第8回 遅咲きのラジオネタ職人暮らし

前話: 第7回 遅咲きのラジオネタ職人暮らし

素人、ラジオの企画に参加する



 このラジオ番組はちょっとというか、かなり変わっておりまして。

 ラジオのメインパーソナリティお二人の他に、数名のパーソナリティがいらっしゃるのですが。

 よく、野外に行きます。ショボイ企画から、体を張りまくった企画から、リスナーも参加する企画まで、非常に多岐にわたります。

 ある時は山、ある時は海。この前は、雪山からの厳冬の海。リスナーも、どんなとこでもついて行く。

 「この番組、終わっちゃうしな~」と思ったので、最後の外仕事(野外ロケ?)に参加することにしました。


 場所はわかった。この○○通りだ。しかし、○○通りを行けども行けども、ロケハンを見つけられない。


 あっ、あれだ!!

 すぐわかった集団。 男の人が2人、ロングの金髪のヅラをかぶり(一応スタッフです)、熟女に扮し、パーソナリティのタレントさん2人(タレントと言っても、本業はミュージシャンです・・)、路上で


 何かを食べさせられていました。


 どうやら、一定時間以内に何キロ(忘れた)をその通りで売っているものを食べなければ罰ゲームがあるっぽい。

 私はその番組のスポンサーである某コンビニで、カステラを買っていったのだが、

「軽すぎる!」と一蹴。しかしそこはスポンサー様のPB商品ですので、その商品がどんなにステキか、不肖わたくし、解説させていただきました。


 その後、他のお店へと向かう途中、みんなで歌を大声で歌いました。

 いわゆるマーチです。

 寒い冬の○○市。お店が並ぶ通りを、20代から40代までの数人が、大声で歌いながら歩くというシュールさ。


 生卵をアスファルトに打ち付けて食べるスタッフの姿。

 さばかんとヨーグルトを混ぜて(時短のため)食べて、かえって時間がかかってしまっているパーソナリティ。

 ようかんをもりもりと食べつつ、「うぁあああああああ」とうめき声をあげているパーソナリティその2(若い)。

 

 それを見守る我々リスナー。

 スタッフの代わりにゴミを片づけ、スタッフの代わりに周囲の通行人への配慮をし、スタッフの代わりに新しく来たリスナーの誘導をしている。


 スプーンが無ければ自分のをさっと差しだし、ゴミ袋が足りなければ、ビニール袋を出す。それが我々リスナー。


 もはや、スタッフなのか、リスナーなのか、投稿者なのかわからない。

 歌えと言われればマーチを歌い、荷物が持てなければ代わりに持ち、常に周囲に危険が無いか考えるのが我々。素晴らしきチームワーク。


 コーナーが終わり、クルー一同が車で立ち去る時も、一同深々と頭を下げる。


 その後「もうすぐこの番組終わるけど、どうしよう」という話を年齢も性別もバラバラで、ほとんど初対面の我々は話し合っていた。

 そして、帰宅。


 私は、例のコーナーを聴いていたら、読まれたのだが。

「さっきはありがとう」の一言が染みた。



 次の日。おばあちゃんの家に行っていた次男坊が

「お母さんの投稿、読まれてたよね。聴いてたよ」


 その一言で私は悟った。

 

 みんながいないときに、夜の7時に街中に出て、マーチを歌い、差し入れをし、コメントを述べ。

 10時半過ぎには飼い猫についての投稿が読まれてしまった私の影の姿が家族にばれてしまったことを。



 ひた隠しに隠した1年。まさか番組終了1か月前にバレるとは。


 そして、最終回のラストライブも近づいてきたのであった。

 


著者のYonai Kozueさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。