50年生きてみて その②
前話:
50年生きてみて ①
膝まで 鮮血が大量に流れていた
よくないことが起こっている ということを察知し
可能な限り流れた血液を拭いて
急いで 産婦人科まで行った
すぐにエコーで 赤ちゃんの状態を確認してもらうと
赤ちゃんは
心臓の動きを止めていた
"リ ュ ウ ザ ン"
まさか 自分の身にそれが起こるなど想像もしていなかった
でも それは突然やってきた
どうしようもない悲しみが襲ってくる
手慣れた医師や看護婦さんは その悲しみが少しでも軽減されるように
丁寧にわたしを扱ってくれた
でも
「赤ちゃん死んじゃった」 という言葉は
止まることなく頭の中で回り続けた
全身麻酔で 意識が遠のく
その間に子宮から胎児を掻き出す
なのに カラダに痛みは何もなく
堕胎手術を終えたあとの
まるで何もなかったような その"普通加減" が
さらに悲しみを増大させた
「赤ちゃんが死んじゃったのに わたしには何の痛みもない」
その 呆気なさが
例えようのない悲しみを生んでいた
都内でも 子どもが育てやすい区として
若い夫婦が多かったその町では
お腹の大きな妊婦さんをよく見かけた
そんな 一瞬チクっとするような痛みを1年ほど味わって
思いがけず また妊娠することが出来た
妊娠全期間を通して
トイレのたびに 出血していないかチェックした
心配症の小心者は
トイレットペーパーを毎回恐る恐る確認してた
長男が ⑦ ⑥ ⑤ で
今度は どんな数字かと思えば
出産予定日は
なんと!
⑩ ⑩ ⑩ と 出た(笑)
もう ヒャッホイ気分だった
その頃は 長男を保育園に預け
チャリで3~40分かけて仕事場に向かう毎日
雨の日も 風の日も 灼熱も極寒も
チャリに乗って
著者の金子 瑞恵さんに人生相談を申込む