28才大学生(実話)前編-サラリーマンから32才新卒就活まで
合格判定 E
要再考せよとのこと。
偏差値は40だった。
その頃、頭に浮かんできたのは、
「何で受験してんだろ?!やっぱり会社から逃げたかったのかな」
「今ならまだ、戻れる」
「浪人できないんだし、中学の勉強で精一杯だろ」
っていう悪魔と、
「まだ、始まったばかりだよ」
「あと5ヶ月あるじゃん!」
「大学行ってみたいんだろ!」
と天使との争い。
8月に入り、ようやく中学の教科書が一通り理解できた。
ただ、残り5ヶ月でセンター試験。地獄。
間に合わないかも・・・・
猛暑の中、図書館までチャリンコで漕いでる横を、
サラリーマンが通り過ぎていく。
9月に入った。あと4ヶ月、高校の1年生程度の教科書を何度も読み返し、
焦りで涙が出てくる。
また、模試を受けた。
判定は
E
「はい?!」
思わず、言ってしまった。
偏差値44。
「・・・・・・・・・」
何も変わっていない。
さすがに参ってしまった。
心の悪魔が圧勝。ぼくは図書館に行くのを辞めた。
久しぶりに東京の街をぷらぷらしていた。
ぼくは何者でもない。
27才。9月の後半だった。
適当にBARに入り、何ヶ月ぶりかのお酒を飲んだ。
横には社会人やOLらしき人が沢山いた。
何をやってるんだろう。
「無謀だった」
涙が込み上げてきた。
ぼくは、何者でもない。
周りが輝いて見えた。
希望も何も無い。
それから、1週間、布団から出なかった。
頭痛と吐き気が凄かった。
プレッシャーに押しつぶされそうになった。
投げ出したら楽になれるかもしれないと何度も思った。
「おまえギャグかよ!その年で大学行ってどうすんの?キャリアも無くなるし32才で新卒採用で取ってもらえると思ってるの?!」
昔の同僚の声が響く。
次の日、ぼくは何を血迷ったか、目指している大学のキャンパスにいた。
判定Eのぼくが。
「ここが大学か」
大学はまだ夏休みだったみたいで、部活をしている人以外ほとんどいなかった。
そこらへんの芝生に寝っころがって、空を見上げた。
「大学って何だろう?」
「なぜ目指したんだろう?」
とか、色々考えているうちに、やるだけやってみようって思った。
帰ってすぐに図書館にチャリンコで行き、
また勉強を再開した。
そして、そこからは、ぶれることなく、勉強をした。
時は12月、センター模試を受けた。
模試を受けていいことなんて一度も無かった。
合格判定通知が届いた。
判定 C
偏差値56
1ヶ月前になって、初めてE以外が出た。
「うおおおおおお!!」
嬉しかった。まだ、何も成し遂げていないけど、
とにかく嬉しかった。身体はサラリーマン時代から10キロ痩せて、
ガリガリだったけど、初めてのC判定で希望が出た。
年末年始はもちろん自宅で勉強、センター試験まで残り14日。
そして、時は経ち、センター試験前日になった。
その夜、母親からお守りをもらった。
「お参りしてきたからな。」
応援してくれる母親のためにも自分の為にも、
センター試験を突破したかった。
公立の大学はセンターで良い点数をとらないと2次試験に不利になる、
ましてや2次試験さえ受けれない可能性もある。
センター試験の前だから早く寝床に入ったが、
全然寝れなかった。
不安でしょうがなかった。
よくここまでやってこれた。
そして、当日の朝を迎えた。
勝負の2日間。
周りの若い高校生に混じって、
席に着いた。
ちらちら見られたけど、やるだけだった。
「はじめ!」
試験官の威勢の良い声、みんなの鉛筆が動き始めた。
僕の受験が始まった。
あっという間にセンター試験が終わった。
センター判定を郵送で送り、
著者のKosuge Masayukiさんに人生相談を申込む