自爆

著者: 鎌田 隆寛

自爆するアリがいる。

フランス領ギアナに生息するあるシロアリは、毒液を腹部に溜め込んでおり、外敵により巣に危険が及ぶと炸裂する。その際毒液を周囲に撒き散らし、外敵を道連れに息絶える。

む。大和魂。

但し、全ての個体が自爆する訳ではなく、主に老兵が腹に毒液を溜め込み、特効隊員になるのだとか。

我が子、我が孫の為、最期の命を燃やし尽くす。種全体の繁栄のための自己犠牲なのだ。

一方の人間社会には、「自爆する営業」ってのもいる。

厳しいノルマに追い込まれ、やむなく自腹で商品を買ったり、保険の契約に入ったりする。「自爆営業」と言うそうだ。む。そのまま。

肯定はしないが、気持ちは分かる。自分を含めた家族を守るための行為なのだろう。

アリと同じだ。

だが、その先にあるのは「繁栄」だろうか。

ここはアリと違う気がする。

なんでも「アリ」じゃあない。

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