出張整体師はみた! オフィス内の攻防戦

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出張整体で伺う場所というのは、ご自宅やホテルに限りません。
時にオフィス等へ定期訪問といった形もございます。
とある女性営業員さんの多いオフィスにお呼びいただいていたときのお話です。

毎週、ある曜日のお昼過ぎにそのオフィスに伺いまして、空いた会議室に
ポータブルの施術台を持ち込み臨時会場として待機して、外回りから
お戻りになる営業員さんと、仕事の切のいいところになった内勤や
管理職の方が順番にお受けいただいておりました。多少の波はあるものの、
比較的安定した売り上げとなるので、非常にありがたい案件でございます。

そんなある日、いつも通り待機しておりますと、その会社の別の営業所の
所長さんが、興味深そうにこちらを眺めながら、この営業所の所長さんに
事情を聞いていらっしゃいました。
一通り事情をお聞きになったその営業所長さんがこちらにいらして、

「うちの営業所は〇×駅の近く(この営業所から電車で15分位)なんですが、
うちにも来ていただく事は可能ですか?」
と尋ねられました。勿論

「もちろん可能です。大変ありがたいお話でございます。宜しくお願い致します。」
とお答えし、名刺をお渡ししました。
それから数週間後に、実際にご依頼を受け、「〇×営業所」に伺わせて
いただきました。

伺って最初に少しばかりの違和感を感じました。
それまでと同様に別室があっての待機と思っていたら、今回はオフィス内の
同室の一角で、何の囲いもない所でとの事でございます。
スペースがないのか、他の用件で使用中なのか、といった所と勝手に
思っておりましたら、実情は全く違いました。
それまでの営業所では、予約順の記入用紙を置いて、順番待ちの場合、
見込みが付いたらご記入いただいておりましたが、用紙の準備に入ろうと
している時に、すでにびっしりと記入された順番表をお渡しいただきました。

「もう皆さんに聞いてくださったのか。手際がいいな。」

と思っていましたが、それは全くの見当違いでした。
今までの営業所は各個人の希望で、受け付けて各個人でお支払いいただいていたのですが、今回は、

「営業成績上位者への賞品」
という形だったのです。集計が済んでいたので、当然受ける方は決まっています。
更に、別室でないのは、
「入賞を逃した方に見せ付ける為」
だったのでしょう。
非常に温厚そうに話す所長さんの、メガネ越しの視線が笑っていないように
見えるのにこの時初めて気が付きました。

「えぐいなぁ・・・」

少々驚きましたが、こちらもご依頼を受けたお仕事ですので、淡々と施術を
こなしていきます。

数十人の営業員さんの中で上位入賞される方々ですので、優越感を
前面に出されてそれを微塵も隠そうともなさいません。
お受けいただく方に色々と話し掛けられる事は他でも珍しくございませんが、
この場では聞かれている時間が長く、皆さん上機嫌でいらっしゃいます。
お喜びいただくのは大変ありがたいのですが、当然ながら
初めて伺った小生にもはっきりと分かるぐらい場の空気が
重苦しく、悪いのです。
ベテランさんが入賞者のときはまだいいのですが、新人さん風の
比較的若めの方の場合は特に・・・

ご本人が恐縮すればまた違うのでしょうが、若手ながら様々なプレッシャーを
押しのけて入賞されただけの事はあります。
「アー気持ちいい!」

と何度も何度も必要以上に声にして洩らして、牽制します。
更に緊張感が増し、室内なのに雷雲でも出てきたような錯覚を覚えます。
このときは、あのやり手営業所長も、さすがに余所を見ながらも少し目を
むいておりました。直後にうっすらと笑みを浮かべていらっしゃいましたが。

無関係な筈の小生が、なぜか一番憔悴している不思議な状況
でございます(苦笑)。

定期的に入っていただける団体予約でございますので、大変ありがたい
案件です。
しかしながら、通常と別の意味で非常に疲れる現場でございました。

心理戦は女性には敵わない。
という事を改めて勉強させていただきました。

※ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
読んでよかったと思っていただけましたら、このページと共に、初回の
にも「読んでよかった」を押していただけれると嬉しいです。
大変恐縮ではございますが、どうぞ宜しくお願い致します。
また、出版等のお問い合わせは
足利忠宛にお願いいたします。

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