地域のために今なにができるのか。創業74年目のリブランディング。
株式会社パラドックス(以下、パラドックス)は、「企業独自の価値=こころざし」を抽出し、それをもとにコーポレート・採用・カスタマー・インナーといった各種ブランディングを行っています。今回は、事業変革にあたってリブランディングをお手伝いさせていただいた株式会社ナウエル様のプロジェクトをご紹介します。
「らしさ」を見つめ、 人とつながり、人をつなげる。
山形県米沢市を中心とした置賜(おきたま)地域に寄り添う互助会として、冠婚葬祭やホテル・レストラン事業を運営している株式会社ナウエル。新型コロナウイルスの影響で、全国的に婚礼や葬儀のような儀式の数が激減している中で、同社の酒井社長は「一時的な変化ではなく、10年後の未来が目の前にきた」と語ります。創業74年の企業が、事業変革とリブランディングに踏み切った理由をお伺いしました。
愛する置賜の人たちのために、もっとできることはないだろうか。
「先人たちが築いてきたものがあるから、うちは大丈夫。最初はそう思っていましたが、それは間違いでした」。新型コロナウイルスが世界的に広がり始めたころを振り返り、酒井社長はそう語ります。一時的に耐えしのげばいいわけではなく、世の中の考え方そのものが大きく変わり始めている。そのような状況下で、今後もすべての従業員の雇用を守り続けるためには、ホテルや典礼ホールなどの固定資産に頼った事業だけでは立ち行かない可能性がある。だからこそ新たな事業の創業が必要だったと、酒井社長は続けます。
「婚礼や葬儀のキャンセルが相次ぎ、従業員の方々に仕事が提供できない日々が続いていました。一方で、関連会社である株式会社スマートライフの訪問介護事業では、人手が足りていない状況があったのです」。冠婚葬祭という観点では、地域に貢献できているかもしれないが、愛する置賜地域の人たちの本当の課題は、別のところにあるのではないか。地域に人々の本当にニーズは、人生の節目といった「点」だけでなく、日々の暮らしの「線」にある。そこから、訪問介護や家事代行を請け負うサポート事業の構想がはじまりました。
10年後の未来が目の前にきたなら、10倍のスピードで動くしかない。
新事業の社内への告知は2020年6月、事業の開始は同年10月。従業員を守るためとはいえ、これだけスピード感をもって決断ができる企業は少ないのではないでしょうか。決断の早さの理由を酒井社長はこう語ります。「世の中の動きを見ていて、今回の変化はいずれ訪れることだと感じました。いうなれば、10年後の未来が目の前にきてしまった。であれば、自分たちも10倍速で変わるしかありません」。
「変革」と「スピード」を最優先事項として掲げ、新事業の検討を押し進める中で、見えてきた一つの壁。それは、これまで掲げていた理念との関係性でした。「これまでのミッションは『人々の暮らしに深く根差した、感動あふれる文化を創りつづける』でした。しかし、新事業の構想を進めるうちに、その理念では従業員一人ひとりに、なぜナウエルがサポート事業をやるのか?という大義を説明できないということに気づいたのです」。大切にしてきた理念の刷新を役員会で提案。社長の想いに反対する役員は1人もいなかったそうです。誰よりも従業員のことを考え、置賜という地域を愛している酒井社長の言葉。だからこそ、反対する人は1人もいなかったのではないでしょうか。
一人ひとりがのびのびと、 自分「らしさ」を発揮できる企業へ。
社長をはじめ、役員や事業部長が集まり、新たなミッションやスローガンの検討が始まりました。10名それぞれが自身の想いや考えを付箋に記入し、何度も議論を重ねる中でキーワードとして浮かび上がったのは「らしさ」という言葉でした。
これまで婚礼や葬儀でも大切にしてきたその人「らしさ」を常に見つめ続けるという姿勢は、新たな事業でもずっと大切にしていきたいこと。そして、自分たちからまずは置賜地域の人たちとつながりながら、その「つながり」の輪を大きく広げていこうという意志を込めて、新たなミッションやロゴ、スローガンが制定されました。
新しいナウエルの顔となるロゴマークは、「人」という文字をキーモチーフとして使用し、それは同時にナウエルの「L」や「ハート」でもあります。
オレンジ・イエローの2色は「お客様」と「ナウエル」の象徴。まずは 自分たちが周囲の人とつながりながら、人のつながりをつくるという私たちのミッションを表しています。
また、このロゴは創業の地である米沢の「米」をかたどっており、真ん中の正方形は地域のコミュニティを表現しています。人と人のつながりをつくり、米沢から置賜地方、 そして日本中へコミュニティの輪を大きく広げていくという決意が込められています。
74年目の新たな1ページ。
2020年9月30日、社内でのキックオフイベントが開催され、社員の皆様が新しいナウエルカラーのマスクやバッチを着用し、新たな門出を迎えることとなりました。10月から山形県の民放4社で新生ナウエルのテレビCMが放映され、地域の人たちから「ナウエルさん、ガラッとイメージが変わりましたね」とのお声をいただいているようです。
最後に、リリース後の反応や今後の期待について酒井社長は語ります。
「いい形でリリースできて安心しましたが、あくまでもゴールではなくスタートです。正直、また戸惑っている社員もいるかもしれません。これから一人ひとりに向き合って社内の浸透を進めていければと思います。そして、みんなが生き生きのびのびと、自分の『らしさ』を発揮して働ける会社になっていきたいですね。お客様はもちろん、置賜のパートナー企業一社一社のそばで伴走できるような会社になれればと思います」。
まさに今、ナウエルの新しい1ページが始まろうとしています。
あとがき
世の中が大きく変わっている昨今、世界中で事業変革を必要としている企業は多いのではないでしょうか。今回、リブランディングプロジェクトのお手伝いをさせていただいた私たちパラドックスにとっても、このスピード感は大きなチャレンジとなりました。しかし、長年築かれてきたナウエル様のDNAと、経営陣の皆様の強い想いがあったからこそ、途中でブレることなく理念のリリースを迎えられたと思います。2020年10月より新たな事業がスタートし、これからが本番です。引き続き、微力ながら、長く深く伴走させていただければと思います。
クライアント企業情報
会社名:株式会社ナウエル https://www.nowl.co.jp/
住所:山形県米沢市松が岬2-1-19
代表取締役:酒井 登
事業内容:『「らしさ」を見つめ、人とつながり、人をつなげる。』をミッションに、冠婚葬祭事業を通して、置賜地域に深く根ざした感動文化を創造し続ける企業。74年の実績と誇りを胸に、常に変化を遂げながら時代にフィットするサービスを提供しています。
ブランディング企業情報
会社名 : 株式会社パラドックス http://www.prdx.co.jp
住所 : 東京都港区北青山3-5-15 ミヤヒロビル10F
代表取締役 : 鈴木 猛之
事業内容:「志の実現に貢献する」ことをミッションに、企業や人が大事にする価値観やあり方を深く洞察し、世の中に提供している使命や意味(=志)を言語化・視覚化。その企業や人にしか語ることができない“独自のストーリー”を軸にした本質的なブランディングを行い、日本の人々がもっと誇りを持って生きていける社会の実現を目指しています。
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