第4話:マレーシアで見た全く新しいライフスタイルと想像を絶するほどの美しい世界
「京子、それは現実になるよ。今は信じられないかもしれないけどね」
インド哲学という小難しいものが好きになり、それを教える仕事をするようになったのだから。
それに、結婚相手は、本当に、日本人ではなかったのだから!
ちょうど夕日が沈む寸前だった。
何か私に見せたいものがあるらしく、しばらく森の中を歩いた。
うっそうと生い茂るジャングルの中を、草をかきわけながら、進んでいった。
先に進んでいた二人が止まった。どうやら着いたらしい。
顔を上げると、目の前に広がっていたのは、
多くの水牛たちが、水浴びをしている湖だった。
そして、ちょうど沈みかけていた夕日が、湖をまさに黄金色に変えていた。
それは、言葉を失うほどの風景だった。
ゆ〜っくり、ゆ〜っくりと歩みながら、水浴びをする水牛、
黄金色に輝く湖。
そこに、ちょうど遠くからコーランのメロディーが響いてきて
幻想的な雰囲気がいっそう高められた。
この世とは思えないような世界につつまれて
私達は夢のような時間を過ごした。
世界がこんなにも美しいなんて、知らなかった。
自分が計画した通りに旅をしていたら、決して出会うことがなかった景色。
心をオープンにして、出会いにゆだねていたからこそ、想像もしたことがないような美しい世界を見ることができた。
こんな二人のような素敵な生き方ができたら、どんなにいいだろう。
私の引き出しの中に、初めて「理想的な生き方」が1つ加えられた。
やっとこの日、このカップルのおかげで、
旅の一番の目的である、
「自分の好きなこと、好きな生き方を見つける」
ことができたのだった。
いろんな国を自由に旅して生きる。
森の中に住む。
自然と共生する。
時々、絶景とも言える自然の美を堪能しながら。
「見つからない、見つからない」と
悶々としたハートが
初恋の相手をようやく見つけて、
喜びに震えていた。
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