24 英語圏外の思わぬ出費

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ポルトガルの統一試験概要の公式英語翻訳を依頼するために、良心的な
翻訳料の ご自宅へ出かけた亭主、帰ってくるなり、
「君を知ってる人だったよ」
え!

なんとまぁ、その当時から16年ほども昔、日本語をほんの2ヶ月ほど手ほ
どき したポルトガル人女性であった! 彼女はその後、日本へ留学し数年
を岡山大学で勉強し、そこで出会った岡山大学の英語教授だった イギリス
人男性ジョンさんと結婚し、現在はポルトに 住んでいる、とのことだった。

あの頃、幼児だったもいける娘が大学受験とは!と 16年ぶりの再会を
わたしたちは喜び合い、翻訳が終わり、英国領事館から証明書を出して
もらった後、4人で食事をしたのでした。

ご主人のジョンさんは、日本に数年いたわりにはほとんど日本語を話さな
かったので、 わたしたちの会話は英語で進められました。
我が亭主もジョンさんも、日本の話、ポルトガルの話に冗談を混ぜつつ花を
咲かせたのでした。

その時、ジョンさんが気になることを言いました。
「日本の大学で講義をして来たのだが、大学生の多くがクラスで居眠りをし
いるのだよ、君。あれはいったいどういう訳なの? ボクは意味がわかり
ません」
・・・・・ い、いえ、わたしだって意味がわかりませんわ

日本の大学生のみなさん、なんででしょう?
わたしが学生だったら、時間の無駄!金の無駄!講師に対して誠に失礼
な態度でも あります。ジョンさん、わたしだってわかりません。

わたしが高校生の頃は、そんなことをしていたら、一発、バコーン!と 教師
頭をなぐられたものです。

もいけるよ、まさかオヌシ、そういうことをしてはおるまいの?

この時、わたしはその、昔の日本語生徒、Mさんと少し日本語で話してみま
した。 すると、彼女いわく、
「あなたの日本語はとても聞き取りやすくて、よくわかる。日本では誰もそん
なふうに 話してくれなかった」と言います。

わたしの日本語は、もしかしたらもう普通の日本語ではないのか? こういう
セリフは帰国して日本滞在中でも何度か聞かされ、ふと、自分は「浦島太郎」
ような気がしないでもなかったのであります。

わたしは自分ではあまり意識していないつもりなのですが、こちらで日本語学
習者たちと話すときに気をつけることは、「少しゆっくりめに、明確な発音で」を
心がけるのですが、それが身についてしまったのかも知れません。

話がそれてしまいました。

さて、その公式翻訳証明、Mさんとジョンさん二人の仕事なのですが、これを
翻訳者が 直々に、登録している英国領事館へ持って行き、翻訳証明書を発行
してもらいます。

この証明書は封の上にしっかりと焼印が押されてあり、開くことができないよう
になって いました。
赤いきれいなリボンで翻訳書類をくくり、そのリボンの上に焼印です。

翻訳は統一試験概要のほか、ポルトガルの高校の成績証明書2通も入り、同じ
ものを3通。 (3校までは受験してもいい、という約束でしたから)
占めて400ユーロ近く(6万円ほど)でした。 それでも、この二人はかなり安くし
てくれたはずです。

こうして見ると、受験以前の諸経費として、渡航費、食費、ゼミ費、翻訳費、 通学
費などなど、アラヨアラヨと言う間に、お札が飛んでいくのでした。

成績証明書にいたっても、こちらでは直接生徒が手にするものではないので、運
悪く夏休み、 つまり、こちらでは学年末ということで、校長が休暇に入ってしまっ
ては大変と、何度も念押しして、証明書をもらうために学校へ足を運びました。

こうして漸く用意できた証明書一式の3セット、これを娘宛に郵送し、 いよいよ、
願書の記入です!

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25 やるだけやった、果報は寝て待て

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