僕のパチスロ理論が破綻した!神の手を持つ男の話

プロローグ

世の中には、確率や理論では説明できない事柄がある。

決して、数字では表すことが出来ず、そして科学的な根拠もないもの。

それが"運の強さ”だ。

僕はこれでも論理的な思考を持って生活しているつもりだ。

物事にはすべて、それを巻き起こしただけの理由がありきっかけがある。

そして、それはすべて、数字や確率で解明できるものだと思っていた。

そう、思っていたのだ。


ある人物に出会うまでは・・・


藤沢君との出会い


僕は三田サンジ。
元パチプロだ。

2年間パチスロだけで生活していた経歴を持つ。
知らない方はこちらをどうぞ↓↓

http://storys.jp/story/7677



今は自分のやりたい事を見つけたので、色々な仕事をしている。

彼女がいない人の為に、彼女を作る手伝いをしてあげたり、
ギャンブルが勝てない人の為に、勝ち方をレクチャーしたり、
人生の生き方に迷っている人に、アドバイスなんかもしている。

パチスロをする事はもうほとんどなくなった。

それでも元々ゲーム好きという事もあり、友人の付き合いで行く事はある。
僕の周りにも結構パチンコやパチスロが好きなやつがいる。
だから、たまに誘われていったりするのだ。

僕が現役の時と比べて、パチンコもスロットもかなり進化している。
システムが少し複雑なものも出てきたし、なにより、液晶画面が綺麗になった。
これは時代の進化と言えるだろう。

それでも、基本となる部分は変わらず、昔のまま残っている。
だから、現役を離れた今でも少し打てば打ち方はわかるし、内部システムもすぐ理解出来る。

これは、2年間毎日スロットを続けていた時の名残だろう。
そのおかげで、趣味とはいえ、未だにスロットで勝つ事はよくある。

もちろん、師匠の教えに従い、周りの友人にもパチプロのレクチャーをして、
彼らもまた勝てるように育って行った…


パチプロをやめたあと、僕は地元を離れた。

そして、新しい場所で生活を始めた。

そこで、最初に仲良くなったのが、藤沢君だった。

藤沢君は僕よりも2つ程年下で、そのわりにはしっかりしていて、
最初に会った時も、まさか年下とは思えなかった。

彼と最初に出会ったのは、僕がよく行くお寿司屋さんだった。
僕は客、藤沢君は寿司を握っていた。
何がきっかけで話し始めたのかは、詳しく覚えていないが、
とにかく藤沢君は人当たりが良く、接客が素晴らしい職人さんだった。

何度も通っているうちに仲良くなり、
ついにプライベートで食事をするまでの仲になった。

すると、意外なことがわかった。

藤沢君は某大手飲食店グループの社長の息子だったのだ。

ではなぜ藤沢君が自分の会社ではなく、この寿司屋で働いているのか?

僕は訪ねてみた。

藤沢君は、父親の会社には入らないの?
継がないの?
藤沢君
いや、いずれ継ぐ事になります。

だけど、今は父親に
"色んな経験してこい"
って言われてるんで!
そうなんだ。やっぱりいずれ継ぐんだね。
大変そう。
藤沢君
まぁ、大変だとは思いますけど、やりがいはありますよ!

お客さんに美味しいものを提供して喜んでもらえると、頑張ろうっていう気になるんです!


藤沢君はこういう若者だった。

現代の若者達の鏡になるような存在だった。

だんだんと藤沢君と会う機会も多くなり、お互いの話もするようになった。

その中で僕は、元パチプロである事を告げた時に、藤沢君の目の色が変わった。

藤沢君
パチプロだったんですか?そりゃすごい!

そんな人本当にいたんですね!
2年ぐらいね!
もう最近の機種はあんまりわかんない(笑)
藤沢君
へぇ〜すごいなぁ〜

俺パチンコとかスロットとかした事ないから、すごく興味があるんですよ!今度連れて行ってくださいよ1
連れて行くのは全然構わないけど、あんまりオススメはしないよ。
パチンコで人生狂わされた人もいるから...
藤沢君
生きてるうちに一度くらい経験しておきたいんですよ。ほら、人生経験ってやつだと思って!
わかったわかった!じゃあ今度行こう!

ってな感じで、僕は藤沢君と一緒にパチスロに行く事になってしまったのだ。

そして、パチンコに行く当日。

時刻17:00。夕方だ。

当然今日は”労働"ではなく”娯楽”として来たのだ。


娯楽でパチスロに来たのだから、
朝から並ぶ必要もなければ、
詳しいデータ分析をする必要もない。

やっぱりギャンブルは娯楽でやるもんだなぁとそう思った。

この店は意外と稼働率が良い。

駅からは少し離れているが、大型の駐車場があり、
遠方からもお客さんがきているからだ。
僕がたまにパチンコやパチスロをする時には、この店を使う。


店内に入った僕らは、一通り台を見渡した。

藤沢君
パチンコ店内って意外とキレイなんですね!
いや、それは店によって違うけど(笑)
藤沢君
そうなんですか?

じゃあこの店はキレイな方ですね!
そうかもね!

それにここら辺で打つならこの店しかないしね!
藤沢君
で、俺らは何を打つんですか?

今のパチスロ機の主流はARTというタイプのものだ。
これは少し初心者には複雑かもしれない。

そこで、僕はまずAタイプの台に絞った。
Aタイプで初心者向けといえば、これしかない。

“ジャグラー”だ。

ジャグラーのゲームシステムは単純だ。

リールを回し、GoGo!ランプが点灯すると当たりだ。

ただそれだけ。

ランプが光れば、内部的に当たりが確定するので、
あとは、”7”か”BAR”を狙うだけ。

“7”が揃えば大当たり。
“BAR”が揃えば小当たりだ。

“7”や”BAR”が揃えば、ボーナスゲームが始まり、コインが出てくるのだ。

簡単なシステムなので、比較的高年齢の方や、初心者の方には人気がある機種だ。


ジャグラーを打とうとしたが、空き台が1台しかない。
しかもデータを見ると明らかに設定1ぐらいの確率しかない。

(これは困ったな…)

そう思っていると急に藤沢君がその1台しかない空き台に座りはじめたのだ。

僕はすぐに藤沢君に辞めるように言った。
初めてのパチスロで負けて欲しくなかったからだ。
せっかくやるなら勝って欲しかった。

だから、急いで僕は藤沢君を、止めにいったのだ。

藤沢君、その台ダメだよ!
出ないよ!
藤沢君
えっ?ダメなんですか?
設定悪そうなんだよそれ。それ打ったら負けるよ!
藤沢君
そうなんですか?

でも空き台これしかないんで。
良いですよ負けても(笑)


藤沢君はいつもこうだ。
ちょっと普通の人より金銭感覚がずれているのだ。

藤沢君曰く、実家はお金持ちではないそうだが、僕からみると十分お金持ちに見える。
美味しいものを食べる為には、金額を気にしないし、入った給料はすぐに全部使い切るし。
何でも、給料の8割は食費で消えているらしい。それほど、食べることが好きなのだ。

『将来の為に、色んな食べ物を食べておかないといけない』
と本人は言っているが、

『いくらなんでも食費にお金を使い過ぎだ』
と僕はいつも思っていた。

そんなわけで、藤沢君はお金に対して、あまり執着がないのだ。

どうせやるなら、勝った方が良くない?
藤沢君
別にどっちでもいいんですよ!第一待つのは面倒だし。

とにかく今日は一度"パチスロ"というものを経験しておきたいんですよ!

藤沢君のあまりの情熱に負け、僕はしょうがなく藤沢君に打つ事を許してしまうのだった。

わかったよ(渋々)

じゃあ5千円だけやってみたら?

ジャグラーという台は、比較的すぐに当たる台だ。
設定1であっても、"ヒキ"が強い時には、すぐにひいてしまえるのだ。

以前、僕は閉店間際にパチンコ店に行き、明らかに高設定である台だけを狙い、
"千円だけ打つ”という遊びをしていた時期がある。
千円でひけてしまう事もよくあるのが、ジャグラーの醍醐味だ。

藤沢君が打ち始めてしまったので、
店内をフラフラしようかなぁと思って歩き始めると、
後ろから肩を叩かれた。

藤沢君だ。

その表情は笑顔に満ちている。

藤沢君
GOGOランプ光りましたよ!
えっ、嘘(笑)もう?


僕は急いで藤沢君が打っていた台を見に行った。

すると、確かにGOGOランプが点灯している。

何回転で光った?
藤沢君
打ち始めて3回転ですね!やりました!
3回転とか(笑)

ビギナーズラックってやつか(笑)
藤沢君
そうかもしれませんね!

それでこれはどうしたらいいんですか?
7を狙えばいいんだよ!
藤沢君
最初はわかんないんでやってもらっていいですか?

全然見えないですし(笑)
わかった!


そして、僕は目押しをしてあげた。

“7”が止まった。

藤沢君は3回転でBIGをひいてしまった。
その時間およそ、1分も立ってない。
1分で、彼は6千円も勝ってしまったのだ。

結局この日、BIGをひいた後、少し回してからすぐやめて、5千円勝ちという結果になった。

もちろん、この5千円はその日のうちに藤沢君の食費に消えるのだった。

まぁでもこういった事はジャグラーではよくあることだ。
座った瞬間に当たった話はよく聞く。
実際に僕も何度も経験がある。

だから別に気にしてなかったんだ。

藤沢君に特別な力がある事に、僕はまだ気づいてなかった。


あれ、何かがおかしい...藤沢君のヒキの強さ


別の日、僕はまた、藤沢君に誘われパチスロに行く事になった。

どうやらこの前の5千円勝ちで、味をしめたようだ(笑)

藤沢君
さあ、今日も5千円勝ちして美味しいものを食べにいきましょう!
いいねぇ〜

でも人生そんなに甘くないよ(笑)
藤沢君
そうですよね。ギャンブルですもんね!

まぁいいんですよ!楽しめれば!

どうやら藤沢君は本当にパチスロにハマってしまったようだ。

しかも、今日は朝から来ている。
"朝の並び”というものを経験しておきたいらしい。

でも、前日のデータを全く見ていないので、メリットはほとんどないが、
藤沢君が楽しんでいるので、よしとしよう。

この店はいつも並んでいる。結構優良店なのだろう。
新台入れ替えの日やイベントの日は、かなりの行列が出来ている。

この店は”先着"ではなく、”抽選”だ。
早く並んだからと行って先に入れるわけでもない。

しかし、ある程度早く並んでおかないと、抽選にすら参加することができないのだ。
大体、開店する1時間前には並んでおかなくてはいけない。
そこで、人数確認をする為だ。その人数を元にくじを作る。

だから、人数確認をした時にいなかった人物は抽選にすら参加できないのだ。

僕らもその中にまじって並ぶ。

藤沢君
これですよこれ!一度パチンコ店の行列に参加したかったんですよ(笑)
そうなの?
藤沢君
そうですよ!このドキドキがたまらないですよね!

どうやら僕は、教えてはいけない人物に、
"パチンコの面白さ"を伝えてしまったかもしれない。

そう後悔しかけた僕だったが、
藤沢君の無邪気にはしゃぐ姿を見ると、
一瞬でそんな思考が吹き飛んだ。

そして、店がオープンした。

残念ながら、僕も藤沢君もくじで良い番号をひけず、
抽選した人物のなかでは後ろの方だった。
かといって、特に狙い台があるわけでもないので、
ゆっくりとホール内に入り、一通り一周した。

何のデータもなしに朝一座るのは得策ではない。

最近は、ホールのど真ん中にある"大きめのディスプレイ"で、
全機種の最近のデータが全部見れるようになっているが、
そんなものを見ている間に、すぐに空き台がなくなってしまう。

案の定、僕がディスプレイで全データを確認していると、
たちまち空き台が無くなってしまった。

まぁ元々僕は打つ気がさほどなかったわけなので、問題はないわけだが。

そんなことよりも藤沢君だ。
彼はどこに行った?

さっきまで僕の後から歩いてきたはずだ。
なのに、今はどこかへ行ってしまった。

恐る恐るジャグラーの機種が置いてある島に行くと・・・


いた!!


しかも打っている(笑)

藤沢君
やあ、三田さん!
やあ、三田さん!じゃねえよ(笑)

なに勝手に打ってんの?
藤沢君
えっ、パチンコ店来たら打つでしょ!


確かに彼のいうことはごもっともだが…

しかし彼が座っている台のデータを見ると、
ここ三日間出過ぎている。
三日連続で設定5か6であったに違いない。
そう思う程、ここ3日間は確率が良かった。

これ、3日間設定6じゃないかよ!
藤沢君
そうなんですか?

じゃあ今日も出るってことですか?
ちがうちがう!むしろ逆!
3日間も出た台は確実に店側が設定を下げにくるよ!やめた方がいい!
藤沢君
えっ、でももしかしたら、もう一回設定6ってこともあるかもしれませんよ?
まぁ100%低設定ってこともないと思うけど、とにかく元パチプロの僕が言うんだから、信じてよ!
藤沢君
そうですか。でももう3千円も入れちゃいました(笑)

とりあえず1回当たるまでやっていいですか?
わかったよ!でも負けて僕は責任とらないからね!
藤沢君
わかってますよ!ギャンブルは自己責任ですよね!


そうやって藤沢君は、なおも打ち続けた。

少しイライラしてしまった僕だったが、
ちょっと時間が経つと、

(さっきは何であんなにイライラしてたんだろう)
(今は労働じゃなく娯楽なのに)
(まだ職業病がぬけないなぁ…)

少し冷静になった。

しばらくして藤沢君の様子を見に行った。

すると、まだ現金を投入し続けている。

もうやめなよ!今でいくら使った?
藤沢君
今で1万円越えました(笑)

まだ行きますよ!
大丈夫?お金なくなるよ?
藤沢君
大丈夫ですよ!お金は使う為にあるんですよ!
まぁそうかもしれないけど...


僕にはもう彼を止める手だてはなかった。
しばらく藤沢君は辞めそうにない。
そう思った僕は、気分転換にコンビニへ行く事にした。

コンビニで少し立ち読みをする。
最近のパチンコやスロット機種の勉強をする。
昔流行ったスロットの人気シリーズが、
また新しくホールに導入される、という記事を見て、
胸が熱くなった。

この感覚は長い事パチンコをやっている人間ならわかるだろう。

人にはみんな自分の好きな機種、嫌いな機種がある。

好きになるか嫌いになるかの基準は、
その機種で”勝ったことがある"かどうかだ。

自分がトータルで勝ち越しているような機種は自然とみんな好きになるし、
逆に、いつも負けまくっている機種は嫌いになる。

ちなみに僕は昔からパチンコの機種では、
“エヴァンゲリオン"が好きだ。
この機種を打つとなぜか知らないが、大抵勝つのだ。

逆に嫌いというか、苦手な台は、海物語。
打てばいつも負けている気がする。
本当なら海物語は比較的当たりがひきやすい機種なのだ。
それなのに、僕は当たりをひいた試しがない。
相性というものはあるのかもしれない。

食い入るように雑誌を読んでいた僕だったが、

ふと我に返った!

こんなことをしている場合じゃない。

藤沢君の様子を見に行かないと!

もしかすると彼は2万円、3万円とつぎ込んで、
どんどんお金を使っているかもしれない。

彼の性格なら大いにあり得ることだ。

焦る僕は、急いで、藤沢君の元へ向かう。


すると、さっきまで座っていたはずの藤沢君がいない。

どこに行ったのか、ホール内を探していると...



いた!


ベンチに座りスマホをいじっている。

良かった!

諦めてやめたんだ。

そう思い、藤沢君のところに駆け寄る。

するとこちらに気づいた藤沢君がポケットから何かを取り出した。

藤沢君
見てください!これ!


藤沢君の手にはレシートが!!
レシートを持っているということは換金したということ。

まぁ1回当たりひいてやめたんだろうな。

そう思った僕は目を疑った。


2417枚


ちょ(笑)


241枚じゃなく、

2417枚!!


どんなトリックを使ったんだ…
ありえない、いやありえるはずがない。

そう思った僕は、急いでさっきまで藤沢君が打っていた台のところまで行く。

データを見ると確かに出ている。
しかもBIGばかり、当たり履歴を見ると恐ろしい。

当たり履歴というのは、当たりをひいた現在の回転数が蓄積されていく。

たとえば、200回転目に当たりをひいたら、
履歴に200回転と残り、
またカウントが0にリセットされる。

次に50回転で当たりをひいたら、
履歴に50回転と残り、
またカウントが0にリセットされる。

この状態でデータを見れば、

1回前 50回転

2回前 200回転

と表示されるのだ。

そして、藤沢君が打っていた台のデータを見てみた。

現在の回転数 30回転

1回前  11回転 BIG

2回前  34回転 BIG

3回前  2回転  BIG

4回前  22回転 BIG

5回前  14回転 BIG

6回前  47回転 BIG

7回前  8回転  BIG

8回前  31回転 BIG

9回前  25回転 BIG

10回前 9回転  BIG

11回前 547回転 REG

驚いた。

大体1万円で300回転回るので、
恐らく1万8千円ぐらいを投資し、
そこでREGをひいたのだろう。

そして、そこから怒濤の11連チャン。
ジャグラーではたまにこんな現象がおきる。
純粋な確率で出るはずのATYPEのはずなのに、
なぜか恐ろしく連チャンすることがある。

これはスロッターからは通称”ジャグ連"
と言われている。

全くの科学的根拠はないが、
なぜかストック機みたいな出方をするのだ。

だが、僕が驚いたのはそんなことではない。

僕が驚いた事は2つある。

1つは、藤沢君がほとんどBIGしかひいていないこと。
いくらヒキが強い人であっても、これだけBIGばかりひくのは珍しい。

それに全部の連チャンが50回転以内にきている。
この出方は脅威だ。

そして、もう1つはなぜ藤沢君がやめたかどうかだ。
普通の人ならば、これだけ連チャンをすれば、なかなかやめられない。
人間は欲深い生き物だ。

それなのに藤沢君は11連チャンしたあと、すぐにやめている。
僕だったらせめて100回転ぐらいは回すはずだ。
なのに藤沢君は30回転で辞めているのだ。

どうして30回転でやめたの?

まだ出たかもしれないのに?
藤沢君
いいんですよ!もう大満足なんで!

それに出たら出たで、次の人が嬉しいでしょ?

そういえば彼がこういう性格だったということを忘れていた。
彼はあまり金欲がない。
重要なのは楽しめるかどうだった。
彼に普通の常識は通用しない。

それにしても目押しよく出来たねえ!
藤沢君
いやぁ最初は店員さんにやってもらってたんですけど、だんだん呼ぶのも面倒くさくなってきて...

それで自分でやってみたら意外と出来ました(笑)
目押しは一度出来てしまえば簡単だもんね!

さすがです!
藤沢君
さぁ何食いに行きます?
寿司ですか?肉ですか?
何でもおごりますよ!!


僕はかつて師匠に教わった言葉を思い出した...

勝てば質素に負ければ豪遊

だから、勝った時は質素にするんだよ!
と、藤沢君に言いそうになったが、
よく考えれば今日は"仕事ではなく娯楽"にきている。
豪遊しても特に問題はない。

その事に気がついた僕は藤沢君と寿司を食べに行った!

藤沢君と寿司を食べに行った帰り、
僕は少し気になったので、
昼間藤沢君が打っていた台が、
最終的にどうなったか見に行った。

すると、驚いた。

藤沢君が打っていた台は、設定1の確率だったのだ。

藤沢君が打ったあと、ハマりにハマり、
ほとんど連チャンもしていなかった。
やはり低設定だったのだ。

この時、僕は初めて、藤沢君のとんでもないヒキの強さに気づいたのだった。


天は二物を与えた


それからもちょくちょくジャグラーを打ちにいったが、
行くたびに藤沢君は勝っていった。

(藤沢君はゴト行為を行っているのか・・・)

という疑問までもつようになってしまった。

僕にそう思わせるほど、彼のヒキは異常だったのだ。

しかし、打っている彼の姿を見ても何ら不自然なところはなく、
ただ純粋にスロットを楽しんでいるだけだった。
そもそも金欲があまりない藤沢君がそんな事をするはずがなかった。
少しでも藤沢君を疑ってしまった自分を反省した。

僕のアドバイスも無視し、独断で空き台に座っているにも関わらず、
なぜか千円や2千円でBIGをひいてしまう。
そして、いつも5千円勝ちぐらいするのだ。
その5千円で二人でご飯を食べに行く。

藤沢君は僕より年下なのに、いつもおごってくれる。

藤沢君
ギャンブルで勝ったお金だからいいんですよ!

誰かに与えていれば、いずれ返ってきますから!
ん?藤沢君、その話誰から聞いたの?
藤沢君
別に誰にも聞いてませんけど?
俺はずっとそうやって生きてます!
驚いたよ!俺の師匠と同じ事を言うんだもん!
藤沢君
そうなんですか?
でも大事なことですよね!

師匠さんもきっと良い人なんでしょうね!


やはり藤沢君はただ者ではなかった。

なにせ彼は某飲食店グループ会社の社長の息子だ。
たくさん良い教育を受けているに違いない。
幼い頃から、色々教わってきたのだろう。
でないとこんなに立派な人格が育つはずない。

あまり科学的根拠がないことは言いたくないが、
藤沢君の人格やスロットでのヒキを見ていると、
もしかしたら、"見えない力"みたいなものがこの世にはあるのかもしれない。

そう思わずにはいられなかった…



藤沢君の夢


藤沢君はことごとくスロットで勝ちまくったが、
残ったお金はいつも"ゼロ"だった。
全部すぐに使い切ってしまうからだ。

見兼ねた僕はある時、藤沢君に言った。

藤沢君!パチスロで勝って豪遊するのは自由だと思うけど、ちょっとぐらい残しておいてもいいんじゃない?
藤沢君
そうですね。でもいいんです。

ギャンブルで勝ったお金はすぐに全部使うようにしてるんです!別に儲かりたいからやってるわけでもないんで。
じゃあ何の為にパチスロに行くの?
藤沢君
俺が勝ったお金って本来はパチンコ店の利益になるはずのお金ですよね?

でも僕が勝って色々な飲食店で使ったら、その分日本の経済が回ることになりません?
ギャンブルとかで手に入れた予想外のお金っていうのは、そういうのに使ってやった方がいいって俺は思うんですよね!
なるほど、そういう考えもあるか。
藤沢君
だから俺は、ギャンブルで勝ったお金は溜め込まないようにして、すぐに使うようにしてます。

実際俺自身、美味しいものも食べれますし(笑)

だから、藤沢君はいつもギャンブルで勝ったお金は使い切るようにしていたのだ。


ところが不思議な事に、使っても使っても藤沢君はギャンブルに勝ってしまうのだ。


ある日藤沢君がこんなことを言い出した。

藤沢君
そろそろパチスロも飽きてきましたわ!
まぁいいんじゃない?

それだけ勝てば満足でしょ(笑)
藤沢君
はい、十分楽しめました!
社会勉強になった?(笑)
藤沢君
そうですね。
三田さんに連れいってもらわなかったら、きっと一生行かなかったと思います。
ありがとうございました!
僕は藤沢君のヒキの強さに恐れ入ったよ!
藤沢君は"神の手"を持ってるわ(笑)
藤沢君
なんですか神の手って(笑)

でも確かにスロット行けば勝てますからね。
ちょっとおかしいのかもしれませんね(笑)
ほんとだよ!

その能力が欲しい人がこの世の中にどれだけいると思ってんの?
藤沢君
そうですね!でもあんまり勝ちにこだわってないからひけるのかもしれませんね。
ギャンブルしてて勝ちにこだわらないやつなんてあんまいないと思うけど(笑)
藤沢君
あっそうですね(笑)
まぁ僕にとってはギャンブルは暇つぶしみたいなものなので。他の人がゲームしたり読書したりするのと同じですよ!
本当に藤沢君は金欲がないんだね(笑)

藤沢君は自分の野望とかないの?
藤沢君
野望ですか?
野望というか、夢ならあります!
藤沢君の夢ってなに?
気になる!!
藤沢君
やっぱり人を幸せにしてあげることですかね!

俺が幸せを感じる時って、決まって誰かに感謝された時なんですよ。自分の存在価値っていうか、自分の役割みたいなものを感じることが出来るんで。だから、その為に出来るだけたくさんの人を笑顔にして幸せにしてあげたいんです。

その一つの手段として俺は今の父親の仕事を継ぐことを選んだんです。父親の会社は、俺の地元では名前を知らない人がいないぐらい大きなグループなので、たくさんの人に幸せを提供させてあげる事ができる。

その分、大変な事もいっぱいあると思いますし、生半可な気持ちじゃ出来ないと思いますけど、俺はやってみたいんです。
たくさんの人に美味しいものを提供してあげて、幸せをあげたい。

ちょっとクサくなりましたけど、それが俺の夢ですね!

真面目でしょ?(笑)
まじか!立派すぎる!

それって他人の幸せが自分の幸せってことでしょ?

何でそんなに立派に育ったんだ(笑)

これが、僕の2個下の発言とは思えない。
この歳でここまで考えることが出来るなんて。

僕もちょっと見習わないといけないなぁと思ってしまった。


そして、藤沢君は、この日以来、パチンコ店に行く事を辞めたらしい。

やっぱり彼には金欲がないのだ。

普通だったら、こんなに勝てる"神の手"を持っていれば、
"スロットで稼げるだけ稼ごう"と思うのが人間だ。
それを飽きたからと言って、キッパリ辞めれるはずがない。

それだけ藤沢君にはお金への執着がなかったのだ。


それからしばらくは藤沢君からの連絡はなかった。



3ヶ月後...


久しぶりに藤沢君から連絡があった。


藤沢君
三田さんお久しぶりです!
元気にしてますか?
ボチボチですよ!
そっちはどう?
藤沢君
ボチボチですか(笑)そりゃ良かったです!

それより、俺、また楽しい事見つけちゃいました!!
楽しいこと?

なになに?
藤沢君
競馬です!!
笑笑


またまたギャンブルにハマる藤沢君でした(笑)


エピローグ

世の中には、確率や理論では説明できない事柄がある。

決して、数字では表すことが出来ず、そして科学的な根拠もないもの。

もしかしたらこの世界にはそういったものが溢れているのかもしれない。

人間がまだ解明しきれていないだけかもしれない。

藤沢君と出会って僕は"見えない力"みたいなものを身を持って感じてしまった。

でもそういうものはむしろ解明しない方がいいのかもしれない。

すべて確率や理論で説明できてしまったら、この世界はつまらなくなってしまう。

"女の勘"や"第6感"みたいなものも、あるとすれば面白い。

やっぱりこの世界は面白い。

藤沢君と出会って改めてそれに気づかされた。

まだまだ色々な経験をしてこの世界を楽しんでいきたいと思う。

一度しかない人生だ。

毎日悔いのないように、全力で生きようと思う。



<追伸>

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