占いを実行して、占いの意味を知る 【出会い】

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次話: 占いを実行して、占いの意味を知る 【変化】
著者: 三輪 ミキ

私の想像していた占い師は、なにやらベールのようなものをまとった髪の長い細面の美人だったのに、まるで賃貸契約の書類に目を通す客と不動産屋、といったところだ。

あれ?水晶玉とかのぞき込んだりしないの?と、さらにきょろきょろした。

ドラえもんのような占い師は、コピー用紙に私の氏名と生年月日を書き、8とか9とかよくわからない数字を書き足していた。

整体院を開業したいと思っているのですが、と切り出すと、分厚いレンズの向こうの小さな目が私を見据えた。私からは特に何の説明もしなかったのに、ドラえもんはこう切り出した。

 

今年の4月に思い立って南に動いたか。

あなた、収入が2/3以下になったでしょう。

こういう星回りの時にこういうことが起きるんですよ。

動いちゃいけない時ってあるんですよ。

努力は必ず報われる、なんてことは、ないんです。

そんなこと言ったらみんな成功するじゃないですか。

そうじゃないんですよ。

きちんと時をよまないと。

あなたは今、正確な判断ができなくなっているからね。

人生は選択の積み重ねなんです。

判断を誤れば命を落とすんですよ。

暇つぶし、なんてしている時間は無いですから。

時間を潰すなんて、命を潰しているのと同じなんですよ。

わかってほしいですよ。

このままそこにいても駄目だからね。

もう30歳超えているからいいでしょう。ちょっと苦労するけど。

あなた来月、北東に出なさい。

マニュアルも付けて、渡しますから。

 

話は2時間にも及んだと思う。

私は何を言われているのかよくわからないまま、気が付くと、駅前のファーストキッチンの座席に腰を下ろし、ぐったりとしていた。

なぜだろう。ひどく疲れていた。

なんだろう。ひどく叱られた気がした。

 

えぇと、なんだっけ?と渡された白い封筒に目を落とす。

『未来情報の実証気学塾』と右下の隅に書かれたその封筒には、マニュアルと地図が入っていた。マニュアルを引っ張り出す。右上は糊で一枚一枚止められていた。プリントアウトされたそれを、ドラえもんが、わかってほしいですよ、わかってほしいですよ、と繰り返しながら貼り付けていたのを思い出した。

糊付けされたすぐ下に今日の日付が書かれている。

2006年9月27日。

 

2006年10月10日から11月3日の間に、

 別紙、地図の北東の範囲内に

 事前の情報収集なしに、事前の連絡や下見なしに、

 突然に転居先を探し始めて(それまでは人に言わず行動もしない)

 2006年10月10日から11月3日の間に、

行動して、実際に住み始めること。』

 

・・・。

えぇと、今日は9月27日で、2週間後には物件を探し始める、と言うこと?

4月に引っ越しをしたばかりなのに?

自分でお店を出すには、という話じゃなかったっけ?

それまでは人に言わず??

 

その後、

2008年5月9日から6月3日の間、もしくは、

2008年9月9日から10月4日の間に

お住いの位置から

北西の範囲内に(詳細はその時点でお問い合わせください)

事前の情報収集なしに、事前の連絡や下見なしに、

突然に転居先を探しはじめて(それまでは人に言わず行動もしない)

上記のいずれかの期間に、

行動して、実際に住み始めること。』

 

・・・。

えぇと、さらに2年後にまた引っ越しをしろと?

なぜに??

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