高木教育センターのありふれた日々(9)
くらいにしか思ってない。もちろん、絶対にそんな男子に接近しない。付き合うなんて、とんでもない。冷静だから、優秀な男性で将来生活が安定しそうな相手を選ぶに決まっている。
アホな女子は恋愛を夢みて語るが、賢い女子は
「お見合いでもいい。両親の方が人を見る目があるから」
と言う子もいる。クールなのだ。もちろん、そういう判断が全てうまくいくとは限らない。しかし、安定した生活をおくれる確率は恋愛至上主義の女子より確実に上だと思われる。バツイチの私が言うのだから、間違いない(笑)。
歌謡曲だけではない。ドラマも、漫画も、恋愛話でないとヒットしないかのようだ。中学生も、高校生もそんな雰囲気の中で恋愛至上主義に陥る子が多い。勉強そっちのけになる子もいる。
ところが、賢い子の好みは全く違って女子高生でも「リーガルハイ」を見て弁護士になりたいとか、「下町ロケット」を見て技師になりたいと言う子もいるのだ。「石狩挽歌」や「マイウェイ」などラブソング以外が好きな女子もいるのだ。
そんな女子を前にして、エロエロの男子はお呼びでないことが分かるだろうか。
私が名古屋の大規模塾や予備校で40人の講師の中で2番の人気があったのは(生徒アンケート)どんな質問があっても決して感情的にならず親切、丁寧をむねとしていたからだと思う。
私も四苦八苦をしながら勉強してきたから、どんな簡単な質問も決してバカにしたりしない。自分もかつてそうだったから生徒の気持ちが分かる。本当に才能のある生徒は新幹線のように進むから、景色がよく見えない。でも、鈍行の私は失敗しまくってきているのだ。
また、女子も男子も関係なく同じ態度で接することが可能だ。だから、優秀な理系女子は「知識豊富」「親切丁寧」「エロ度ゼロ」といった指導者として必要な条件を満たしていることを敏感に感じ取るのだろうと思う。
そう判断する根拠は、理系女子の学校の教師への不満が上記3つだからだ。質問をすると
「次回までに考えておく」「こんなことも分からんのか」
だし、冗談でウケようとエロ話全開だし、最低だという不満が多い。私は名古屋の7つの予備校、塾、専門学校で多くの講師に出会い、この生徒の指摘が正しいことを知っている。
私は落ちこぼれの教育に情熱を向ける先生がいていいと思う。クラブ活動も好きな子はやればいい。ただし、それは浮きこぼれた生徒の犠牲の上に成り立っている。そして、浮きこぼれの子の中には
「ふざけんじゃねぇ」
と思っている子が少なからずいる。そして、おそらくそういう子たちは官僚になれば
「アホたちから税金を搾り取ってやる」
と思うだろう。メーカーになったら、
「インチキしてもバカたちは気づかないだろう」
と思うかもしれない。だから、恨みを抱かせないためには学校は強制をやめるべきなのだ。発情期のオスに、優秀な理系女子を強制的に「助け合い」をさせるのは不可能と知るべき。
少なくとも、現状は大失敗しているとしか言えない。
第八十七章
「悪いけど、つきあっていたら落ちてしまう」
若い頃、
「なんで、ジジイはあんなに硬直してガンコなんだろう?」
と不思議に思うことがあった。しかし、自分がジジイに近づき徐々にその理由が分かってきた。最初に気づいたのは名古屋の大規模塾で受験指導をしている時のこと。中年おオバサン講師が
「あの上位クラスの指導は絶対にイヤ!」
と講師室で言っていたことだった。私にとってはトップクラスは指導しやすいのに、なんでだろうと思っていたら
「先生はあのCランク大卒なんですか?」
と突っ込まれたそう。自分の子供の年くらいの生徒にバカにされたことが許せない気持ちだったらしい。私は
「女は感情的だから困ったもんだ」
と思っていた。しかし、自分が親になって子供を持ってみると気持ちが少し分かった。子供を育てる時は、白紙の赤ちゃんから育てるわけだから圧倒的に自分の方が経験値が上なのだ。
それに慣れてしまうと、いつの間にか子供が自分を追い越していくことが残念というか悲哀というか淋しい思いをすることがある。大げさに言うと自分の人生の大きな役割を終えた感がある。
そんな後輩に追い抜かれただけでなく上から目線で
「私の方があなたより上だ」
みたいな扱いを受けるのはプライドが許さないのだろう。
プライドには実力で裏付けられたプライドと、中身が空っぽの空威張りがある。前者は尊重すべきだろうけど、後者はバカにされても仕方ない。オバサン講師の場合、後者だった。
こういう場合は、中身を充実させてプライドを維持するか、その場から逃げ出すか、二者選択になる。オバサンは逃げ出す方を選んだわけだ。オジサンの場合は、頑固オヤジに変貌して怒鳴りつけるわけだ。
私は中身を充実させる道を選んだために、高校生に混じってセンター試験や京大の二次試験を受けるハメになった。私はそういうことに無頓着だから気にしないが、変な目で見られたことは間違いない。
でも、空っぽのプライドで空威張りしたり怒鳴るような頑固オヤジにはなりたくなかった。今もなりたくない。私の指導させてもらっている才能豊かな生徒は、私が10年かけて身につけたことを3年でマスターしていく。私はそういう頑張り屋さんが好きで、嫌う理由がない。
その一方で、勉強嫌いの子もいる。先日も
「先生、減点から(0,8)までの距離は何ですか?」
という質問があった。質問の意図が分からないので、
「その図を見たら分かるでしょ?」
と答えたら
「マス目がありません」
と言う。意味が分からないので、詳しく聞くと
学校ではマス目のある座標軸を使用している。
習っていない問題はやる必要がない。
この2点が主張の論点だと分かった。分かったが受け入れるわけにはいかない。相変わらず中学校は、底辺の子にスポットを当てて授業をし、問題を提供している。最悪だ。
もはや、学校はマジメな生徒が学習するには、無益な場所になってしまった。
第八十八章
「オランダ人は、背が高い」
平均身長が世界一高いオランダ人の、背が高い理由を
「フランス、ドイツの大国に挟まれて大きな軍人が必要だった」
と言った人がいた。大きな軍人が必要なため、大きな人どうしが結婚を繰り返したと言うのだ。遺伝子の話だから説得力がある。
ところで、当塾の理系女子の暴言が目に余るので女子度の残る文系女子に
「理系女子がアホな男子など絶対につきあわないって言ってるけど、B子ちゃんも?」
と尋ねたら、答えない。やっぱり弁えがある。それで、
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