2004年9月24日の合格発表日、合否結果にかかわらず4日後の28日
の日本行き切符を用意していました。
いずれにしろ、我が妹宅での下宿をひきあげなければならず、日本を知ら
ぬもいける娘一人ではアパートを探すのを任せるわけには行きません。
「往復の旅費、滞在費にかかるこのお金があれば、入学金その他に廻せ
るのに」と言う思いはありましたが考えた末やはり行くことにしたのでした。
合格朗報で意気揚々、いよいよ娘の門出の手伝いです。これが反対だっ
たら、どんな気持ちだったでしょうか。
そんな時に一度だけ、もいける娘、トンでもないことを口走りました。
合格にすっかり気をよくした彼女、「おっかさん、R大学も見学して気に入
ったんだけど受けたらだめかな?」
思わず、
「ワセダを蹴ってR大学(私立)に行くアホがどこにおる!」と言ってしまっ
たことがありました。これが落ちたのならいざ知らず、受験料のムダ!
これからの出費を考えると、今は一銭たりともムダにできない。
授業開始は翌年、つまり2005年の4月ですが、帰国生は、合格後ほ
ぼ一ヶ月後には第一次手続きの振込み、3月後半までには第二手続き
振込みをします。
さて、奨学金ですが、入学手続きと同時に学部学生用の「奨学金情報」
なる小冊子を入手しますと、様々な奨学金案内が掲載されてあります。
学内給付(返済の必要なし)には単年給付(1年間)、継続給付(4年間)、
貸与の三種類があり、年間40万~15万程の額です。
授業料はこれをうわまわりますが、それでもこれを受けることができれば、
かなりの支援になるでしょう。申込者全員が受けられることはありません
が、本当に必要ならば申請すしてみる価値はあります。
次は、「日本学生支援機構奨学会」(かつての育英会)。
これを、親が海外在住者の帰国子女も受けることができるとは、この時
までわたしたちは知らなかったのでした。
この奨学金制度は第一種、第二種に分かれており、第一種は無利子、
第二種は有利子です。卒業後170回ほどで返金して行きます。
貸与月額は、第一種の場合、自宅通学が53,000円、自宅外通学が
63,000円。これも授業料には不足ですが、大いなる支援になります。
選定基準には、上記の学内給付同様、高校学習成績と家庭状況の基
準の目安があります。また、連帯保証人の必要の有無もあります。
保証人を立てない場合は、毎月の貸与額からいくらか差し引かれるので
すが、娘にはこれをしてもらいました。
奨学金は、学内、日本学生支援あわせて資格があるものは大概申し込
みました。何しろ日本社会から見れば、われらは貧乏親子ですから。
無利子の第一種貸与通知を貰ったときは、親としても嬉しかったです。
これで、授業料は少し足せばなんとかなる。
後の生活費は、最初の計画通り、夫とわたしの仕送り、それにもいける
娘のバイト料で、なんとか賄えそうです。
バイトは週に多くて2回、ギリギリでいいのです。
遊ぶお金を作るためにバイトにうつつを抜かしては、本末転倒、学業が
おろそかになってしまいますから。また、学生の分際でお金を持ちすぎ
るのもいけません。親が必死になって辛抱しているときに、片や子がバ
カスカ浪費していいことはないでしょう。
お金を稼ぐのは決して楽ではないということをバイトをすることによって
知るのは、大学や親がなかなか教えられない実社会の勉強になります。
2月ころからそろそろ大学関係の手続きやらで忙しくなりますから、それ
までの3ヶ月間くらいは毎日働けますから、経済的に助かります。
さて、わたしたちズッコケ親子の「帰国子女受験戦記」は、次回のアパー
ト探しをもって、いよいよフィナーレにしたいと思います。


