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約8割の子どもが歯磨きスキル向上。クリニカKid’s初の「loTハブラシ」開発秘話

著者: ライオン株式会社

129年に渡り、お口の健康を追求してきたライオン株式会社が提供するオーラルケアブランド「クリニカ」。その子ども向けブランド「クリニカKid’s」から2020年9月、ブランド初となる「loTハブラシ」を採用した子どもの成長をサポートする新製品「はみがきのおけいこ」が誕生しました。


きちんとした歯みがき習慣を身に付けるのが難しい3〜6歳の子どもに対して、みずから歯みがきを続けたくなる仕掛けを散りばめた本製品は、モニター調査で約8割の子どもが歯みがきスキルを向上させたという結果に*1。

*1 2020年3~6歳男女児 n=37(ライオン調べ)


検証と改善を幾度も重ねて、自信を持ってお届けできる製品が完成しました。その開発秘話をオーラルケア事業部の遠藤と、CXプランニングチームの笠原が語ります。


<製品名>

はみがきのおけいこ ※スマートフォンは製品には含まれません。

<製品特徴>

インターネットに接続して使うloTハブラシを初採用。アタッチメントにクリニカKid’sのハブラシを取り付け、オリジナルのアプリと連動して使用する。子どもが歯みがき習慣を身に付けることを目的とした機能が多数搭載されている。

<希望小売価格>

11,000円(税抜)


68%の子どもが一人で歯みがきできない

遠藤:

この製品を作るにあたり、最大の課題は「子どもに正しい歯みがき習慣を身に付けさせること」でした。私も娘がいるのでわかるのですが、子どもって本当に歯みがきが嫌いなんです。弊社のアンケートでは、3~6歳の子どもをの68%が、自主的な歯みがき習慣が定着していませんでした*2。

*2 3~6才子どもをもつ母親 n=1,423 2019年ライオン調べ


また、これは子どもの歯みがき実態を調査した結果です。歯みがきの重要性を理解していないし、楽しいと思えないこともあり、実践度はわずか11%*3 。中には泣き叫ぶ子どもを羽交い締めにして歯みがきをさせる、なんて方もいるほどです。当然、保護者の歯みがきに対する負担も重く、何かしら歯みがきの悩みを抱えている母親は86%にものぼります*4 。

*3 0~12才子どもをもつ母親 n=332 2019年ライオン調べ

*4 3~6才子どもをもつ母親 n=1,423 2019年ライオン調べ


子どもの歯みがき嫌いは、多くが「触覚防衛反応」によるもので、反射的に身を守ろうとハブラシを口に入れることを本能的に避けてしまうんです。その事実を踏まえると、保護者が習慣づけるのは決してラクなことではありません。


ヘルス&ホームケア事業本部 オーラルケア事業部  遠藤知佳

遠藤:

クリニカKid’sでは、長年「子どものムシ歯を予防する」という目的を第一に据えて、高い機能性をメインに開発をしてきましたが、それだけでなく子どもがみずから歯みがきの習慣を身に付けることで、保護者の心理的負担を軽減したいと考えました。


私どもがよく保護者のみなさんにお伝えしているのが、「親と子どもが一緒に過ごせる時間は、幼稚園を卒園する時点で3分の1も消費*5してしまう」というメッセージ。貴重な幼少期だからこそ、毎日の歯みがきでさえも親が子どもの成長を実感できる大切な時間にしてほしいという願いがこの製品に反映されています。

*5「平成23年 社会生活基本調査」総務省統計局より計算


そして、もう1つ、子どもが成長するにつれて個々に適したオーラルケアアイテムを提案することで、弊社のロイヤルカスタマーを増やしたいとの思いもありました。


弊社では以前から「loTハブラシ」の研究が進められていたこともあり、さまざま検討した中で、デジタルデバイスによって子どもの努力とその結果を見える化することがモチベーション向上につながるのではないか、またデジタルとの接点ができることで消費者と直接的なコミュニケーションが取れるメリットを考え、「loT活用」という方向性が固まりました。


妥協なき開発のために「アジャイル方式」を採用

遠藤:

大枠の方向性が決まったはいいものの、その後の開発は決して順調とは言えませんでした。普段はハブラシという形のあるモノを作っている私たちが、アプリを通じた体験を設計する。これは想像以上に大変な作業だったんです。

遠藤:

私と研究員の1人がディスカッションしながら書き起こした最初の製品イメージがこちら。ハブラシが親と子どもの間に入るキャラクターとして歯みがきのアドバイスや応援をすることで、子どもの友達のような存在になり、スキル向上をアシストできたらと思ったのですが、この先の一手がまったく思い浮かばなくて……。


笠原:

「自分たちだけでは限界があるし、やっぱり専門家の声が必要だよね」となり、 鶴見大学の歯科専門家・朝田芳信教授と日本女子大学の絵本研究家・石井光恵教授のお力を借りることにしたんです。開発にあたり、お二人には都度アドバイスをいただき、製品仕様に反映させました。


さらに、今回は147人の保護者のみなさまにも多大なご協力をいただきました。未知のアイテムだからこそ成功のカギを握るのは「消費者の声」です。まだ製品がカタチになる前の段階で、手作りの紙芝居をアプリ代わりにしたプロトタイプを使ってモニター調査を行い、そこで得られた結果を機能に組み込みました。


多くのフィードバックを反映させるにあたり功を奏したのが、普段のウォーターフォール式ではなく、アジャイル式の開発手法を採用したこと。これは、要件定義をガチッと固めずにシステムを作りながら、トライアンドエラーで改良していく手法です。作って壊してを繰り返すので時間は要しますが、アジャイルでなければ思い描いていた製品に仕上げることはできなかったと思います。

ビジネス開発センター エクスペリエンスデザイン CXプランニングチーム 笠原清香

子どもの成長をサポートする“仕掛け”が満載

遠藤:

具体的な機能面で言うと、子どもの心理などを探るうちに、以下の3つが「子どもの自発的な歯みがき」に欠かせないことがわかりました。


  1. 外発的な動機付け→小さなご褒美などを与えて、やる気を引き出す
  2. 内発的な動機付け→歯みがきが上達することに対する興味を引き出す
  3. 上記の1→2へ無理なく誘導すること


1のご褒美を与えることは家庭でできても、2と3は家庭では難しいと感じたので、「はみがきのおけいこ」では、この部分をサポートすることに重点を置きました。


遠藤:

積極的に歯みがきを続けたくなる仕掛けとしては、以下を採用しました。


  1. 歯みがきが気持ちのいいことだと思えるように、泥んこになったキャラクターが歯みがきをすることでキレイになり、キャラクターが喜ぶように設計
  2. アプリ上のイラストと音声で、みがくべき場所とハブラシの動かし方を学べる
  3. 歯みがきに対して点数評価やご褒美を与えることで、「成功した」と認識できる体験を積み重ね、やる気を引き出す


「歯みがきって気持ちいいことなんだ」「毎日歯みがきが上達している」という実感を積み重ねていくことでやる気を引き出し、歯みがきという行為自体に興味を持ってもらえるところまでをゴールとしています。


歯みがきの点数評価は、アタッチメントに搭載された加速度センサーで手の動き(位置・速さ)を把握し、その情報をアプリ内で計算処理をして、瞬時に点数を出しています。このデータは日々蓄積されるため、成長具合が一目瞭然なんです。

 

その他、忙しい朝などにはアプリの起動なしでも使えるよう「音だけモード」を搭載し、兄弟で利用できるようアタッチメント1台で3つのアカウントを登録できる機能も付けました。


遠藤:

キャラクターはあえて既存の人気キャラではなく、オリジナルで開発した動物を5種類用意しました。すでにイメージが固まっている既存キャラよりも、子どもがみずからキャラクターに名前と性格を与えることで、友達として仲良くなりやすいと考えたからです。子どもが認識しやすいよう、丸・三角・四角を使ったシンプルなデザインもこだわりです。


初期段階では3体のキャラクターしか出てきませんが、使い続けるうちに隠しキャラとして追加の2体が登場します。


消費者データを有効活用し、パーソナルな提案へ

遠藤:

今回、販売経路は通販ショップのLOHACOのみとしました。同社では、LOHACO Insight Diveというメーカー向けのデータマーケティング支援サービスを展開されていて、これは顧客とのコミュニケーションや販売の促進等への活用を目的にLOHACO上の購買・行動データをメーカーに提供するものです。


弊社で持っている消費者の年齢や利用履歴のデータと購買・行動データを連携させることで、1人ひとりの行動実態と習慣に基づくパーソナルなオーラルケアのご提案をするのが狙いです。


loTハブラシを採用したことで、アプリ上で消費者と直接のコミュニケーションが取れるようになったため、適切なタイミングで適切なオーラルケアのご紹介をしていく予定です。


約8割の子どもが成長!予想以上の結果に歓喜

遠藤:

「はみがきのおけいこ」は、事前のモニター調査で、とても良い結果が出ています。


遠藤:

3ヶ月間にわたって実施した調査では、飽きずに続けられた子どもが77%*6、子どもの成長を実感した保護者が89%*7と、私たちが予想した以上の好成績となりました。

*6 2019年3~6歳男女児 n=22(ライオン調べ)

*7 2020年3~6歳男女児 n=37(ライオン調べ)


遠藤:

どれぐらい歯垢が除去できたかも調べたところ、2週間の利用でアプリモードで1.9倍、音だけモードでも1.8倍の伸びが見られました。また、ご購入いただいた消費者の方からも非常に嬉しいお声をいただいております。


<利用歴>

3ヶ月

<利用頻度>

休日と在宅勤務の日は朝昼晩とアプリを使用、出社日は朝昼が音だけ、夜はアプリを使用

<利用後の変化>

点数・星の数が増えたり王冠が表示されたりと見た目が工夫されていて幼児でもわかりやすいので、「ちゃんとみがけたから歯が全部白くて王冠がもらえた」「ここがピンク…」と本人なりに振り返りをしています。また、みがき残した箇所を仕上げみがきの前にもう一度自分で磨くようにもなり、以前は見られなかった姿に驚いています。また、これまでは幼稚園がお休みの日でも1日2回の歯みがきが限界でしたが、使い始めてからは毎食後(1日3回)磨くようになりました。

<保護者のコメント>

既存のキャラクターのように元々の細かな設定がない分、子供たちが動物たちの性格や汚れてしまった理由などを自由に想像することができます。まずは、歯みがきをさせるのにストレスを感じている保護者の方に、そして、空想遊びが好きなお子さん、動物が好きなお子さん、お世話好きなお子さん、ごほうびシールなどを集めるのが好きなお子さんにおすすめしたいです。きっと夢中になると思います。また、子供が自分で磨くとき・仕上げ磨き‪のときに絶妙なタイミングで流れる一言コメントが、アプリとわかっていても大人でもちょっと嬉しくなります。


遠藤:

予想以上の高評価を頂き、我々もとても驚いております。プロトタイプを使ったモニター調査と専門家のアドバイス、そして開発スタッフたちの熱量のおかげで、長く使っていただける製品ができたのだと思います。


笠原:

未知のアプリ開発で振り返ると苦労は多かったのですが、真摯に消費者が持つ課題と向き合った結果、素晴らしい結果を得ることができました。初のloTを活用したハブラシとして、良いロールモデルとなる製品ができたことは嬉しい限りです。


はみがきのおけいこに関するプレスリリースはこちら




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