ドバトの犠牲者

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 既に私が入居する前から、その不法占拠客はエアコンの室外機裏に巣を作っていた。そして、雛を孵しては成鳥まで育て、その成鳥も群れを成して、わがベランダに住み着いていた。

 当方、マンションの6階、この高さになると虫が飛んでこない。それに満足していたら、ドバトというのを相手にしなければならなくなった。

 当然、ベランダは糞だらけ、洗濯物なんて干せるものではない。匂いがきついので、夏と冬は窓を閉め切ったままだ。

 これがどういうことなのか、ようやく重い腰を上げ、ネットで調べてみた。すると、相当良くないことが起こっているらしい。

 まず、ハトが空飛ぶネズミと呼ばれているぐらい不衛生な事、糞はいわずもがな。そして、糞は一種のマーカーのようなものであり、これがたくさんある所に安心して住み着くようになるというのだ。

 ここまでくれば個人での対応は不可能ということで、業者呼べと書いてあったので、とりあえず管理会社に相談した。

管理会社のお姉ちゃん
鳩は鳥獣保護法で、勝手に捕獲することが禁止されていますからねえ・・・・・・

 なんでそんなことこちらに相談するの、と言わんばかりの対応。ただ、後日、巣の撤去に来てくれた。が、これだけならわざわざ業者呼ばなくとも自分でやれそうだった。

 そして、跡地には捨てる前の資源ごみ袋を置いて、隙間を塞ぎ、これで一件落着、、、、、というわけにはいかなかった。


室外機の裏は捨ててない資源ごみ袋で封鎖し、これで一安心していたが、年末、それを捨てようと取り出してみたら、排水溝とわずかの隙間を使って巣が作られていた。

 そして、相変わらず、手摺りは我が物顔で歩き、ところどころマーカーで糞をするという最悪なこともしでかした。



↑これが頭を悩ませているハトのつがいである。


もちろん巣は除けたが、除けただけではまた作りにくるだけだ。ここをハトの住処にさせないためには・・・・・・、被害から1年ぐらいたち、ようやく本腰を挙げて対策を取ることとした。


手摺り置き用の剣山(ゴム製)及び忌避剤(メントールの匂いがする)


ハトの天敵、蛇及びカラスの置物


これで鳩が嫌がるか・・・・・・

結果は・・・

全くといっていいほど効果がなかった。


剣山があろうが、多少歩きにくいというだけで、普通に留まっている。ましてや、動かない天敵のギミックには何の反応も示さない。

その頃、近隣の部屋もハト害で悩んでいるらしく、周りを見れば、ネットが張ってある部屋もあった。が、私はネットを張るのには消極的だった。なぜなら、このマンションは近隣では最も高く、更にその最上階のベランダであるため、この眺望がネットで害されるのが嫌だったからである。

しかし、ある日、透明の鳩除けネットというのを発見した。これならあまり眺望を害さずに済むかもしれない。というわけで、ネットを買うことを決断したのである。

 次々と鳩除けに失敗しては、まるでそれをあざ笑うかのようにドバトは平然とベランダを闊歩していた。

 いくら掃除しても糞が絶えないのは当然として、何度撤去しても巣は作るわ、卵を産むわで・・・・・、挙句の果てには、目の前で公然と交尾をすることも何度かあった。

  そして、最後の手段として鳩除けネットを購入


これで初めて効果が出てきた。剣山のうえにネットを絡ませると、なぜかハトは寄ってこなくなった。


が、肝心の室外機裏はベランダの手摺りにコンクリートの切り込みがあって(排水用だと思うが、ここにこんなの作るなよ!!)、ネットで塞ぐには一工夫も二工夫も必要な所だった。

そんな中、そこでまた巣と卵を発見、ここで少し考えを変えてみた。

ここで、撤去して塞いでみても相手はネットをめくったり、或は破壊してまででもやり抜くだろう。この際、最小限の営巣スペースを提供する代わりに、占用料としてその生態を洗いざらいにしてやる!

 かくして、室外機の上にネットカメラを設置し、産卵からの生態を洗いざらい観察してみることとした。

 卵の抱卵は主に朝~夕方までは雄が、夕方~翌朝までは雌がすることとなっている。



↑は昼間に抱卵する♂ハト




↑は夜間に抱卵する♀ハト



ちなみに、この時でも♂は棒でつついたり、水をかければ恐れおののいて退くが、♀は羽パンチで抵抗したりして絶対にどかない。この段階で巣を撤去するのならもう♂が抱卵している時間を狙うしかなかろう。ま、♂♀交代の時も巣は空くが、ほんの数秒の間でしかない。


母は強しというか、♀は既に覚悟が備わっているようで、きちんと抱卵していた。これは絶対に孵すつもりだ。


一方の♂はというと、




試しに巻いてみたウチの古米を食いに巣を空けることもあるし、抱卵するというよりは、ただ、上に乗っかって卵の番をしているようなもの。この時点では父ちゃんのほうがだらしないようにも見える。



こういうことが約10日ほど続き、ついに雛が孵った。

 雛が孵った


孵化後、しばらくして




鳩の雛は黄の産毛と、黒に近いグレーの羽毛がミスマッチすぎるので軽いグロ感があるが、見慣れるとそれなりに可愛いものだ。特に、うちの雛は大人しかった。掃除のために、何度か場所を退けることがあったが、さしたる抵抗も見せずに素直に従ってくれた。多少の怯えはあるが、「なるようにしかならない」と達観しているのか、私(人間)に対する態度は好印象だった。


が、親鳩が来ると、その態度は一変する。

いきなり「ピィー!ピィー!」とけたたましく鳴き、親の嘴に自分の嘴を突っ込み始める。つまり「餌よこせ」のサインだ。


詳しく言えば、雛なので餌は親からの口移しが原則、鳩の場合は10日頃までピジョンミルクという親鳩のそのうからの分泌物を飲んで成長するらしい(ミルクというけど、♂でも出ます)。ミルクの割合が減るようになっても、親が取ってきた餌を同様に口移しするので、雛にとってはこれが生命線といえよう。




これは♂の給餌






こっちは♀の給餌、ってか目突くなよw


あまりにもやかましいから、足で押さえつけてやる!w


給餌の現場はサバイバルだw

 雛は成長する。1か月ぐらい経てばほぼ成鳥並の体つきだ。

 そして、それに伴い、糞の量も膨大なものになる。もはや枝で作った巣は糞まみれでどうしようもない汚さと悪臭を放っていたので、段ボールを提供する代わりに撤去した。 





が、数日するとすぐ汚れるので、下に敷き紙なり砂を用意すればよかったのが反省点。



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