オンライン接客で急成長を遂げたライフネット生命。コロナ禍のニーズにいち早く応えられた背景を探る
業界に先駆けてオンラインでの生命保険の販売を始めていたライフネット生命保険株式会社。電話での応対に加え、チャットツールでのお問い合わせ、お申し込みのサポートにも取り組んでいました。
そこへ訪れた、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行。
対面での営業が難しくなるなか、チャットツールからのお問い合わせや、お問い合わせ後のウェブからの申し込み件数が増加。会社としての成長にも繋がっています。
こうした社会情勢の変化を受け、ライフネット生命では「オンライン接客に関する調査」を実施しました。
本調査の結果も踏まえながら、ライフネット生命のオンライン接客の取り組み、コロナ禍での迅速な対応について、チャットチーム担当者の安城氏が振り返りました。
保険会社の「オンライン接客」の現状
生命保険会社のオンライン接客は、大きく分けて、「対面の営業をオンラインに置き換えたもの」と、「対面の営業を行わない前提のもの」の2種類に分けられます。
前者は、Zoomなどビデオ通話ツールを使用した保険相談です。生命保険会社の営業職員や来店型保険ショップの販売スタッフの方が活用し始めているものですね。
後者は、チャットを通じて行う保険相談で、こちらは有人対応のチャットとAIによる自動応答のチャットBotに分けられます。
ライフネット生命では、対面での営業職員にかかる人件費を削減して低廉な保険料の商品を実現するため、後者の有人対応チャットを行っています。
当社では、2020年11月に「オンライン接客に関する調査」を実施しました。
その結果、これまでにオンライン接客を受けたことがあると回答した方は全体の約2割程度でした。
主な利用理由には、「家で接客を受けられるのが便利だから」が挙げられています。
仕事や家事の合間に利用している方が多く、オンライン接客の利便性の高さがうかがえる結果となりました。
当社では、今後更に普及していく可能性があるのではないかと考えています。
当社がチャットでの対応を始めたのは2017年で、当初はノウハウも無いなか、回答範囲や対応方法を模索しながら進めてきました。
現在ではノウハウも蓄積されており、お客さまからも非常に良い反応をいただいています。
電話対応のみだった頃と比べ、対応数も申込率も向上しました。
対応数について、2019年度成長率は対前年度比165%、2020年度成長率は対前年同期比189%と年々数字を増やしています。
ライフネット生命が見る保険業界の「オンライン接客」の変化
保険業界では、長らく対面での営業が前提とされていました。
私自身、以前別の保険会社にいた頃には、インターネットでの保険加入に懐疑的な考えを持っていたひとりです。
業界的に前例のない取り組みであるため、他の保険会社さんは様子見をされていたのではないでしょうか。
その後、インターネットでの保険販売が増えているのは、当社が毎年伸びつづけていることも背景にあるのかもしれないと思っています。
また、現在進行形で流行している新型コロナウイルス感染症により、対面営業が難しくなりました。
今後、ますます非対面で営業できるオンライン接客のニーズは高まっていくのではないでしょうか。
実際に、チャットでお問い合わせされるお客さまは、30~40代がメインでありながら、年齢層の高いお客さまからの問い合わせもいただいています。
また、チャットというと簡易的な相談をイメージされる方も多いですが、1時間以上、なかには3時間ほどやり取りをするお客さまもいらっしゃいます。
これも、スキマ時間を使って、やりとりを継続できるチャットの大きなメリットだと感じています。
お客さまからの問い合わせを受け、スピード感ある対応を実現。コロナ禍における「オンライン接客」
新型コロナウイルス感染症が国内でも大きく取り上げられるようになった2020年2月下旬頃から、お客さまからの問い合わせが増えてきました。
「感染した場合に保障の対象になるのか」「出勤停止になった場合に保障の対象になるのか」といった内容が多く、加入者の方の他、感染拡大に際し保険加入をご検討されている方からも、同様のお問い合わせが寄せられていたのです。
そうした相談が増えてきたことから、2020年2月25日、チャットサービスを担当しているテキストコミュニケーションチームから「ウェブサイトに情報を掲載した方がいいのではないか」と提案が出されました。
そこから急ピッチで案内ページを作成、およそ3日後に「新型コロナウイルス感染症に関連したご案内」の掲載にこぎ着けました。
ウェブページへの掲載だけではなく、ご契約者さまには繰り返しご案内のメールも配信しました。
これらの対応には、Twitterなどで「対応が早い」とのコメントもいただきました。
2020年3月13日には、ご契約者さまに向けた取り組みとして、保険料の払い込み猶予期間の延長、保険金や給付金の請求の簡易取り扱い案内を開始しています。この対応にも、お客さまから「非常に助かった」とご意見をいただいています。
お客さまからも評価していただけた対応の早さは、早期段階で新型コロナウイルス感染症対応チームを、責任者も含めたメンバー構成で立ち上げられたことが大きかったと考えています。
チーム専用の社内チャットも立ち上げ、やり取りを密に行っていました。
関連部署のメンバーもこのチームに入っていたため、連携や対応が迅速にできたのだと思います。
「これをやろう」となった場合、みんなが一丸となって動く社内風土も、いち早い対応実現に繋がったのでしょう。
また、もともとウェブページをはじめとしたオンライン上での情報発信をメインとしてきた土壌があるため、情報を一元化してわかりやすくまとめたり、その情報にお客さまが迷わず辿り着ける道筋を作ったりするノウハウも持っていました。
電話対応のみだった場合、なかなか通話が繋がらずお客さまを長時間お待たせすることになってしまったでしょう。
チャットで相談できれば十分、情報が見られれば十分など、お客さまのニーズに合わせた情報提供の場を作ることで、急増するお問い合わせに対応できました。
一方、チャットツールの伸びで見えてきた課題は、個人情報の取り扱いです。現在はセキュリティー上、受け付けられていないセンシティブ情報も、一人ひとりのお客さまに沿った対応をするためには扱える必要があります。今後の課題ですね。
オンライン接客の高度化とオフラインとのワンストップ対応を目指して
今回当社が行った「オンライン接客に関する調査」に寄せられた感想を見ると、感染リスクを避けるために非接触サービスを使いたいと思っている方の他、「移動時間が節約できる」「忙しいときに利用したい」と多忙な方にニーズがあることがわかりました。
一方で、細かなニュアンスの伝達や多少のタイムラグの発生など、課題もあります。
より一層多くの方にオンライン接客を使っていただけるよう、当社でもサービスの改善に力を入れていきたいと考えています。
お客さまによって、必要な情報は異なります。しかし、ウェブサイト上のバナーやメールなど、一律での情報提供に留まっているのが現状です。
今後は、ご契約者さまなのか、保険のお申し込みをご検討中なのかといったステータス別に必要な情報をご案内するといった、オンライン接客の高度化を進めていきたいと考えています。
さらに、オンライン接客の高度化と合わせて、オフラインの使い方も考える必要があります。
現在は、当社を含め、チャットはチャット、電話は電話で対応窓口が分かれていることが一般的です。
しかし、チャットでの対応中、必要に応じて途中からワンストップで電話対応に切り替えられれば、お客さまの利便性はより高まります。
オンラインとオフラインの良さを上手く取り入れた接客を模索し続けていきたいです。
今回の新型コロナウイルス感染症対応に関して、これまでのノウハウも活かしながら、急激な社会情勢の変化に迅速に対応できたことは良かったと感じています。
スマホが普及するなか、チャットサービスは世代を問わず利用できるものになりました。
今後もオンライン接客の質向上を図りながら、「生命保険を、もっと、便利に」を体現し続けていきたいですね。
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