流れに任せて遊んでいたら、大好きなNYに住めるようになった話。#1
高速に回転しつつも焦りのためからまわる頭を使って、「一刻も早く予約することが最優先」と判断し、わたしはパソコンにダッシュした。
近くにいたスタッフに、「すみません!これどうやって使うんですか?!」と半ば怒鳴り気味に尋ねる。
「スミマセン、ワタシ、ワカラナイデス」
中国人風のスタッフはそう答えた。
ええぃ使えないっ!自分でなんとかするしかないっ!
見たところパソコンは旧式のWindows。100円で10分使用することができるらしい。投入口に100円を入れてマウスを動かすと、固まっていたディスプレイが動き出した。
まずネットを開く。
よしよし。若干遅いけどちゃんとつながる。
大急ぎで航空券検索サイトを開き、ロサンゼルス発バンクーバー行きを検索。
日にちはどうしようか………
いつまでニューヨークにいるかもわからないし、いつまでロサンゼルスにいるかもわからない。わからないから帰りのチケットはおろかニューヨークからロサンゼルス行きのチケットすら取っていないのに、そこをすっ飛ばしてロサンゼルスからバンクーバー行きのチケットを取ろうとしているのだからもう何が何だかわからない。
悩んだが、日にちなんて今考えてもわかるはずがない。とにかくチケットを取ることが重要なんだ。手数料はかかるだろうけど、日にちの変更はあとからできる。それに最悪、チケットは捨てたっていい。
そう思い、適当な日にちに設定し、大急ぎで予約を完了させた。
ふう。なんとか間に合った(のか?)
「早くしなきゃ」というパニックで、やたらと時間がかかったように思ったけれど、予約が完了した安心感から少し冷静さを取り戻すと、案外そこまで時間はかかっていなかったかもしれない。
とはいえチェックインの締め切り時間は未だ不明なので、小走りで中国国際空港のカウンターへ。
チェックイン待ちの客は1組しかいなかったが、それは「まだチェックインの時間は過ぎていない」ということ。
ちゃきちゃきのお姉さんがわたしに気付いて「おかえりなさーーーい!」と元気良く迎えてくれた。男性係員も来てくれて、予約の控えを確認してくれた。
お姉さんが航空券ナンバーを控えて入力する。よかった。これでなんとか出国できそうだ。ほっと肩をなで下ろす。
一連のやりとりですっかり打ち解けたわたしたち。男性係員はもはやわたしに敬語すら使わない。
「乗り継ぎ時間が短いから、前の方の座席にしておくね」と、まるでわたしが姪っ子か何かであるかのように話しかけてくれる。
ところでわたしが乗る飛行機は、セントレアから出発し、北京で乗り換えてニューヨークに入る。その乗り継ぎ時間は1時間25分という短さ。
そんなに短い乗り継ぎを経験したことのないので、ちゃんと乗り継ぎができるか不安だ。そんなわたしを男性係員はさらに不安にさせる。
なんでもまだ要人のひとりが到着していないらしく、わたしの便のフライト時間と、その要人が到着する時間がかぶったら、要人の飛行機が着陸するまで離陸できないというのだ。
まじ勘弁してよ!どこの国のどいつだよ遅れているのは!遅れているのはいいけれど、頼むからわたしの便のフライト時間にやってこないでくれよと願った。
男性係員に「乗り継ぎがんばってね!」と激励の言葉をいただき、お姉さんから「またすぐにゲートで会いましょう!」と声をかけてもらった。どうやらチェックインの時間はギリギリだったらしく、このあとすぐにお姉さんたちはゲートへ移動するらしい。
そんなギリギリまで待ってもらったことを申し訳なく、またありがたく感じながら国際線の搭乗口へと向かう。
いろいろあったけれど、なんとか出国できそうでよかった〜。トラブルを引き起こすのは毎度のことだけど、ここまで焦ったのは初めてだな〜。でもやっぱりなんとかなっちゃうものだよな〜。うんうん。
なんて考えながら歩いていると突然、
高木さま〜〜〜〜!
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