chapter.1 イントロダクション 母へ捧ぐ
暗闇の中 僕を呼ぶ声がする
壁紙の空 見つめ 耳を澄ます
聞き慣れた声だ
優しい ずっと聞いていたい声
でも今日はどこか冷たげ
多分良くない事の知らせ
だって最近はおかしな事ばかり
知らないスーツの人やおばぁちゃんが行き来する
サイズの違う靴 今日も増えた
僕はまだ寝ていたい
仮面ライダーになって悪者を退治するんだ
今日はウルトラマンになってみようかな
ゴジラでもいい
どちらでもかまわないんだ
悪い奴らを倒すんだ
お父さんはいつも仕事
お母さんは病院にいたりして
この家には僕がいた
この家は僕の家でもある
お父さんには仕事もやる事もある
お母さんには何があるんだろう
目を開ける いつもの笑顔が覗く
「お父さんとお母さん、どっちと暮らすの?もう決められた?」
僕にはやることがある
今日はウルトラマンになる日なんだ
著者の高津 諒さんに人生相談を申込む