5年でハイリスク妊娠、中絶、離婚、再婚、出産を経験した私が伝えたい4つの事・後篇

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前話: 5年でハイリスク妊娠、中絶、離婚、再婚、出産を経験した私が伝えたい4つの事・前篇

 Mさんは、私が泣き喚き続けるのをじっと、


Mさん
やっぱり、言うべきではなかったか……


 などと、と呟きながら、耐えていた。

 1時間ほど経ち、私が落ち着いたあと、Mさんは言った。


Mさん
きっとすぐにいい人が現れるよ。痩せて綺麗になったもん。大丈夫。自信持って!
……!!


 気付けば、私の体重は、あまりご飯を食べられなかったのと、連日のジム通いの成果か、10kg近く減っていたのだった。

22.再婚と出産


 それからしばらく、私は荒れた生活を送った。

 しかし、いろいろあって1年後に、旦那の友人のMさんと付き合いだし、更にその1年後に結婚した。

 もともとMさんは、ギターをやっていた影響で、私の好きな音楽のジャンルにも造詣が深く、話が面白かった。

 ただ私としては、20歳そこそこからずっと付き合いのあった元夫と、結婚していた自分なんて嫌だろうと思っていた。

 しかし、離婚から約1年後、彼が私に、


Mさん
……もう吹っ切れた?


 と尋ねてきて、うなずいたところ、付き合いが始まった。
 付き合っている頃に東日本大震災があったのも、結婚を後押しすることになった。

 そして、プロポーズの言葉は、私がずっと欲しかったものだった。

Mさん
僕は、君の子どもが欲しいと思っている


 結婚後、すぐに子どもを授かったが、ステロイドパルス療法は私に合っていたらしく、今度は潜血も蛋白もおりることなかった。
 無事、臨月まで勤め続けることができた。

 出産から1年以上経過した後も、腎臓に問題は発生していない。

 そして、2012年、一人の男の子が生まれた。
 病院中に響き渡るかのような産声をあげて。

 私は産育休を取得後、職場復帰し、ずっと同じ職場で働いている。

 私の両親は、孫にメロメロで、しょっちゅう「早く連れて来い」と催促する。




 現在1歳の彼は、少し言葉が遅いし、物を隠したり投げたり困らせることもあるけど、よく笑い、色々なものに興味を示し、元気いっぱいだ。


23.今、伝えたいこと


 回り道を沢山したけど、言いたかったことは3つ。

1.ハイリスク妊娠には誰にでも起こりうるということ。

 だからこそ、妊娠・出産は先延ばしにしない方がいいと思う。
 私の場合は27歳だったけど、もしあと10年後に同じ事が起こったらどうなっていただろうと思うとぞっとする。


 2.妊婦健診にはきちんと通って欲しい、ということ。

 出生数は減っているのに、低体重児は増加している。

 http://qq.kumanichi.com/medical/2008/12/post-380.php


 受入先がなく、病院をたらい回しの末に赤ちゃんや妊婦さんが亡くなるというニュースを聞く度に胸が痛くなる。


 その原因はほとんどが、NICUの満床だ。


 このサイトによると、84%がNICU満床を理由に受入を拒否している。


 http://akachan.chu.jp/kiji_nicu.html

 そして、妊婦健診を受けない、かかりつけ医のいない、「野良妊婦」「飛び込み出産」に怒りを覚える。

 もちろん、きちんと管理しても、どうしてもというケースもある。
 だけど、自分が勉強したり、きちんと検診を受けるだけで、回避できることもあるのではないだろうか。

 けっして、妊婦健診に行かなくても何とかなる、なんて思わないでほしい。


 3.彼は「誰の生まれ変わりでもない」ということ。

 当たり前の事かもしれないけど、でも私は「生まれ変わり」という考え方があまり好きではない。

 自分が3人の子を葬った事実は、一生忘れない。

 でも、それは私一人が心にしまっておく問題だ。

 私は、彼を「一個人」として、夫と試行錯誤しながら、大切に育てていきたい。


 お読みいただき、本当にありがとうございました。
 そして、きっかけを与えてくださった、STORYS.JPさんに感謝いたします。


24.伝えたいこと、4つめ(追記)


 このストーリーを書いた3日後、このニュースを目にした。

 8カ月次男に暴行、母逮捕=傷害容疑「育児にストレス」-三重県警

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014020600581

 最初に思ったのは、私はこの母親を責められない、ということだった。

 このようなコメントを見つけた。

> 800gで誕生したとなるとなんかしらの障害が残った可能性が高い。おそらく介護も大変で相当のストレスがあったのかもしれない。母親が21歳ならなおさらだよ。

 私も、同じようになっていた可能性はある。
 産まれた時は美談だが、その後の生活は想像を絶するものがある。
 行政を頼れなかったのか、そういうのは簡単だが……、

 昨年、大阪で母子が餓死するという痛ましいニュースがあった。
 その際に問題になったのが、「本当に追い詰められている人ほど、SOSを出せない状態にある」ということだった。そのとおりだと思う。

> 日本の医療は、本来なら自然に還る命も助けるだけ助けてあとは知らん顔だからなぁ。

 私の場合は、それこそ医療が発達する前であれば、母子ともに亡くなるケースだったにちがいない。

 だからこそ、私は、最後に中絶をすすめた病院にも、今は同じように感謝している。

 今回、このストーリーに対し、「読んで良かった」や温かいコメントを沢山いただき、本当に嬉しかった。

 もし、産みたかったのに中絶を選択せざるを得ず、今も罪の意識に苛まれている方が、この反応を目にすることで、少しでも気持ちがほんの少しだけでも救われれば……と願っている。


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2015.11.10追記。

一冊の本になりました!


加筆・修正を加えて一冊の本になりました。
これもたくさんの方にお読みいただいたおかげです。ありがとうございます。
アマゾンからご購入いただけます。


また、現在、夫や息子も登場する最新のストーリーを作成中です。
あわせてお読みいただけると嬉しいです。

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