恋愛コンプレックスがくれたご褒美 第3話

<

2 / 2 ページ

前話: 恋愛コンプレックスがくれたご褒美
著者: 本吉 大我


初めて味わう挫折に


途中からプロギタリスト目指すなんて所詮


荒唐無稽な単なる 












儚い夢にすぎないのであろうか・・・・と。








受験を押し付けた母を心底恨む気持ちを強くし


実家で毎日のように、親子喧嘩勃発状態。






音楽の道に行かせて欲しかったよ!なんで進学校なんかに行かせたんだ!






と憤る僕に、母は






小さいとき、ピアノのお稽古させてあげたのに


辞めたの、アンタじゃない。






と言い放つ。






そこで、例え僕が


ピアノじゃないでしょが、僕がやりたい楽器は!


しかも、貴女の自己満足でしょ、僕の習い事なんか!








と、頭脳フル回転でどんな口上での反撃をしようが


母は絶対に自分を正当化し続ける。






自分の実力の無さを


やり場のなさと挫折感から来る不甲斐なさを


母のせいにしていただけだった。






音大生という存在


僕は彼ら、彼女らが


コンプレックスだった。






幼少から音楽の英才教育を施され


絶対音感を獲得し


僕なんか足元にも及ばない音楽スキルで


プロ目指してる、なんて発言したら


鼻で笑って一蹴する




そういう人間だけが


当たり前のように専攻楽器不問にて高度なピアノ演奏技術をデフォルトで獲得し


厳しい試験をパスして


音楽家をして通う大学生。






そんなイメージがあって


音大という単語を耳にすると


自分を卑屈に感じた。






その音大に


僕はその後、入学することになる。








バークリー音楽大学と提携し、編入システムを備えた


日本初のジャズ教育を基本とする音大のコースが存在する。






そんなニュースを持ってきてくれたのは


ジャズレコードコレクションが趣味の


僕の父であった。

著者の本吉 大我さんに人生相談を申込む