単語を全く覚えられない生徒が覚えられるようになった話

個別指導塾で働いていた話です。当時、単語を全く覚えられない生徒がいました。他の生徒と一緒に覚えさせても、どんどん差が付き、本人も負け犬根性が出てきて、学校の提出物すら出さなくなり、成績も悪化し、成績表に1がつく状態でした。正直本人の能力的なところに問題があると思っていました。しかし、たとえそうでも単語を覚えなければならないので、どうにかしないといけません。

 

ある日、学習方法は生徒によって違うという内容の本に触れました。その本によれば、単語を文字で覚える人、絵で覚える人、体を使って覚える人、と様々だということです。日本語教師養成講座でいろいろな日本語の学習方法があることを学んでいた私は、これを見てピンときました。いろいろな学習方法の中で万人にベストな方法があるわけではなく、生徒一人ひとりによってベストな方法は違うということです。

 

そこで、彼に対してオーソドックスに文字で単語を覚えさせる方法をやめました。美術部に属していて、美術の成績だけは良かった彼に対して、まず単語の絵を描くように命じました。当たり前ですが、今までこんな教わり方をしていない彼はびっくりしていました。が、冗談ではないと分かった彼は、単語の簡単な絵を描き始めました。10個ほどの単語の絵をかかせて、それから単語のテストをやってみました。すると、みるみる解いていきます。今まで、1個、2個できる感じでしたが、7個解けるようになりました。彼にとっては大した成果です。これを繰り返してやってみると、今までよりも明らかに正答率が高かったのです。

 

努力してみても成果が出なかった場合、視点を変えるのは大事です。人によってベストな方法は違います。先生が求める方法はすべての生徒に当てはまるわけではありません。そのことを先生は知っておかないといけないですし、生徒も勉強する際にそれを知っておかないといけません。効率的な学習とは、その生徒にベストな方法を見つけることだと思います。

#単語 #英語

著者の川崎純さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。