私立文系出身のド文系人間が最先端の理系学会で発表する話 3

前回書いた通り、私が理系の最先端の学会で発表できたのも共著者の2人との出会いがあったからです。その2人との出会いは全く偶然でした。

出会いは2013年のMaker Faireでした。既に大学院で専門的にヒューマンインタフェースを研究している友人とMaker Faireを訪れました。

Maker Faireは在野のものづくり好きの人たちが日頃作っているものを発表したり、ものづくり支援の会社が電子部品やソフトを売っていたりといった場所です。友人の紹介でひとつのブースを訪ねました。

そこは「プロトタイピング講座」という講座のブースでした。電子工作未経験の社会人が土日の時間を使って講座を受け、出来上がった作品を展示していました。

「自分と同じような出発点から、ここまで来れるのか…」

そう思った私は、すかさずその講座の受講を申し込みました。その時は次回開催さえも未定でしたが…。

無事、第2回の開催も決まり、勉強を進めました。これほど目的を持って勉強したのは初めてかもしれない。とにかく楽しかったです。

ハンダ付けや電子回路、プログラミング。学生時代には無視していた理系の勉強に前向きに取り組んでいきました。やっぱり自分の意志というのが勉強を一番ドライブしていきますね。

Arduinoという簡単に電子工作ができる基板を作って、センサーから情報を受け取ったり、モーターをつないで動かしたりしました。そして、講座を受け始めて半年後、Maker Faire Tokyo 2014に出展することが出来ました。

その時に作ったのがこちら。

http://rpclass.com/projects/fy13/bowingpenguin/

そう、論文になった作品の原型です。携帯電話は音や映像でのコミュニケーションができるようになりましたが、嗅覚や触覚といったものはまだまだ伝わっていません。もし、そういった感覚を伝えることができたら、新しいコミュニケーションが生まれるのではないか。そんな思いから作りました。

こんなレベルのものを果たして人前に出していいものか…。出展前はとても悩みましたが、実際に出してみると小さい子供が興味を示してずっと遊んでいたり、大人でもこれ欲しいと言ってくれる人が出てきたり、ポジティブな反応が多くて本当に嬉しかったです。

無事出展も終わってプロトタイピング講座の講師の2人から届いたラップアップのメールを読んでいたら、学会に出るチャンスがあると書いてありました。「いくつかの作品はブラッシュアップすれば」という条件付きでしたが、学生時代に学会など出たことがない自分からすれば大きなチャンスです。「企業の研究でも学生でもない身分で学会に出るなんて面白いじゃん」ということでチャレンジすることにしました。

講師の2人と同じく手を上げた講座の参加者(この方はこの方で定年を迎えられてからも研究精神旺盛な方で、それがまた色々と凄いのですが笑)に実験に協力してもらい、論文を書き上げました。それが前回までに紹介した論文です。初めて提出した論文が、査読付きできちんと学会誌に掲載され、学会でデモ発表も出来た。なんとも人間1年で変わるものです。

1年前は学会の存在すら知らず、何も作ったことのなかった私立文系人間が、1年で非常に小さくはありますがアカデミアに残る引っかき傷を作ることが出来た。それは、まずその環境に身を置いてみること、そして迷ったら挑戦してみることが出来たからだと思います。それによって出会った2人の講師の方々、また友人によって形にすることができた。本当に感謝しています。

これからは世界でも引っかき傷を作れるように、どんどん挑戦していきたいと思います!自分は専門知識がないから…、と挑戦をあきらめている人に少しでも励みになれば幸いです。

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