高木教育センターのありふれた日々(9)
「このレベルの指導が必要な子って、だれだ?」
小学生くらいにアルファベットから教える教師や講師はいくらでもいる。でも、いまさら
「ハイ、A、B,C」
なんて出来ないと思った。では、誰かと考えて見ると「京都大学の受験生」という結論になった。ただ、三重県の県立高校ナンバーワンの「四日市高校」でも、京大合格者は10名ほど。
旧帝合格者数(四日市高校、定員360名)
H27 H26 H25 H24
京都大学 12 8 16 10
物理的に当塾に通える人は半数もないだろう。しかも、当塾を選んでくれるとなると数名しかいないことが分かった。これが、通信生を始めた理由だ。通塾生だけではビジネスが成立しない。しかし、こちらも問題があった。
「北海道や九州の人が無名の三重県の個人塾を信用してもらえるのか?」
ここで驚いたのは、やってみたら申し込みが毎年増えて右肩上がりになったこと。京大受験生くらいになると、他人の動向―つまり、Z会や河合塾などしか信用しない多数派の動向―は関係がないことだった。
「良いものは良いと評価してもらえる」
勇気をもらえた。この子たちは、「他人の不幸は蜜の味」という歪んだ心の持ち主がいなかった。ただ、ひたすら前を向いて突き進んでいた。彼らと微積分の問題を解いたり、英作文の答案を検討している時は、私にとって最高の至福の時間となった。
逆に、人の足を引っ張ることや誹謗中傷しか出来ない情けない人を目に入れたくなくなってきた。同じ人生なら楽しいことに使いたい。カリレオの湯川先生の言う「犬のウンチ」の理論だ。
誰だって、犬のウンチを見て過ごすより、花や絵を見て暮らしたいに決まっている。歪んだ人がまわりに居ると気分が悪くなるから、誰だって近づきたくない。でも、世の中にはそんな先生もいるんだね。問題児が大好きな先生。私とは全く違う人種の方。
暴走族講師や、ヤンキー先生が人気が出る。落ちこぼれ軍団のドラマが人気を得る。日本社会は、そういう社会だから私など蛇蝎のごとく嫌われる。それでも、私は非行少年の相手はごめんだ。
当塾にいる優秀な理系女子は、こういう野蛮な世界が嫌いだ。私も嫌いだ。「象牙の塔」にこもりたいそうだ。あまりに異質な人間が周囲にいるのは困るという現実的な理由らしい。
私もその理由がよく分かる。キャンキャンわめく、うるさい犬が隣にいたら研究など出来るわけがない。どうして、ここまで「白い巨塔」にこもりたがるかというと、中学時代のガマンできなかった経験がベースにある。
ここ「いなべ市」の中学校では、ほとんどの活動が「班」で集団行動をさせられる。よりにもよって、絶対に近づきたくない相手と一緒に行動させられる。教師はそれが「助け合い」「絆」と自己満足しているようだが、優秀な子たちはトラウマになっている。私はこの「いなべ市」出身だからよく分かるのだ。
「もう二度と、あいつらには関わらない」
と固い決意で中学校を卒業していくこと。教師の方たちはご存知なのだろうか。
第八十三章
「四日市高校って、どんな学校?」
三重県の県立高校の進学実績が一番というと、四日市高校です。毎年、東大は5名ほど、京大は10名ほど。学年により変動は大きいです。ここ「いなべ市」の公立中学校だと100名規模の中学校で毎年合格者が2名か3人。
旧帝合格者数(四日市高校、定員360名)
H27 H26 H25 H24
1、北海道大学 5 10 2 7
2、東北大学 0 1 3 2
3、東京大学 9 2 3 3
4、名古屋大学 37 25 17 30
5、大阪大学 8 6 17 20
6、京都大学 12 8 16 10
7、九州大学 3 1 1 0
合計 74 53 59 72
定員360名の全員が、そういう秀才ばかり。すると、何が変わるのだろう。あまり知られていない。この状態は、私が現役の生徒の頃から変わらない。使っている教科書や問題集は何も変わらない。
皆さんは、小学校で九九を覚えたての頃に得意になって周囲の人の前でやってみませんでしたか?しかし、そのうち気づく。
「みんなが出来る」
そして、得意になって人前でやるのをやめる。周囲の全員ができる場合、次の段階に進まないと意味がない。いなべ総合学園なら
「オレ様が一番だ」
となると得意な気持ちになり、前に進むのが遅くなる。しかし、四日市高校では何を教えても得意になる余裕などない。全国で1ケタ順位になるような子もいたりする。いくら中学校で1番、2番だった子も周囲の全員が同じレベルでは
「私はごくフツーの子なんだ」
と思い知る。だから、決して立ち止まらず前に前に進むしかなくなる。ここが、桑名高校や川越高校とは違う点だ。だから、同じテキストを使っても気合の入り方が変わってくる。
四日市高校 http://www.shiko.ed.jp/
だから、私は難関受験校指導を始めるときに
「ポントは教材やテストではない。講師と仲間だ」
と分かっていた。だから、私は
英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級をとり
河合塾学園、名古屋外国語専門学校で指導し、2番人気講師になり
京都大学を7回うけ、英語8割、数学7割の正解率であることを確認した。
それだけではない。生徒も地元のトップクラスの子に集まってもらうことにした。もちろん、意図しても認めてもらわないと塾に来てもらえない。これは、中学時代にトラウマを持っている生徒の心理はよく分かっていた。
「素行不良の生徒はお断り。あるいは、退塾させる」
これは、覚悟がいる。蛇蝎のように嫌われる覚悟がいる。今の日本は、偽善者の方が多数派だから誤解される。でも、私は友達を必要としない生活を続けていた。
「私ならできる。私しかできない」
そう思った。高邁な理想は、傲慢でないと出来ない。きれいごとでは出来ない。それが20年前のこと。四日市高校、名古屋大学、アメリカでの指導経験などから導かれた判断だった。
既に、塾生の方が京都大学医学部、大阪大学医学部、名古屋大学医学部、東京医科歯科大学などに合格したので、この判断は正しかったらしい。そして、予測どおり蛇蝎のごとく嫌われた(笑)。
嫌がらせや誹謗中傷もあるが、想定内のことだからスルー。
第八十四章
「そんなことは分かっている」
京都大学の二次試験は和訳と英作文のみであることが多い。したがって、採点基準が明確ではない。それで、生徒の求めにより京都大学を7回受けて採点基準の推定をしてみた。そして、その結果を Youtube、 ブログ、ホームページ、フェイスブック、ストーリーズで公開した。
すると、知らない人から電話がかかってきて
「あなたは京大二次の採点基準を知らない。私が説明してあげます」
と話を始めた。つまり、受験生の採点をしながら基準の人をつくる。その人よりこっちが上だから加点し、その人より下だから減点する。定石どおりだ。そんなことは、京大受験生でなくても誰でも分かることだ。その当たり前のことを上から目線で、得意げに解説をするわけだ。
私は馬鹿馬鹿しくなって
「ハイ、さようなら」
と電話を切っておいた。分かりきったことを拝聴しても時間とエネルギーも無駄だからだ。頭のよくない人の特徴が満載の話し方だったのだ。先日も、ベクトルの問題で質問が出たので、ベクトルではなく時間を短縮するためにxy平面を使って解く方法をほのめかしてみた。ヒントのつもりだった。
たいていの子は、私の意図に気づいて問題は解決するが一部の子はベストのヒントに
「きちんと答えてください」
と言う。ヒントであることさえ気づけないのだ。そして、
「学校の先生の言うことによると」
と分かりきった解説を始める。
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