高木教育センターのありふれた日々(8)

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 私は自分も信用していない。客観的なデータしか信用しない。それで、実際に体験して経験値を得ようとしたのだ。すると、分かる人は分かるらしく、地元の高学力の子が集中して来てくれるようになった。

50代のオジサンが高校生に混じって「京大模試」や「センター試験」を受けるのは奇妙な光景らしい。京大受験生に混じって「京大二次試験」を受けるのも、おかしな光景かもしれない。

 しかし、受験指導に真剣に向き合うと当たり前の行為だと思っていた。ただ、優秀な生徒の支持が広がり、京大医学部、阪大医学部、名大医学部などの合格者が出始めて

「これでよかったのかも」

 と思った。

 

第七十九章

「お前の母ちゃん、出べそ!」

  昭和40年代のバカな悪ガキの決まり文句は

「お前の母ちゃん、出べぞ!」

 だった。しかし、正常に成長する子たちはいつしか決まり文句を忘れていく。中学生になると、そんな幼稚な悪口が相手になんの打撃にもならないどころか

「アイツはいい歳して馬鹿だ」

 と軽蔑されて相手にされなくなるからだ。ところが、塾で指導していると10年に1人くらいの極少数の割合でこういう正常な成長が出来なかった子に出会うことがある。中学生どころか、40代や50代にもこのタイプの人がいることを知る。

「てめぇみたいなチンケな塾はつぶすの簡単だぞぉ!」

 と叫んだ保護者の方もみえた。威力業務妨害で警察を呼んでもよかったが、そんなことをする時間もエネルギーも無駄なのでスルーしておいた。私の塾がどうなるかを決めるのは授業。授業が良ければ支持者がいて、つぶれない。

 たぶん、自分はそういう脅しに弱いから他人も同じだと信じているのだろう。幼稚園の頃から成長ができなかった例だ。大人はそのような脅しが効かない。少なくとも私には効かない。

 私に向けて誹謗中傷をする人は

「これでビビるだろう」

 と考えているのだろう。それは、自分がそういう誹謗中傷をされたら嫌で怒るからだろう。他人も自分だと固く信じているらしい。全然ちがうのに。だいたい、電話もネット関係も業務を分担しているので嫌がらせは私の目に入らず耳に入らないことが多い。

 必要な情報だけ担当の者から連絡が入るシステムにしてある。

 でも、愚かな人は50になっても60になっても「バカは死ななきゃ直らない」と昔から言うように愚かなまま。だから、関わらないのが一番だ。近寄らせない工夫をすることが一番大切。

 50代になっても

「お前の母ちゃん、出べそ!」

 と言えば、相手が困ると考える時点で思考回路が壊れているとしか言いようがない。そのような相手に論理的に語っても理解できない。

 墓場まで

「お前の母ちゃん、出べそ!」

 と言い続けるのだろう。

第八十章

「北勢中学校の生徒はアホばっか!」

   私の塾生の高校生の子たちは

「北勢中学校の生徒はアホばっか!」

 と言っている。隣町の「桑名市」にある陵成中学校や光陵中学校では、毎年四日市高校に15名前後の生徒が合格するのに、北勢中学校では去年も今年も1名なのだ。

 合格率でいうと、陵成中学校などは上位の10%くらいなのに、北勢中学校は1%にもならない。実に、10倍の差だ。同じ公立中学校なのに、どうしてこんな格差が生まれるのだろう。

 生徒たちは正直だから

「北中はカスばっか!」

 と言うけれど、大人だってこの現実を知ったら同じように感じるだろう。もちろん、結果には必ず原因がある。地元の生徒は気づいていないが、学習環境が悪すぎる。クラブばっかりやって勉強は放り出すし、結果が出なくても

「勉強が全てじゃないよ」

  という左翼教育が盛んなのだ。授業によっては強制的に机を5つ固めて「教えあい」を奨励する。これは、誰も助けてくれない受験の現状と真逆の精神を叩き込もうとしているわけだ。

「誰も助けてくれない」

  というのが受験の現状だ。日本一「日教組」の組織率が高いのが三重県。そのせいで、偏差値追放、業者テスト追放。その成果が出て、今年(2015年)「三進連」という最大の業者テストが倒産した。しかも、この地区では自分の校内学力テストも知ることが出来ない。教師が隠蔽する。順位を知らせると競争心を煽るというのだ。

  つまり、この地では「校内順位も偏差値も知らされず」「業者テストのデータ」もなく目隠し状態で入試の本番に立ち向かわなければならない。これを異常状態と言わずして、なんと言うのだろう。生徒たちが気の毒でならない。

 私の塾生たちは、幸いだ。順位も、偏差値も、過去問も、各種データを提供しているのだが、保護者の方たちから苦情が来ることもある。この地は、ガラパゴス島のように日本の状態から隔絶している。

  この状態で、正常の競争社会に放り出される生徒たちはどうなってしまうのか?「愛」「絆」ときれいごとだけを教え込まれて、高校からはキッチリした格差社会。AランクからFランクまで大学は序列がついているし、就職するときや結婚するときに「学歴」が顔を出す。

  この社会の良し悪しは別に議論するとして、とりあえず生徒たちの将来を考えるのなら

  • クラブ活動の強制はやめる。

  • 校内順位、偏差値などの情報は本人に公開する。

  • 班教育はやめて一斉授業にする。

  • の3点は今すぐ実行すべき。もう手遅れ感は否めないが、何もしないよりマシ。

    「北勢の奴らはカスばっか!」

      いつまでこんなことを言わせておくつもりだろう。

    「弱い」「よく立ってるな」=自殺の中1、部活で―名古屋市教委

     11月16日(月)20時32分配信

     

    名古屋市西区の中学1年の男子生徒(12)がいじめを苦に自殺したとみられる問題で、市教育委員会は16日、同級生らに行った聞き取り調査の結果を公表した。男子生徒は所属していた卓球部で「弱い」「よくそこに立っているな」と言われたり、クラスで他の生徒に弁当を食べられたりしていたとの証言があった。調査は部活を中心に生徒97人に実施。うち13人がいじめを直接見たり、男子生徒から相談を受けたりしていた。市教委によると、部活内では「弱いのに、よくそこに立っているな」「勝ったんだ、弱いのに」と言われていた。同じ1年生からも言われていたという。 また、10月半ばに「部活でいじめられている。もう駄目かもしれない」と相談を受けたとの証言もあった。その際、男子生徒は「まあ冗談だけどね」と打ち消したという。

      勉強そっちのけでクラブ活動ばっかりやっていて、勉強ガタガタ。普通のコーチなら

    「平均点を越えるまでは、クラブ禁止!」

     くらいのことくらい言うべきだろう。クラブ活動にはプラスの面があるので、やりたいものはやればいい。禁止しなくてもいい。しかし、「強制」はダメだろう。イジメの温床になって、何人も自殺に追い込まれている。

    「何人死ねば、改善されるのだろう」

     こんなことだから、北勢中学校はゴミ溜めのように言われる。

    四日市合格者数     
                         H27   H26             
    1、陵成中学校(桑名市)      16    23

    2、光陵中学校(桑名市)      24     9

    3、藤原中学校(いなべ市)      6     6

    4、東員第一中(員弁郡)        3     4

    5、員弁中学校(いなべ市)      1     4
     高木教育センター          2     3 

    6、 大安中学校 (いなべ市)     4     2

    7、東員第二中 (員弁郡)     1   1
      北勢中学校(いなべ市)     1   1 

    北勢中学校は私の母校だ。

     

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