DXから一番遠いところにいた幼児教育部門が、オンラインで得た手応え
オンライン+リアルの学び その2
DX(デジタルトランスフォーメーション)から一番遠いところにいた幼児教育部門が、オンラインで得た手応え
「幼児教育がオンラインで出来るなんて思っていませんでした」と話すのは、やる気スイッチグループの執行役員でチャイルド・アイズ本部の鈴木愛子本部長。この知育(知能教育)教室は、いちばん小さい生徒は、まだおむつも取れないような2歳児から始めることができ、知能因子論にもとづいた知育玩具のブロックやカードなどを使って楽しみながら学ぶうちに、思考力・判断力・表現力を養い、「脳の器を拡げる」カリキュラムを提供する。
国内の幼児英才教育市場は幼稚園・小学校受験向け教育サービスを含み年間およそ500億円規模といわれる。共働き世帯の増加と高齢化社会で祖父母からの支援でいわゆる「シックスポケット」により、少子化にも関わらず学費援助は増加傾向にある。
チャイルド・アイズは立ち上げから今年で20年目となり、教室数は全国で130以上、7500名の生徒を擁する。年間の売上高はおよそ20億円で、幼児教室業界では3本の指に入る規模。派手さはないが、やる気スイッチグループの事業の中でも安定した成長を見せている。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、チャイルド・アイズでは3~4月は休校措置を取っていたが、5月のゴールデンウィーク明けからオンライン会議システムを使った授業に移行することになった。オンラインの授業を始めるために、チャイルド・アイズ全体のカリキュラム設計や改訂を行う本部の教務チームが授業のシナリオを細かく作成して、現場の講師たちをサポートした。
オンラインの授業への移行にあたって、チャイルド・アイズには3つの懸念点があった。
まず1つ目は生徒。チャイルド・アイズの生徒は1歳半から小学生まで。小学生はまだしも、下は1歳半から。じっと椅子に座っていることもままならないような幼児に対して、果たしてオンライン授業が可能なのか…?
2つ目は、PCはおろかIT知識に自信のないチャイルド・アイズの講師たちがオンライン会議システムを使いこなせるかどうか……(チャイルド・アイズの講師や教室長は子育てや小学校受験を経験した女性が多く、平均年齢は50歳超)。折しもグループでは期間システムの一斉導入やマーケティングのデジタルシフトが進む中、ことITスキルに関しては、チャイルド・アイズはグループの中でも他部門に比べて心許ない部門の代表格。いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)から最も遠いところにいた。
そして3つ目の課題は、オンラインの授業が初めてだといっても「一方通行の授業にならないようにすること」。
ところが、それらの心配は杞憂に終わることとなった。
「最初は本当にできるのかと不安だったのですが、普段から『考える習慣』が身についているお子さんは、目の前に考える材料があって、それに対応してくれる大人がいる環境があれば、教室でリアルにレッスンするのと大して変わらずに学べることが分かったんです」(鈴木)。また、通常は教室では保護者を同伴させず ”母子分離” の状態で1講師に最大4名までのレッスンを行っているが、オンラインでは親が隣で付き添うことで、「子どもの学ぶ姿に新たな発見があった」「講師の子どもに対する接し方から気づきを得た」などのポジティブなフィードバックが保護者から寄せられた。コロナ対応でチャレンジせざるを得なかったオンライン授業の経験とノウハウをもとに、海外や離島などでの展開もありえると意欲を見せている。
講師のITスキルについては、「4月下旬に差しかかった頃に、講師向けのオンライン授業の研修を行いましたが、果たしてどこまで出来るだろうかと不安で一杯」だったところ、ゴールデンウィーク明けに顔を合わせると、誰もがオンライン会議システムの接続からレッスンの進行までスムーズに使いこなせるようになっていた。「1週間余りでどうやって習得したのかと聞くと、インターネットで調べたり、家族に教えてもらったりしたことを教室内や部門長で共有したり、別々の部屋に分かれて何度も何度もレッスンのシミュレーションをしたということでした。今までのITスキルを考えると相当な努力をしたことが想像でき、涙が出そうになりました。」(鈴木)
そして、双方向性についてはどうか。「実際にいろいろなパターンでリハーサルをしてみて、対面授業とオンライン授業の違いで気づいたことを一つひとつ共有しました。例えば、生徒への声がけと保護者の方への声がけの内容とタイミングはきっちり分けて、生徒に声がけをしている途中で保護者に声をかけないこと。なぜなら、生徒に『この丸と三角で何ができるかな?』といった問いかけをしている最中に、『お母さま、明るすぎてお子さんの表情が分かりづらいので窓のカーテンを閉めてください』というように保護者に話しかけてしまうと、オンライン会議では生徒も保護者も誰に何を話しかけているのか分からず混乱してしまうことが分かりました。」そういう場合は、いったん生徒とのコミュニケーションが終わってから保護者の方に話しかけるよう、マニュアルに留意点として追加。その他にも、オンラインでの講師と生徒の言葉のキャッチボールを円滑にするためのポイントが指導マニュアルに次々と追記され、各教室に広がっていった。
チャイルド・アイズでは例年、教室での授業の他に、受験準備の私立小学校の説明会や「行動観察」「面接特訓」といった小学校受験のワークショップをは春から夏にかけて開催している。緊急事態宣言をきっかけに、それらも思い切ってオンラインに切り替えた。
まず5月初めに、これまで会場の関係から定員1会場あたり100~200名程度で行っていた市立小学校合同説明会をオンラインで開催してみると、1回あたり300名が参加した。昨年までは東京と神奈川で2回開催して合計300名程度だった参加者が、一気に600名超に。そこからこれらのイベントやワークショップのオンライン対応が加速し、外部生も参加できる4種類のイベントを合計14回、試験や模擬テストを12回、さらに小学校受験以外にはオンライン知育などもトライし、現在、グループ内のどのブランドよりオンラインでのサービス提供や販促イベントに積極的に取り組んでいる。
先日はチャイルド・アイズの教室がない熊本県の方からオンライン授業での入会申し込みも受け付けた。「今はもう、とにかく何でもやってみよう!と前向きに取り組んでいるところです。」(鈴木)
[ 次回: オンライン+リアルの学び その3 |学習の鍵を握るのは、オンラインでもリアルでも”自律的”に学習できるかどうか ]
やる気スイッチグループ 公式サイトURL:https://www.yarukiswitch.jp/
チャイルド・アイズ 公式サイトURL:https://www.childeyes.jp/
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