「高木教育センター」の、ありふれた日々

8 / 8 ページ

  私の最大の敵は、家族だ。

最初の危機に陥ったのは、塾がまだアパートの一室にある時だった。コンピューターを導入して生徒ひとり一人に毎月偏差値と順位を知らせた。すると、母は

「そんなことしたら、あなたの息子はビリみたいになって近所づきあいが・・・」

 と私を止めようとした。

 塾を建てたら利息も含めて1億くらいの借金を背負い、娘が三人生まれて何がなんでも生き残らないといけない決意だった。その頃に、特待生制度を作ったら奥さんが

「ヒドイ!そんな差別をするなんて」

 と私を責めた。外で戦い、家に帰っても戦いだった。他人なら、ある程度距離を保てるが、家族はダメ。子供の頃は、親は息子を励まし、奥さんは旦那を支えるものだと思っていた。

 しかし、現実は違った。四面楚歌だった。それ以来、私はハンバーガーを食べながら、動物愛護を叫ぶ人に嫌悪感を抱くようになった。偽善者。そんな偽善者が増えれば、Bくんのような犠牲者が出るだけだ。赦せない。

  家族は、感謝するべきことが多いため戦うのが難しい。しかし、情に流されると自分の生きる道を見失う。

第九章

「最高の学習環境」

  私が英語の勉強、数学の勉強に集中し、京大を7回受けていた頃、家族と戦いながらの学習環境だった。最終的に、バツイチになった。家庭裁判所で面接交渉権を得るための戦いの中で、英語や数学に集中し30年ぶりのオジサン受験という状況だった。

  特に不運だったと思っていない。もちろん、トラブルの最中は

「なんで、私が・・・・」

  と思った。法廷離婚理由になるような行為はなかったから。

  しかし、もと奥さんが持ち出した共有財産を処理しないと長女の大学の授業料が払えない。離婚して取り返す決意をした。ベストの道ではないけれど、選択の余地がなかった。

  そうして苦労の末、高校クラスも順調に進んでいったがエリート教育と批判された。この社会は歪んでいる。しかし、「捨てる神あれば拾う神あり」と言う。支持者も増えていった。

  塾生の子たちを見ていると、逆境にある子の方が性根がすわっていて強い。温室育ちではダメなのだ。何が起こっても、どんな環境にあっても一本筋を通さないと難関校の合格など不可能なのだ。

  でも、本当に経済的に困って塾にも来られない子がいる。経済的に助ける方法はないのだろうか。知恵のある人、情報をお持ちの方は教えて欲しい。

  私は、毎日多くの人の命を救うであろう医学部志望の優秀な生徒をたくさん指導させてもらっている。この子たちに、投資すれば日本の科学技術が伸びることは間違いない。箱物に投資するより、ずっと日本のためになる。

 お金持ちの方のメリットにもなり、優秀な学生のためにもなる投資の仕組みが作れないものだろうか。大学までたどり着くと、私が利用させてもらった留学制度などが充実している。

  しかし、もっと若い中学生や高校生の子にお金の心配がない環境を与えられる制度ができたらいいのに。苦学生の過酷な環境を乗り越える試練が必要なのだろうか。私にはよく分からない。

第十章

「中間報告」

科学の心で、受験指導に向かうと英語と数学に関しては私のやった道をたどると思う。ところが、

「京大の英語で8割を超えました」

 とネットで成績開示したら、2種類の反応があった。一つは、

「ぜひ、英作文の添削をお願いします」

 というもの。もう一つは、

「英語講師のくせに、2割も間違えて。信用できん」

 というもの。京大のトップクラスが8割くらいで、英作文や和訳は客観テストだから間違いというのではなくて「評価」だという基本的知識さえない。そういう人に反論しても仕方ないので、スルー。

  数学も同様に、

「高校数学の指導ができる人が、この地区にいない」

 といって塾に来てくれる。

 しかし、一方で

「7割で恥ずかし気もなく公開している」

 という罵倒もある。たぶん、京大だけでなく、旧帝は医学部以外は65%程度で合格できるという基礎知識さえないのだろう。反論する気にならない。

  授業をやっていても、

「先生、コレお願いします」

  と言われて、

「これはリミットとシグマで積分の定義になるから」

  と言えば、

「そっか」

  で終わる子が多い。分からないと、計算までアレコレやるしかなくなる。そして、分からない子ほど計算でミスをすると

「先生が間違えた。講師失格!」

  と騒ぐ。賢い子たちは、計算など実はどうでもよくて本番も筋道を書いたら得点が大部分くると分かっている。

  そういう授業を10年も繰り返すと、国家予算(税金)を同じように全員に配分するのは間違いのような気になる。

「成績の良い子は進学校に進むのだから問題はない」

 と言われるだろうか。

「成績優秀な子だけに奨学金が出るから問題はない」

 と言われるだろうか。

 大村先生の言われるように、

「学問は人の役に立たなければ意味がない」

 とするなら、投げやりな態度で勉強している子たちは勉強で「人の役に立つ」可能性はほとんどない。他の道で人の役に立つべき。

  私自身、ストレスから入院したこともある。あまりのストレスで信号を見落として危ない思いをしたこともある。

「これ以上、ロクでないしの相手をしたら殺される!」

 と真剣に思った。これは、正当防衛なのだ。イジメから逃走するしか、自殺を逃れられない生徒と同じだ。私はマジメな生徒だけを相手にする塾を作るつもり。

 今もA子ちゃんのような子が当塾にいる。何とかして彼や彼女の経済的負担を軽減してやりたい。でも、私の知恵には限りがある。彼らは、必ず日本のために懸命に働いてくれます。才能豊かです。何か知恵はないものでしょうか。

 

  未来のノーベル賞候補の子たち。受賞するまで無名のまま放置しておくマスコミは、今日も芸人のバカ騒ぎばかり放映している。そんな人たちにお金が流れて、多くの人を救っている人たちにスポットライトが当たらない。この日本の現状を変えましょう。

 賛同していただける方は、ネットで拡散をお願いします。衆知を集めれば、彼らを経済的に支える方法が見つかるかもしれません。

 

著者のキョウダイ セブンさんに人生相談を申込む

著者のキョウダイ セブンさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。