男37歳、父になり気づいた「育児環境をよくしたい」想いが "女性限定アプリ" になるまで
子どもが生まれる同月、当時勤めていたアマゾンジャパンを退職。株式会社クレヨン(東京都、代表取締役社長 森屋大輔)を設立した。
小学校の卒園アルバムには、政治家になりたいと書いた。やがて政治よりもビジネスで社会を変えたいと思うようになった。
独身の頃は、解決すべき課題がわからなかった。海外でMBAをとり、自己研鑽に投資した———— 子が生まれる準備を始めると、育児関連に課題が溢れていることに驚いた。
「育児の正解がわからない」「保活に1000時間を費やした」情報を求めて調べるほど、正解がわからなくなって沼にはまった。時間を要する情報収集、思うようにいかない育児、世の中の女性は一体どう仕事と育児を両立しているのか。
育児は、幸せと孤独が隣り合わせ。育児が始まると、泣く赤子を隣にどうして良いかわからず、戸惑いを隠せない。ミルク、おむつ変えをして、それでも泣いている時、調べても答えは見つからず息詰まる。
ふと女性(を含めたマイノリティ)の昇進や目に見えない区別等を表すThe glass-ceiling index で男女の差が少ない国として1位のスウェーデンに着目。男性の育休取得が進んでおり、育児における男性参画が高い国にある「コーヒーや甘いものを囲んで休憩したりおしゃべりする“Fika”」を通してリフレッシュする習慣こそが、特に乳幼児を育てる育児世代に求められていると考えた。
スウェーデンで“Fika”の習慣があるように、アプリを通じて気の合う仲間と話してホッと一息つける瞬間や、情報入手をして育児中の女性をサポートするアプリを作りたいという想いを込めてFiika(フィーカ)と名付け息苦しさを感じ、育児をアップデートしたいと考えるようになった。
日本はOECD平均から大きく遅れをとった28位となっている。対象国が29カ国の中で最低レベル。
The Economistより。女性が仕事と育児をしづらい環境にあるのをどうにかしたいと思った。
妊娠中・育児中の女性に向けたFiika(フィーカ)アプリをリリースした
Fiikaアプリは、妊娠中のプレママや子育て中の女性がお出かけスポットや保活情報などの狭小情報を交換できる「ママ友」を作ったり、「保活情報」を探すことができるアプリだ。育児の話ができない、共感が得られない孤独感や必要な狭小情報にリーチできない世界を変えたいと願った。
実は男性に向けたサービスを作りたかったが、育児は、まだ女性の世界の気がした。まずは女性向けのサービスからスタートすることにした。
育児中は可処分所得や時間が減る時期なので、マネタイズが苦しい。子育ての大変さ、幸せと悩み、焦りがわかるのは、実際に子供を育てている人だけ。当事者として育児をしながら、時間を捻出しユーザーに求められるサービスを作る難しさを身に染みて感じた。
会社設立に伴い、調達を試みた。米国で女性向けのアプリ大手Peanutは「マネタイズはない」と公言しても累計資金調達額は2,180万ドルとのことで、知人が紹介してくれたVCと面談した。ズタボロに撃沈した。
大先輩にエンジェル投資をいただき、実際に入金されると、額面以上の重みがあった。自分を鼓舞する目的で「選択肢は苦しい方」と連呼して家族に呆れられた。
育児トークンエコノミーを導入したいと夢に沸いたが、リソースが足りなかった。目の前のバグ潰しに追われ、ビジョンに辿り着けないもどかしい日々。
経営コンサルティングで売上をたて、開発費に回した。エナジードリンクを毎日5缶飲んで、育児や仕事をするのが常態化した。
「男性は女性のサービスを作れるわけがない。うちの奥さんは育児で困ってることなんかない」と心ない男性に言われ、悔しい思いをした。
そんな中で2020年には育休中のママが7人もインターンとしてチームに入ってくれた。和気藹々のチームは逞しく、厳しい意見とともに次のアクションが明確になった。よりユーザー目線でサービスを作るための施策策定に近づいた。
2021年は保育施設空き情報や新設施設の情報をタイムリーに保活中のユーザーに届けるべく保育施設運営会社と連携したい。
コロナ渦をうけてアプリ上での情報強化を目指す自治体とサービスを作っていきたい。
中長期目標としては、男性向けのサービスを展開することで、より男性が育児参加しやすいプラットフォームを作っていきたい。
何より、価値観が近い「パパ友」と情報交換しながら開拓する育児はもっと楽しそうだ。
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