「七転び八起き」は実話っていう自分がイヤ!!
人には様々な人生が待ち受けているもの。でも、続き過ぎると「マジで、もういいか?」と自分に問うレベルです。今まで語ることのなかった超個人的体験談を綴ります。
ー事実は小説より奇なりー
そうです。
一人の人間が、一度や二度、落とし穴のような体験はするでしょう。
でもそれが、ずっとずっと続くとしたら?
対応するのは自分。
記憶にあるのも自分。
誰にも知られることなく、体験が積み重なったので、いい加減、楽になるために「書き下ろし」ます。
〜1〜
当然のことながら、両親がいて、私は産まれました。
気づいたら、父はいなくて、「母子家庭」(後に気付く)といわれる環境で育ちました。
ここですでに、ー事実は小説より奇なりー の例としての体験談を一つ。
その前に、「父と姉との三人暮らし」があったのです。
思い出すのに時間がかかった。
どういう状況かというと、アパートに姉と2人でお留守番。
なにをどう食事したとかは覚えていません。
アパートだけど、父と姉と三人で一緒に寝れる大きなベッドがありました。
スプリングの利いたベッドで思いっきり、姉と跳ねて遊んでいたら、父が「おいおい、そんなに楽しいか?でもな、ベッドのこの下にはクッションがあって、それが壊れてしまうかもしれない」
気を使って、父が窘める様子に、「そうなの。止めとくね」と答えたのを覚えています。
ある朝目が覚めると、知らないおばさんがいました。
父は「今日から、この人がお前らの世話をしてくれるから、あまり困らせんようにな」
と言って、紹介されたあと、父は家を出て行ってしまいました。(仕事に出たわけです)
おばさんの怪訝な顔を今でも忘れることが出来ません。
私は少し寂しそうにしました。
おばさんは、きまり悪そうに、
「何か食べたいものあるの?」
のようなことを聞いてくれた。
ですが、全く見ず知らずのガキを可愛いと思えるでしょうか?
私が、台所で何か上手く出来ないことがあって、「そんなことも出来ないの?!」みたいに言われたし(そうです。姉と二人でいるということは、躾も何も学ぶ機会がないということです。それは、薄々感じていただけに、あたり過ぎてて痛かった)、食器の洗い物が終わり、ふんという顔をしたかと思うと、
「良い男かと思ったら、こぶつきか。どーりで、、、。」
私は正直困りました。
おばさんは、「私が子どもだから、わからないと思って本心を口にしたけれど、私、言ってる意味わかる。知ってしまった以上、この人を、父の側に置くのがいいのかどうか」考えました。
理由は簡単、おばさんは、父の前では「良い人」ぶるのは当然のことです。
そうなれば、父は彼女の本心を知らぬまま、私たちを安心して面倒みさせるでしょう。
それもどうだろうか?
自分達の世話を自分で出来ない年だということは分かっている。
あのおばさんは、世話してくれるかも知れない。
でも、可愛がってくれそうにはない。
おばさんは被害者かもしれない(知らずに、来てるわけだから)。
「かなわんなー」
この年で(小学校に上がる前)、このようなことで悩むことに少し嫌気がさしました。
そして、夜、父が帰ってきました。
おばさんが向こうを向いているときに、父がこそっと私を呼びました。
「あの人どうや?優しくしてくれるか?」
この質問もさらにイヤだった。
だって、どう考えても、幼児が答える内容じゃない。
でも、父も考えた末、自分達の面倒をみてくれる人を探して(どうやってかはわからない)、いわゆる父子家庭としては、精一杯だったのがわかる。
でも、イケズをされたのも事実だったので、本当のことを言いました。
「あのおばさん、良い人じゃないよ。お父さんが出て行ったあと、態度変えるもん」
父は心配そうに、
「なんか、されたんか?」
と聞きましたが、
「ううん、特別になにかあったわけじゃない。でも、お父さんが出て行ったあと、『良い男かと思ったら、こぶつきか』って言ったよ」とそのままの台詞を言いました。
あとは、そのおばさんが放り出されたわけなんですが、そのときに「私、なんか悪いことしたかな?」と少し罪悪感を感じました。
確かに、助かった部分もあるのです。
騙したのは父の方かもしれない、でも、父は私達のためにやったのだと思うと、何とも言えない気持ちが残りました。
深い疑問は、父はなぜ「姉」におばさんについて質問しなかったのか、になります。
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