アスペルガー症候群の僕が社会に過剰適応した話
はじめまして。せみ太郎といいます。31歳既婚、2児の父です。
突然ですが、僕は(恐らく)アスペルガー症候群です。このことに気づいたのは1年前ほどで、それまではまさか自分がそのような状態であるとは思いもよりませんでした。しかし6年ほど前に結婚した妻と家庭生活を送っていく中で、どうも自分は他の人とは異なる特徴が多くあることに気づきました。かつ、その特徴によって妻との意思疎通がうまくいかなかったり、離婚も視野に入れた話し合いに発展したり、多くの問題が起こっている状況です。確定的な診断を得たわけではないですが、恐らく間違いないのではないかな、と考えています。
以下サイトで、簡単なアスペルガー症候群の診断テストができます。
http://asperger.health-ask.net/inspection/selfcheck/
僕は以下のような点数でした。
得点合計=80点 (100点満点)
社会的スキル:18点
注意の切り替え:15点
細部への注意:16点
想像力:12点
コミュニケーション:19点
(このテストでは、得点が高いほど自閉傾向が強いことを意味します。66点以上は自閉的傾向と診断されます。)
66点以上が自閉的傾向と診断されるとありますが、僕は80点なので、自閉的傾向が割と強いのではないかと考えます。このような傾向を持ちながらにして、これまでは自分でそのことに全く気付いていませんでした。ですが、確かに、以上のテストをやったり、各種サイトでアスペルガー症候群の特徴を調べてみると、自分に思い当たる節がとても多くあるのです。
例えば、社交的な場が苦手ということ。確かに自分にはそういう傾向があり、どのように雑談などの話を進めていったらいいのか分からないことがよくあります。あるいは、注意の切り替え。同時に2つ以上のことはできない、といったことも、確かに自分によくあてはまるなと思います。さらには、想像力の欠如。相手の気持ちを慮ったり、想像したりすることが極端に苦手です。そういえば、そのことによって子供時代苦労した記憶があります。また、意味のない数字(電話番号や、クレジットカードの番号等)をあまり意識せずに覚えてしまったり、人の誕生日をやけに覚えていたりといったこともあります。
一方で、アスペルガー症候群には記憶力がよいという特徴があるそうですが、そのこともよく自分に当てはまると思います。ですから、テストなどは昔から得意で、特に暗記物は苦もなく高得点をとっていたような気もします。
以上のような特徴を持つ僕ですが、今回お話したいのは、こんな僕がいかにして社会に過剰適応していったか、ということです。以前、ある程度アスペルガー症候群等の発達障害に対して造詣の深いカウンセラーさんにお話を伺ったことがあるのですが、その方がおっしゃるには、僕は一見したところ全く発達障害を抱えているとは分からないほどコミュニケーションが自然である≒過剰適応している、とのことです。確かに、自分はなんとなく生きづらさを感じながらも、何とか構造的に問題を把握し、自分なりの適応策を編み出し、誰に相談することなく徐々に適応を進めていった経緯があります。結果として、今は一般的な企業で営業職として普通に働いているという、何ともよくわからない状況になっております。
そんな僕の苦闘の経験が、少しでも同じような苦しみを抱える人の手がかりになればと思い、また妻の勧めもあり、今回自分の話を書いてみようと思いました。アスペルガー症候群の発症率は100人に1人と言われているそうですが、実際に診断を受けている人はもっと少ないそうです。生きづらさを感じている方々にとって、「そういうことだったのか」という気づきを提供することができれば本望です。僕自身、自分が社交的な場が苦手なことや、相手の気持ちを想像することが苦手なことについて、自分の能力が足りないのではなく、脳機能の問題だったのだな、と分かって、すごく気が楽になりました。人には向き不向きがあって、自分に向いている領域で一層努力すればいいかな、という気持ちになれたのは大きかったです。
仕事もそれなりに忙しく、どれだけ続けられるか分かりませんが、徐々に書き溜めていきたいと思いますので、更新については気長にお待ちいただければ幸甚です。また、自分はアスペルガー症候群なのではないか、と思われる方や、その配偶者の方で、こんな場合はどうなんだ、とか、なぜこうなってしまうんだ、といった疑問等ある方はいつでもおっしゃってください。可能な範囲でお答えできればと思います。
せみ太郎
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