三十路島遊記 其の十
バスはゆるやかに車道へと進路を進め、
走り出した。
遂に、ニュージーランド一周の旅が始まったのだ!
遊者は胸の高鳴りを抑えることが出来なかった。
目に入ってくる風景は、どれも新鮮で、
まるで、少年のような瑞々しい感性を取り戻したような、
そんな気持であった。
遊者は、隣に座ったアンドレと互いのことを話し合った。
アンドレはブラジル人で、ラテン系特有の野生じみた風貌に、
遊者はどこか、親近感をおぼえていた。
彼は、とても親日的で、小さいころは空手に励んだのだと、
嬉しそうに語っていた。
期待と不安が入り混じったような、
何とも言えない気持ちを乗せて、
バスは北へと走り出した。
(続く)
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