いのち

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2014年6月1日

ニュージーランド

ノースランド

晴天


季節が秋から冬へと移ろうなか

穏やかな朝の低い光が

窓ガラスを通り抜けて

リビングでくつろぐ私の肌を温める

心地のいい温もり


窓の向こうには

幾重にも重なり続ける 深緑色の丘

その上には

雲一つない青空が 際限なく広がっている


私はソファから立ちあがり

バルコニーへと向かう

古いフレンチドアを軋ませながら外に出ると

今度は一瞬にして

ひんやりとした空気に包まれる


羽織っていたカーディガンの前ボタンをとめながら

深呼吸を何度か繰りかえす

最後にゆっくりと

これ以上は吸えないほど 深く息を吸い込む

新鮮な空気が

身体じゅうの細胞の隅々まで届いたそのとき


記憶の湖の奥底深くで

静かに眠っていた物語が 息をし始める

15年前のあの日の光景が

ゆっくりと

確実に

鮮やかな色を添えて 今 目の前に姿を現わす



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あなたが生まれた日 

そのころ日本は

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