クレーム受付係として毎日怒られ謝り続けていたOLが、たくさんのお客様から感謝される仕事に出逢い『あなたじゃなきゃ』と笑顔で言ってもらえるようになった話

<

2 / 4 ページ

>
著者: 岸 朝美

嘘みたいな事実


彼女たちのように 楽しく働きたい


そうは思っても、現実は甘くなかった。


まず、自分にできそうなことを探した。


すると、なんと・・・


・・・ひとつも無かった。


主に事務職しか経験してこなかった自分には


できることが、ない。


昔から続けていることもなく、

これと言って特技もなく、

仕事にできるようなスキルがなにもないという現実。


でも有難いことに

私には、やる気があった。


丈夫な体があった。


そして、割と忍耐力もあったらしい。


その時は気付かなかったけど。


そして、何もできない割に

前向きだった。



何かできるようになればいい


だったら、何かできるようになろう


そう思っていろいろ試してみた。


アロマ(女の子らしくて可愛いかも)

ネイル(自分で出来たらいいな~。やってみた。でも挫折)

料理教室の師範資格(ただ楽しく通っていたら取れた)

イヤーセラピスト(痩せられるかも)


服とネイルと美味しいものくらいしか興味のない

お気楽OLの私が思いつくことなんてたかだか知れていて、

できたらちょっと可愛いかも、得かも

そんな事くらいしか思いつかなかった。


いつの間にか父の言葉は忘れていた。


自分のことしか考えていなかった。



バカでよかった!

資格は取れても、活かすことができない。


いくつ取っても、何を取っても。


そんな私に、チャンスが巡ってきた。


そのチャンスは、

ちっとも『チャンスですよ』なんて顔はしてくれてなかったけど。


一言で言うと、会社を辞めることになった。


ただ、結果的には、それがいいきっかけになった。


取得した資格のひとつで料理教室の講師として働くことになった。



教室で生徒さんたちは、楽しそうだった。

「楽しい」「わかりやすい」

そう言ってリピートしてくれる生徒さんが少しずつ増えた。


できが良くなかったおかげで、

「できない」気持ちがよく分かった。


「できない」が「できる」ようになって、楽しそうだった。


生徒さんが笑ってくれて楽しそうで、本当に嬉しかった。


思えば、もう何年も
人を笑顔にするようなこと、できてなかったなぁ

いつも笑顔で

「ありがとうございました~!」と言って帰って行く生徒さんを見て、


人から笑顔で「ありがとう」と言われる仕事って、

なんて楽しいんだろう!


そう思った。


久々に、父の言葉を思い出した。

初めて父が言っていたことの素晴らしさが分かった気がした。


取り敢えず始めた講師の仕事でこんなに楽しいなら、

本当にやりたいことだったら、

どれだけ楽しいんだろう!


頭をよぎったのは、美容に関する仕事だった。



高校卒業と同時に進みたかった美容の道。

唯一向いていると思えたことだったのに、

断念してしまったことを、ずっと後悔していた。


若くないとできない


そう思い込んでいた道だった。


既に30代に突入していた。


だが、どうだろう。

私の周りの30代の女性達は、どんどんやりたいことをやっていた。


数年前、起業している女性達の会に参加して以来、

私の周りは、そういう人たちばかりになっていた。


私はツイていた。

著者の岸 朝美さんに人生相談を申込む