フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第22話
愛と恐れ
《ここまでのあらすじ》初めて読む方へ
普通の大学生だった桃子は、あることがきっかけでショーパブ「パテオ」でアルバイトをしている。野心に目覚めた桃子は少しずつ頭角を表し店の売れっ子へと上りつめていく。そんな最中、大学のゼミ担当の教師から脅迫まがいのことをされ、ついには襲われかける桃子。それを店のボーイを取り仕切るチーフマネージャーの佐々木によって助けられる。その夜を境に粗野で皮肉屋な男だと思っていた佐々木に対して桃子の気持ちが急激に変化がしていくのだった。
母を苦しめた父を私は知らない。
生きているのか死んでいるのかも。
母が言うには、ギャンブルに狂う前までは真面目で堅実な人だったらしい。
父の豹変ぶりと裏切りに母がどれだけ苦しみ、悩んだことだろう。
でも1番辛かったのは愛する人を、憎まねばならないことだ。
女にとってこれほど惨めな人生はない。
私は幼い頃から、それを本能的に知っていた。
私にとって男性は脅威だった。
父は母の幸福だった人生をドン底にした。
人を愛する純粋な従順な心を蝕んだのだ
どんなに芯のある女も、男によって萎れてしまう。
女の理性や感情を操る男の存在が
私は怖かった。
私は学生時代から男子とはある一定の距離を置いてきた。
はたから見れば、私は模範的な生徒だった。
成績も上位だったし、遅刻やサボりもなく
すっかりまわりに溶け込んでいるかのように見えただろう。
男子はよく私に絡んできた。
やい、髪型がおかしい
やい、ホクロが鼻くそみたいだの…
私は適当にそれをあしらい、時には笑い飛ばした。
周りからは男子を軽んじてるように見えたかもしれないが
そうじゃない。
なるべく当たり障りなく接しようと気をつけていたのだ。
壁を作りすぎず、近づきすぎないように。
中学校も卒業間近になる頃
1人の男子に呼び出され、付き合ってほしいと言われた。
それが初めてではなかったが
その男子に関してはそれまでと少し違った。
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