タカコとケンジの物語

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「名古屋大学ラブ・ストーリー(1) 突然の出会い」  (全8話) 

                              高木繁美(著)

 

  最初に健二が彼女に出合ったのは、四日市高校の3年生のときのことだった。名古屋の本山から歩いて行った河合塾の模試を受けた会場だった。健二は数学の試験中に時計を忘れたことに気づいて焦っていた。

 

  Kenji and Takako made each other’s acquaintance in summer at the age of 18. It was in a school where they were taking a mock examination in Nagoya.  Kenji didn’t have a watch and hewas in a panic in math test.

 

そのとき、隣に座っていた女子の前に置いてあった腕時計がそっと健二の方に向けられた。たぶん、健二がパニックになっていることに気づいたのだろう。助かったのだけれど、健二の知らない子だった。

 

Then a girl sitting next to Kenji showed her watch to him.  She must have noticed he was in a panic without a watch.  Kenji didn’t know her, however he was grateful to heranyway.

 

ただ、制服から同じ高校の生徒ということだけは分かった。それで、それとなく気にしていたら隣のクラスの女子だと分かった。お礼をしようと思っていたが、言い出せずにいた。

 Kenji knew they went to the same school because she wore the school uniform.  After several days, he knew she was in thenext class.  Kenji wanted to say thank you but he was too shy to say that.

 

当時、健二は授業が終わると1人で教室に残って勉強していた。家では気が散るので誰もいない教室は集中して勉強できたのだ。帰りに立ち寄るラーメン屋も楽しみの一つだった。

 At that time, Kenji always stayed in the classroom to study after school.  He couldn’t concentrate his attention on his work at home.  Eating noodles on his way home was his pleasure.

 

ある日、隣の教室に自分と同じように1人残って勉強している子のいることに気づいた。廊下を帰っていく影から女子だと分かった。そういう日をすごしていると、それが名古屋の試験会場で自分を助けてくれた女子だと分かった。

 

  One day I noticed a student was studying as I did in the next class after school.  It was her, Takako.  I could know it after several days.

 

名前を調べたら、斉藤貴子だと分かったのだが受験直前で彼女のことを考えている余裕がなかった。

 

 Her name was Takako Saito and I had not known her name before I asked my friends in the next class.

 

「名古屋大学ラブ・ストーリー(2) 二度目の偶然の出会い」

 次に彼女に会ったのは名古屋大学の南口にある八雲町のバス停だった。大学3年のときのことだった。健二がバスを待っていたら女子学生が向こうから歩いてくるのが見えた。

 

 Kenji was waiting for a bus at the nearest bus stop.  It was near the south entrance.  Then a girl was approaching the bus stop, Yagumo-cho.

 

  よく見たら斉藤さんだった。彼女は名古屋大学の近くにある、南山大学に通っていたらしい。バス停近くの家で家庭教師のアルバイトをしているらしかった。それが分かったのは、ずっと後のことだが。

 

  Thegirl was Takako Saito.  She went to Nanzan University.  It seemed that she was teaching a boy at home.  I knew it after a while, though.

 

  バス停では

「確か、四日市高校の同級生ですよね」

「そうです」

「もう、バスは行ってしまいましたか」

  交わした会話はそれだけだった。

 

 At the bus stop.

“You were in Yokkaiti high school student, weren‘t you?”

“Yes”

“The bus left already?”

 

  健二は、翌週も同じ曜日の同じ時間にバス停に行ってみた。しかし、彼女は来なかった。そういう繰り返しをしているうちに、火曜日が彼女のバイトの日らしいことが分かった。

 

  Kenji went to the bus stop the next week,at the same time on the same day of the week. He did it some times and he knew it was Tuesday.

 

  それで、同じバスに乗りながら彼女には3年前から交際している彼氏がいること。今年から勉強が忙しくなってアパートで生活を始めたことなどを知った。健二はガッカリしたものの、アパートが自分の下宿に近いことを知った。

 

  Kenji also knew that she had had a boyfriend for 3 years.  Takako started living alone in an apartment house because she was busy studying.  Kenji was disappointed, however he could know her apartment house was near his lodge.

 

 

「名古屋大学ラブ・ストーリー(3) 三角関係の予感」

  貴子はどういうつもりだったのだろう。健二と一緒にバスで帰ることが続くうちに、ある日

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