30歳で脳の1/5が無いことを知って、心と精神が大振れ、でも○○だったことに気付けて、人生変わったという話

<

2 / 3 ページ

>
著者: 山田 結城


その日は、なんの不安も恐怖も感じてはいませんでした。

むしろワクワクしていたくらいです。


「液体ってなんだ?」「液体が脳の中にあるって?」


そんなことに興味津々で、好奇心だけが広がっていました。



他人事(笑)から自分ごと(泣)に

はじめは大笑いしていたものの、時間が経つごとに、CTの映像のことを考える量が増えてきました。


自分の脳なんて見るのは初めてです。

何が写ってるのか、無くなってる部分はどんな役割をしているのか。

そんなこんなで画像を眺めたり、ネットで検索したりしてました。


「中心部が普通の脳と比べて、ひしゃげてるるぞ!」

「頭痛とか眠れないのは、ここに理由があるんじゃないか?」


「おお、側頭葉は記憶なんだ!」

「ということは、、、メモリが少ないのかぁ、だから覚えるのが大変だったのかぁ!」


なんて感じで、へえー!、ほおー!と感心する時間が過ぎていました。




そして3日後。

僕の心は、とても笑えない状況になってしまいます。


描いていた未来ビジョンは完全に実現不可能と否定し。

目先のやりたいことは何も出来ず。

ただ痛みが過ぎるのを待つだけの日々。

同じ年代の人を見ると「どうせアイツらより早く死ぬんだから」という相対比較の考えしか浮かばない。


それは、

長いトンネルに一人でいるような感じです。

そして、向こうの方から、ライトがひとつずつ消えていく。暗闇が自分に向かってくる。

最後に、自分の上のライトが、チカチカしながらかろうじてついてる。

その灯りの下、虚無感の中でただ立ち尽くすしかない自分がいました。



悲壮感しか感じられない日々。

一日をとても長く感じていました。



心はボロボロ。身体もボロボロ。

頭痛のせいで、何も手をつけられない。

その状態にやりきれないストレスが日に日に蓄積してしまっていました。



そんな状態は、周りから見れば一目で分かりますよね。

みかねて、同僚が心配して声をかけてくれるんですが、


「そんな心配そうなエネルギーで近づかないでくれ!生きるのだけで精一杯なんだー!!」

「大丈夫なわけないじゃん、大丈夫じゃないんだよ」


と人の接触を避け、完全にふさぎこんでしまい、どんどん追い詰められていきます。




そんな時、いつの間にか、心の中で


「解決できるはずじゃないのか!」


という声が広がり始めていました。

未熟ながらも、人の人生に深く関わり、一緒に問題を解決していく中で、“問題は必ず解決できるもの”という確信がその声を生み出していたようです。



でも、真っ向から否定する考えも同時に動いていました。

「現実的にこの脳なら、どうみても無理でしよう」

という声です。



この頃、過去の記憶さえも変わっていきます。

「小さい時病弱だったのは、これが原因だったんだ」

「表現が苦手なのもこれか」

「これがなかったら、イジメられることもなかったのに」

過去の記憶の因果が、「脳の1/5がない」ことに結びつけ、どんどん書き換わっていきました。


自分という存在にショックが入ってしまうと、どんどん変わってしまうようです。ちょっと怖いですね。





頭の中では真逆の2つの声がグルグルしていました。

心の声と考えの声。

この二つの葛藤が自分の中で徐々に大きくなっていきます。

こういう葛藤は、何とも言えない辛さがあります。


周りにいる人の笑顔を見れば

「どうせ自分は・・・」

と相対比較の考えが反射的に溢れ出してしまいます。

まるで、考えの海の中でどこに行けばいいのかも分からず、あがきもがいているような状態でした。

石ころが幸せに見えるのはこんな感じなんだろうと実感できるほど、自分が小さくなってしまっています。

人との交流をさけ、光をさけ、もう分けが分からない自分がいました。



CTを見て、一週間後。

自分という存在に対して決定的なショックが入った瞬間が来ます。


病院からの帰り道。

歩いているときに、CT画像のイメージが脳裏に浮かびます。(脳が一部黒く写っている画像ですね。)


浮かんだイメージをぼーっと眺めていた時でした。


二つの声による葛藤が瞬間的に膨らみ、「バン!」爆発します。

はっとした瞬間。

自分と自分の世界が突如変わり始めます。




自分という存在と自分の世界が、ほんの一点の、その中の点へシューー!っと収束するしていくような感覚に襲われます。

今までの世界が点の中に、そして、そうではない無限大に広がっている世界が自分と自分の世界になってしまったんです。

その瞬間、


「今まで病人だと思っていた自分は、自分の一部だったんだ」


と気付きが来ます。

著者の山田 結城さんに人生相談を申込む