女子大生が世界一周を仕事にする話「【ベトナム】食中毒になったけど、ホイアンええやん」

1 / 4 ページ

■ホイアンで死にかけ


 あれ、ニャチャンのことは書かないの?という読者様。ニャチャンの海への淡い初恋をひっそり胸にしまっておきたい私の気持ちを察してくださいな。…ビーチリゾートと呼ばれる場所にひとりで行くのはやめたほうが良い、というアドバイスだけ、一人旅を愛するバックパッカーの皆様へ残しておくことにします。ひとりで見た朝焼けのなんと綺麗だったことか!いえ、全然寂しくなんてなかったですよ全然。




綺麗すぎて泣きそうになった朝焼け


 

 ニャチャンを出て次に着いた街はホイアン。ベトナムの中部にある街で、街全体が世界遺産になっているとても情緒のある場所です。実は雨期になるとたくさん降る雨と低い土地のせいでメコン川が氾濫し、毎年街が水没してしまう。というとんでもない場所なのですが、そんな場所でも人々はメコン川と共に生きているのです。


 私が行った時にはまだ雨期になる前だったので、夜になるとホイアンの川沿いには提灯が並び、それが川の水面に反射してとても幻想的な雰囲気を醸し出していました。



大好きなホイアンの風景




 そんなホイアンの楽しみ方は、伝統的な建物が並ぶ町並みを楽しみつつ散策するのも良し、ゆったりと流れるメコン川を眺めつつ、道で子供が売っている灯籠に明かりを灯してそっと水面に浮かべるも良し、川沿いに並ぶちょっと小洒落たバーで小洒落たカクテルなんぞで乾杯するも良し、川岸の屋台で、つめたーく冷やして、ついでに氷も入れちゃって、薄く冷たく飲みやすくなったビールを一気に喉に流し込んでぷはァ〜!!!最高。これがたまらない。っっと一応断っておきますが私、日本ではビール全く飲みませんからね!


 そんな私でも東南アジアのあの薄くてひえひえの飲みやすいビールを蒸し暑い屋外で熱気溢れる現地の人がつくる安くて美味しい料理と一緒に飲むのだけは、好きなんです。想像しただけで今すぐ東南アジアへ飛んで行ってあの混沌と熱気と冷たいビールの中にどぼん!と飛び込みたくなるくらい、好きなんです。


 ホイアンの魅力を伝えるはずが気がついたらビールの話になってしまいました。ベトナムの中でどこが一番良かったかと言われれば間違いなく私はホイアンと答えます。死にかけたけれど。


 ホイアンではとあるご縁で、日本食レストランのオーナーの方、ホイアンの隣の都市ダナンで精肉工場を経営されている方、ホイアンに学校をつくり、ベトナム人の若い人たちに技術指導をされている方、などなどたくさんの日本人の方々にとてもお世話になりました。


 海外に住んでいる日本人の方のお話を実際に聞いたり見たりするのは初めてだったので、とても新鮮でした。間違いなく日本に住んでいたら会えない人たちの生活を知ることができたことは、わたしがこの旅に求めていた、将来の選択肢を増やすという目的を達成する上でとても貴重な経験になりました。死にかけたけれど。


 ホイアン滞在中、最も記憶に残ったことはそんな日本人の方との…と書く予定でいたのですが、それをベトナムは見事に邪魔してくれました。死にかけたからです。


 ホイアン滞在中のある朝、突然私を襲った人生最大の腹痛と嘔吐。思い当たることと言えば、前日に海沿いのローカルレストランで食べたイカの刺身…。


生モノ、ダメ、ゼッタイ。

 ひとりベッドの上で痛みにのたうちまわり、かと思えばトイレにかけこみ、もう何も出ないのにまだおさまらない吐き気と戦い、見たことのない色の液体が出てきたときはもうこのまま死んでしまうのではないかと思ったほどです。


 初めて海外で体調を崩したのでどうしていいか分からず、とりあえず日本を出る前に病院で処方してもらった腹痛用の薬を無理矢理胃に流し込み、動くこともできずにただただ安宿の固いベッドの上で次にいつくるか分からない吐き気と、ずきずきと痛み続けるおなかに怯えながら、症状が収まるのを待っていました。


 震える手で必死に検索した症状は、見事に食中毒に当てはまっており、さらに痛みが収まらなければ緊急で病院へ行って診てもらわなければ大事に至る可能性もある、のような情報ばかりで、不安が募る。一人異国の地で私は、イカの刺身に身体を内側からボロボロにされて水を飲むことすら出来ず、このまま脱水症状に陥りじわじわと体力を奪われて死んでいくのか。

みんなの読んで良かった!