とあるゲーム業界のブラック会社で夢の代償に僕が失った物。(終章)
もやし「あの、シナリオの経験がないので出来ま…」
(机の上の僕のフィギィアを投げる)
もやし「いえ、でも出来ないものは出来ま。。。」
どんがらがっしゃーんぎゃほーーーーーーー
(アスカとレイ、フィギィア大破、もやし緊急事態で涙)
こうして3日目、
もやし担当は
メインシナリオライター兼メインプログラマー
となりました。
無理やこれ…軍曹もグラフィッカーなのに…
どーも君失踪(プロジェクト3日/365日)
セイラさん編(徹夜のまま210日経過)
開発が全然終わらぬまま、最悪のタイミングでゲームショウ開催
1人2役なんで全然仕事が進まない。
猛暑の中、某有名マスコットの中で8時間パンフレットを配りました。
これもゲーム業界ならではの体験、
しかし憧れていたゲーム業界が実際こんな辛いとは思ってもみませんでした。
ユーザーさんからはゲームに関する質問や、グッズを買ってくれる人を見て僕は、
なんとかこのゲームを完成させよう、そんな気持ちになったのでした。
(ちなみに開発は数年遅れで、ユーザーはすでにキレながら質問してくる)
コスプレしたセイラさんとグッズや、声掛けを頑張ってました。
バッグヤードでふと、セイラさんが水をくれるついでに話しかけてきました。
もやし「急にどしたんですか?」
(小声で有名なヤクザの組を教えられた)
もやし「そっかそっかー」
…5分ほど沈黙
…えっ!!!
(暑さとか関係無しに、一気に噴き出る汗)頭が真っ白に
セイラさん「あと…今週で仕事辞めるからwおっ先~w」
最後の言葉は全然頭に入ってこない
セイラさん「内緒だけど子供出来たかも、旦那はリーダーね?言ってる意味解るね?ね?」
もやし「あ…はい…」
現場でこいつらは何をしていたんだと思ったりしつつ、
とりあえず口止めされた事は察したもやし少年。
今はそんなこと、気にしている猶予はないんだ…
夏の蝉の鳴き声がまだ聞こえる最中、
僕は自分の仕事を終わらせて、早く本社に戻ろう…そう決めたのでした。
セイラさん退職(プロジェクト210日/365日)
班長もどさくさに紛れて退職(プロジェクト210日/365日)
ケロロ軍曹編(徹夜のまま365日経過)
気づくとプロジェクトは、軍曹と自分の2名だけ…
軍曹と僕は会社の屋上(12F)で一緒にタバコを吸ってました。
もやし「いや…生活費引いたら無いに等しいです」
もやし>
昔からの夢でした。
ゲームのエンディングに自分の名前が載る事
でも実際載るって決まっても、今は嬉しくないんです
(夢が叶う瞬間ってもっとなんかあると思ったんですけどネ…)
自分なんかおかしいですよね?
さらっと危ない事を言う軍曹。
もやし「自分もそれはたまに思ってます…
それに、こんな辛い夢なら叶えなくて良かったんじゃないかって」
軍曹>
でもな、人生にコンテニューはない
やり直せない、だから一度しかない人生で
夢を叶えたお前は立派だよ
もやし「ありが…とう…ござ…(もやしへたれこむ)」
深夜24時、僕はタバコと軽食を取りながら考えました。
…もう夢は叶った
じゃあ僕、なんでこの仕事をしてるんだろう…
少し時間が止まって、思考が出来なくなり、屋上の手すりを超えました。
しかし手すりを掴んだ手を、ずっとすっと放すことは出来ず…
泣いて職場に戻りました。
戻ると軍曹も何故か泣いてました。
こんなのは人がやる仕事じゃない、俺達の扱いはあんまりだよ…
軍曹と2人きり、ずっと1年間、月400時間労働し寝泊りを一緒にしてやっと完成させたこのソフト。
ひょっとして働く事が生きる事より辛いんじゃないか。
そんなことを少し感じた夜でした。
唯一の生存者、軍曹(プロジェクト365日/365日)
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