背中合わせの合鍵
彼女はたまにアイコンタクトで“似合ってるよ”
みたいな視線を送ってきました。
その日以来、休みの日は彼女から食事を誘われて行くようになり、
自然の流れで付き合うようになりました…。
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「背中合わせの『合鍵』」
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桜を見ると今でも思い出します………
水商売を始めた当初、 僕は短い期間で転々とお店を渡り歩いていました。
自分に合ったお店を探していたんです。
そうやって何件ものお店でお世話になり、人として大切なたくさんのことを学びました。
今回のお話は、僕にとって忘れられないあるお店でのストーリーです。。。
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僕がそのお店に入店した当初、まずは平社員からのスタートでした。
主任以上の役職をもらえるとネクタイをしてジャケットを着る事ができたんですが、
ヒラ社員の場合は白シャツに蝶ネクタイ。
その格好がダサくて嫌でしかたありませんでした。
早くネクタイをしたい。
そんな見た目からの欲だけで、僕はがむしゃらに頑張って、
すぐにホール長を経て、念願の主任になりました。
これでネクタイにジャケットが着れる!!
嬉しくてしかたありませんでした…。
当時の僕は三軒茶屋という場所に住んでいて、
近くには自由が丘というオシャレな場所があります。
自由が丘には近くに目黒川も流れていて、春になると川沿い一面が桜並木に。
夜のお店用のスーツは渋谷などで買っていましたが、ネクタイぐらいは自分へのご褒美として、オシャレな街、自由が丘で買う事にしよう。
そんな感じで休日に自由が丘から目黒川に向かって
散歩をしながらお店を探しながら歩いていました…。
???
「あれ??
リュウ主任さん…だよね?
なんだ!私服だからすぐには解らなかった!」
声の方に目をやると、働いていたお店の人気キャストでした。
僕と同じ歳でしたが、AKBのこじ◯るそっくりな、とても大人っぽくて色っぽい感じの女の子でした。
桐リュウ坂口
「なんで自由が丘にいるんですか?
自分はわりと近くに住んでるんですけど…」
こじ◯る似のキャスト
「私ね、自由が丘で昼は美容師やってるんだよ〜
で、今日はオフだったんだけど、お店に荷物を取りに来たの。
それでね、桜が綺麗だからブラブラしてたんだよっ。」
昼と夜の掛け持ちだったんだ…。
毎日のようにお店で顔を合わせていたのですが僕は全く彼女のことを知りませんでした。
美容師はなんだかんだ結構お金がかかるの!!と、少し怒った顔が可愛く見えました…。
こじ◯る似のキャスト
「桐リュウ主任君は何をしてたの?
まさか桜を眺めに来たとかロマンチック
な事を言わないでよね〜〜〜??」
僕は主任昇格の記念に、ネクタイを買いに来たと伝えました。
こじ◯る似のキャスト
「自分にプレゼント?
嫌だぁ。そんなの寂しくない?
じゃあ…、ここで会ったのも何かの縁だし、
いつも頑張ってくれてるから私が買ってプレゼントするよ♪」
いや、いきなりそんな訳にはいかないです!と断ったんですが…
どっちが給料多いと思ってるの〜?と自慢げに言われて…
お言葉に甘えて買ってもらう事に。
こじ◯る似のキャスト
「これがいい色だし絶対に似合うよ!!
大人っぽくてデキル男!!
って感じ。
じゃあこれで決まり!!」
本当はシックな暗めの色が良かったんですが、
彼女が買ってくれたのは。。。
桜の花と同じ、淡いピンク色のネクタイ…
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