酔っぱらいを黙らせたオバマ。

著者: Dra gon
メジャーリーグ観戦をしてきた。
もうほんとうにゆるい。ほんとに陽気。
攻守の交代がある度に
バックスクリーン上でプチイベントがある。
突然アップテンポな音楽が流れはじめたと思ったら、
そのリズムに合わせて踊っている観客が
バックスクリーンに映し出された。
そして次々と楽しく踊っている人が映し出されていく。
そう、カメラは踊っている人を狙っているのだ。
するとそれに気付いた観客は、
なんとか自分もスクリーンに映ろうとみんな踊りはじめる。
いつの間にか会場は超ハイテンションディスコ。
ノリぱない。
スクリーン上に一組のカップルが映し出され、
そのカップルを大きなハート型のピンクのラインがつつんだ。
それに気付いたカップルは空気をよみその場でキス。
そのスクリーンを見て球場は「ヒュー!!」と盛り上がる。
ちゃらい。
アウェイチームがホームランをうち
アウェイチームのファンが立ち上がって喜ぶ。
それをみたホームのファンが、
「sit down !!」とヤジを飛ばす。
だが、よくみると叫んだほうも叫ばれた方も
目を合わせて笑っている。
ゆるい。
そんな陽気でゆるゆるな彼らをも
黙らせたのがが、今週のオバマ。
日本ではかなり批判的に取り上げられている、
ビンラディン殺害のニュース。
もちろんメディアをコントロールしている
この国はいろいろと思惑があるだろう。
だがここアメリカでリアルタイムで
オバマのプレゼンを聞いた自分は衝撃をうけた。
ちょうどその時は、
ニュージャージー州のバーにいた。
アゲアゲのミュージックが流れ、
数台ある液晶テレビにはNBA,MLB,などの
スポーツ番組が流れているような、
うるさい感じのバー。
ちょうど夜の0時を回ったころ、
画面にラディンが死んだと流れた。
間違いなくビッグニュース。
だが、そこはなんといってもバー。
ほとんどの人は興味を過度に示さず、
お酒を飲みながら引き続き盛り上がっていた。
そこでオバマが現れた。
アゲアゲの音楽は消え、
オバマのプレゼンの音だけが聞こえるよう
店内は調整された、
だが、なんといってもそこは0時過ぎのバー。
酔っぱらいたちは叫んでおちゃらけていた。
が、プレゼンが終わるころには空気は変わっていた。
さっきまでアゲアゲだったバーは、
図書館みたいに静まりかえり、
オバマの声だけが静かに力強く響いていた。
最後の退場のシーンには
酔っぱらいたちも大拍手をおくっていた。
自分は英語が聞き取れないから内容はよくわからない。
でもそのパッションはめちゃくちゃ伝わってきた。
原稿を一度も見ることなく、目を一度も泳がすことなく、
ただ国民に向かって力強く語りかけた。
この人についていきたい、そう思うアメリカ人の気持ちがわかる気がした。
国民が大統領を選べる国、アメリカ。
政策も大事だが、一人の人間として
魅力があるかどうか、ついて行きたいと思えるかどうか、
そこが大きな要因を占めているのかも。
オバマにはその「人間力」があると思う。
数字でははかれない何か、があると思う。
何を話すかよりも、誰が話すか。
アメリカの大統領は命がけ。収入も驚くほど低い。
その「覚悟」がなければあのプレゼンはできない。
一人の男としてリスペクトなう。

著者のDra gonさんに人生相談を申込む