「京都大学の英語で8割を越える」ための一考察(3)
「京都大学の英語で8割を越える」ための一考察(3)
1、問題意識
「難関大学に合格するには、特殊な勉強方法が必要なのか」を明らかにするのがこの考察の目的だ。予備校講師をしていると
「どういう問題集、参考書がいいですか」
という質問を受けることが多い。当塾の塾生の難関合格者の数が多いことから、
「この先生は、賢い生徒が使っていた参考書や問題集を知っているはず」
と信じているのだろう。
2017
私は、名古屋大学で心理学を専攻した。しかし、世間の人は心理学に興味を持つ人は少ない。それは、心理学者の主張が科学のように裏付けの証拠がないからだ。つまり、思いつきで勝手に語っているだけ。
最近、心理学から出たプロファイリングが一部で評価されている。これは、犯罪捜査の検挙率の上昇に役立つという裏付けがあるから主張に普遍性や一般性が認めらたからだろう。
そういう意味では、受験指導における有効な指導法の裏付けは上記のような「合格者数」なのだろう。確かに、当塾のような三重県の田舎にある無名の個人塾から多数の合格者が出ていることはブログ、Youtube、ホームページを見た人の間では少し知れ渡ってきたようだ。通信生の数が増え続けている。
3、調査の実施
私は過去3名の京都大学医学部の指導をさせてもらった(通塾生1名。通信生2名)。大阪大学医学部1名(通信生)、名古屋大学1名(通塾生)、名古屋市立大学医学部1名(通塾生)の指導をさせてもらった。
高校クラスの47%は、地元の公立中学校では上位3%しか合格できない優秀な子たちで構成されている。
名古屋の大規模予備校、塾、専門学校7校で14年間指導させてもらった。アメリカの公立ローガン中学校で教師をしていたことも含め、30年以上の指導経験がある。
多くの添削をさせてもらうと、合格する子と落ちる子の答案には明確な差があることに気づく。それは、合格する子は「難解な内容を簡単な英語で表現し」、落ちる子は「簡単な内容を難解な英語で表現する」ことだ。
落ちる子は、受験参考書に書いてある構文や単語帳にある単語を使って「私は、こんな構文や単語を知っています」というアピールをする答案を書きがちなのだ。
それは無理もない。毎日の授業で、宿題で、塾や予備校で、受験参考書の構文を覚えるプレッシャーをかけられる。しかし、合格した子は、教師や塾講師の指導に疑問を持つ。
5、結論
たとえば、高校の数学では難関大学に合格した子と落ちた子を調べてみると使用している問題集は「チャート式」「4ステップ」「1対1」「チェック&リピート」「赤本」など同じものなのだ。
ただし、使い方が違う。合格していった子は、2周、3周と繰り返し練習を欠かさない。一方、落ちる子は
「最初から最後までやり終えました」
と、一周しただけで満足している。その一周も、解答を見て理解しただけということが多い。理解したことと、自力で解けることは違うことの自覚がない。
また、その理解にしても「どうして、そうなるのか」ばかりに注意が向いて、「なぜ、そうするのか」と根本を問う姿勢に欠けている。
自分の勉強法に執着して、他人のアドバイスを聞かないのも落ちる子の特徴だ。
「ボクはクラブと勉強の両立をめざしているんです!」
と言う子が多かった。冷静に自己を省みれる子は、両立どころか両方とも壊滅していると判断する場合でも、学校の方針だという惰性に乗ってしまう。
合格できる子は、学校の方針は関係ない。学校のカリキュラムも関係ない。自分の学力を分析して、必要なことを着々と行っていく。時間が足りないなら、教師や友人が何と言っても、クラブは自主退部して勉強時間を確保する。
学校の授業進度は関係なく、自分で高校2年までに数学Ⅲを終わらせたりする。
つまり、 「難関大学に合格するには、特殊な勉強方法が必要なのか」に対する回答は「ある」。ただし、それは朝方か夜型か。どの参考書・問題集が良いか。そういう浅い意味の勉強法ではない。
「親に経済的な負担をかけないために、国公立に行かなければ!」「どうしても、医者になりたいが、私立に行ける経済状況ではない」「人相手の仕事より、研究職がいい」といった明確な目的を持って勉強すること。
そういう遠大な目標があると、教師やクラスメートが何か言っても、関係ない。どうでもいい。
不合格になるタイプの子は、そういう自立心が育っていない。
「そんな非人間的な生き方に同意できない!」
と激高したりする。どんな生き方をするかは、自由なのは言うまでもない。ただ、合格に有効か否かという視点で見たら、優劣があるのは明らかだと言っているだけなのだ。
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