奇跡、生きる〜小さな生命が私を救ってくれた〜パニック障害の私が命の危機に直面して少しだけ成長した話
キーーーーーーン
ザァーーーーーーザァーーーーーー………
耳鳴り
耳の閉塞感
脳内でザァーザァーという音
めまい
吐き気
動悸
震え
寒気
冷や汗
今までに経験したことのないお腹の激痛
が襲って来た。
(なにこれ。気持ち悪いしお腹痛い。下痢?)
とりあえずトイレ行こうと立ってみたけど、
見ている景色がぐるぐると回って自分がどこにいるのか分からない。
うまく考えられないーーー
ーーーーー気づいた時にはトイレの前で倒れていた。
頭がズキズキしたので、頭を打ったらしい。
この時点で初めてのことで訳がわからない。
力が入らなくてしばらく起き上がれず、
寒いのに身体が火照って汗をかいた感じと脳みそだけ冷たい感覚。
(お腹痛すぎて失神したのかな…携帯、ソファだ…遠い…)
とりあえず便器に座って落ち着こうとする。
8:50
少し落ち着いたのでソファに戻る。
1人で耐えるには不安でとりあえず母にメールしてみた。
【急にめっちゃお腹痛くなって気付いたらトイレで倒れてた。ちょっと横になって落ち着いたら病院行ってくる。】
母はちょうど休みだったらしく、すぐに返事が来た。
【夫くんに連れてってもらいなさい。無理そうならお母さんが行くから。】
(実家からうちまで約1時間かかるしわざわざ来てもらうの申し訳ないしなぁ…。夫、仕事中に携帯見るかなぁ…とりあえず連絡してみようかな。)
9:10
ダメ元で夫にメール。でもメールじゃ気づかないかもしれないので5コールだけ鳴らして着信も残しておいた。
9:58
ソファで横になり、少し落ち着いて来た頃に夫から着信。
普段見ないのに何故かこの時携帯を見て、着信に気付いてかけ直してくれたらしい。
症状と倒れた事を伝えると、
夫「倒れたの?めまい?何科っぽい?脳?耳鼻科?とりあえず今から帰るから!」と言ってくれた。
(あーめっちゃ心配かけてる…ちょっと落ち着いてきたし、ゆっくり休んでたら治るのかもしれないのにわざわざ帰って来てもらうの申し訳ないなぁ…。とりあえず妊娠反応あったから産婦人科かな…)
夫が帰って来る前に着替えと歯磨きしようと立ち上がった瞬間、さっきと同じ症状が出た。
気付いたら洗面所で倒れていた。
洗面所までいった記憶もないが、手には歯磨き粉のついた歯ブラシを握っていた。
10:10
歯磨きは諦めて這ってソファに戻ると帰って来る途中の夫から着信。
「喋らなくていいから電話切らないで!救急車呼ぼうか?」
ろくに返事もできなかったけど、
(さすがだなぁ、この人。でも救急車って大げさだよー。しばらくすれば落ち着くと思うんだけどなぁ…)と呑気に思っていた。
すぐ夫帰り着いて、慌てていた。
夫は症状から脳を心配したみたいだけど、
「妊娠反応出てるからとりあえず産婦人科行きたい」という私の意見を尊重してくれた。
11:00過ぎ
少し落ち着いたので着替えてA産婦人科へ。
検尿後、具合が悪すぎてベッドで横にならせてもらい、診察に呼ばれた。
最終の夫婦生活、最終月経、不正出血、止血剤の事、一昨日の検査薬で陽性反応が出た事、今朝腹痛で倒れたことを告げた。
A医師「えーっと、ご主人はB病院で何してるの?」
カルテに書かれた保険証の情報を見ながら聞いてきた。
(え?今それ聞くの?私それどころじゃないんですけど…。)
A医師「ご主人呼んでー。内診するから隣に移動して。」
壁一枚はさんで診察室に夫、内診室に私。
内診してもらい、モニターを見るけど赤ちゃんは映らなかった。
A医師「子宮外妊娠だね。出血してる。」
告げられた瞬間、痛みと恐怖で嗚咽が出て、呼吸も苦しくなりパニックになった。
A医師が夫に説明していた。
しばらくしてA医師と夫が来て、
A医師「今から緊急で手術しないといけないけど、うちとB病院どっちがいい?」と。
緊急とか手術とかの言葉が怖すぎて更にパニックになった。
夫は本当はB病院での手術が希望だったらしいが、上手く答えられずに苦しむ私を見て、
「痛がってるのですぐここでしてください」と答えた。
夫はその前のA医師の説明が「お産があるからその前にパッと終わらせようか」という軽い感じだったので、そこまで緊急性のある大事ではないと思ったようだった。
それから採血、点滴。
血管が細く何度も針を刺された。
看護師「あー…血管細いー。細くて全然取れない」
(え、私が悪いの?思ってても普通言う?言い方他にもあるでしょう…)
A医師「貧血ではないね!奥さん血液型何?」
夫「A型です…」
(え…この短時間で何故貧血じゃないと分かったの?採血の結果そんなすぐ出るの?血液型って口頭確認だけ?)
でももう突っ込む気力もなかった。
私「あの、朝ごはん食べたんですけど麻酔…」
A医師「大丈夫!全麻じゃなくて意識下でするから!」
(…いやいやいや!!大丈夫じゃないよ!この際吐いてもいいから全身麻酔にしてよ。意識下とか無理!痛いし怖いし、誰かこのまま意識飛ばしてよー。)
と本気で思った。
看護師「オペ室2階なんで移動しましょう」
(え…自分で登るの?階段?)
そこから2階まで看護師さんに手を借りて自分の足で階段を上がった。
この階段が本当にとても長く感じた。
オペ室といっても想像していたのと全然違った。
分娩台のようなベッドが2台、パーテーションで区切られているだけだった。
看護師「服全部脱いで台に上がってー」
と言われ服を床に脱ぎ捨て、台に上がる。
服をまとめたりたたむ気にもなれなかった。
真っ裸で横になった。
看護師さんたちがバタバタしていた。
看護師「これメス使うかな?使うよね?」なんて聞こえてきた。
剃毛されている感覚と、
恐怖で気が遠くなる感覚。
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