点回帰 2/3
2月7日 前編
朝6時起き。
普段会社に行くときは7時起きだからつらかった。
前日は大宮から大阪まで来たから移動疲れもなくはない。
関西に帰ったのは出身大学での企業説明会のためだったから、今日が本番。
父親が7時過ぎからお風呂屋さんが開店する15時までは食材配達のバイトをしてるので、
バイトに行くついでに大阪駅まで送ってもらった。
大阪駅から新快速に乗って大学がある南草津まで。
在学中は南草津駅に新快速が停まることはなかったのに、今では停まる。
駅前も昔に比べたら華やかになっていたし、新快速まで停まるようになったから、
大阪まで40分で行ける素晴らしいベットタウンと化していた。
どうやらこの日はうちの大学の受験日だったらしく、駅前は学生さんたちでいっぱいだった。
すごく懐かしかった。
ドラマ「オレンジデイズ」を思い描いて入学して、楽しいキャンパスライフを・・・
って思っていたけど実際は苦労した4年間だった。
残業時間を入れなければ、今よりも労働時間は長かったと思う。
毎月バイト150時間以上やって、夏休みと春休みは200時間以上やって遊んだ記憶なんてほとんどない。
年間160万の学費はそうでもしないと払えなかった。
大学に着いたら出身学科の就職担当の教授、出身研究室の教授、就職課の弊社担当の方に挨拶回りしにいった。
出身研究室の教授は僕のことを覚えていてくれて、昔話なんかしながら最近の就職傾向とか院進学率とか話し合った。
そのあと、400人くらい入る教室で企業説明会。
学生の人数は思ってたほど多くはなかったけど、話す立場としてはかなり緊張した。
これから話す内容によっては学生の今後の人生を左右することになるかもしれないからだ。
会社の概要は関西の人事部の方が説明してくれたけど、具体的な技術的仕事の内容、就職活動のアドバイスなどは僕が説明した。
企業説明会っていう程だけど、僕は理系学生目線での終始就職活動について話した。
日本人の平均寿命が80歳だとして、学生さんたちはだいたい20代前半。
単純に考えて残りあと60年程の命だ。
その中の40年を就職した会社で働くことになる(転職とか起業はおいといて)。
その40年間を決めるのはこの就職活動の時期だけで、短い人は推薦使って1発で決まるから2ヶ月くらい、長い人でも1年くらいだろうか。
その短いスパンの中で自分のこれからの40年を左右すると思えば結構怖い。
どの会社がマッチしているかなんて入ってみなければわからないし、本当にやりたいことを突き詰めていくとわからなくなってくるもんだ。
だから、その“ぶれ”みたいなものをどうやったら収束できるかを話した。
高校2年か3年のときに文系か理系の選択を迫られる。
16年くらい生きてきた中でその時自分が何系なのかを判断しなければならず、テストの点がいいほうだったり、得意分野を選択する傾向が強い。その時はそれでいいかもしれない。
大学生活はそれまでの人生とは違った世界が待っている。
18歳になれば車の免許が取れるから、車に興味を持つ人が増えるだろうし、旅行に行く人も増える。高校生ではできなかったジャンルのバイトもできたりする。20歳になればお酒も飲めるようになるし。
ほとんどの人が地元の高校に通うだろうから、同じ出身地で、離れてても±2年くらいの年齢層の人としか話す機会がない。バイトをしていれば話は別だけど。
でも大学だと全国から人が集まってきているし、年齢のばらつきも高校のとき以上にある。
サークルに入って今まで経験したことがないことにチャレンジしたりすることも簡単にできる。
SNSを使えば、イベントやオフ会なんかにも参加できる。
そういった環境下で4年間も生活していると、高校生の時に判断した文系理系の選択をもう一度見直す必要がある。
新しいことにチャレンジし、多くの人と話せば大きく見識が広がるからだ。
だから僕の場合、3回生の夏から本格的に就職活動を始めて、すべての業種の説明会に参加した。
商社、金融、アパレル、コンサル、メーカー、化粧品、旅行、製薬、自動車、IT、鉄道・・・
そうしていく中で新たな自分の発見ができたり、改めて自分が理系なんだと強く再認識できた。
人と話したり、物を売ったりすることがすごく得意なんだけれども、“モノづくり”をしたいって思った。
そこからはメーカーにフォーカスして活動して行った結果、現在に至るわけで。
やる気についても少し話した。
僕は人がやる気になる理由が2つあると思う。
1つは、自分が好きなことや興味のある仕事をやっている時だ。
好きなことならサービス残業でも構わないって思えるし、純粋に楽しい。
でもそんな仕事はなかなか回ってこないもんだ。
2つ目は人だ。これが一番重要。
この同僚のためなら、信頼している上司のためなら、部署のためならって思えれば仕事内容に関係なく最高のパフォーマンスができるはずだ。
最初からそういう環境が整っているところは少ない。
かなりエネルギーが必要だけど、自分で作っていくのが一番手っ取り早いと思う。
社会人になってまだ3年しかたってないのに偉そうなこと言うな!って思った学生さんもおるやろう。
会社的にもそんなことよりイメージアップするようなことを話してほしかったと思うし。
話し終わった後はひたすら質問タイム。
意欲的な学生さんが多くてうれしかったし、何より僕に興味を持ってくれたことが一番うれしかった。
うちの会社に入社してくれたらうれしいけど、一番はやっぱり行きたい企業に行って欲しい。
母校の後輩たちがそれを実現できるようにサポートすることが今回の俺の目的だった。
少しは役に立てただろうか。
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