産育休者の本音を届けたい!働きやすい職場とは?〜551名の産育休者アンケート調査に込めた想い〜
「育休コミュニティMIRAIS(ミライズ)(以下MIRAIS)」は、「なんとなく過ごす育休をなくす」をビジョンに掲げている、オンラインで活動する産育休者向けのコミュニティです。
MIRAISは所属するメンバー自身が運営を支えており、企業等における部署の役割を果たす「チーム」が存在します。MIRAISではポリシーとして「ノーリスクな練習場」を掲げており、チームは未経験の仕事であっても希望すれば参加することができます。
そのチームの一つに広報チームがあります。MIRAISの認知度向上やイベント告知などを目的にメディアに対する発信を担当しており、5期MIRAIS(2020年10月~2021年3月※1)では主にプレスリリースやこのSTORYの発信をしています。MIRAIS広報チームでは、過去に2度、育休者のリアルな声を社会に届けるためにアンケート調査、及び分析結果の発信を行っています。毎回、アンケート結果についてのリリースは記者からの問い合わせが多く、TBSテレビ『グッとラック!』で取り上げられるなど、広報活動の中でもメディアから高い反響を受けた実績があります。
今回はMIRAIS広報チームで「仕事と家庭の両立に関するアンケート」を実施した結果、勤務形態に関わらずキャリアアップを望む産育休経験者(以下育休経験者)は約6割、企業が仕事と家庭の両立の大変さを理解してくれないと感じたことがあると回答した復職経験者は約7割に上りました。
このアンケート活動のリーダーであり、企業の人事担当者でもある倉島が、活動に込めた想いを語りました。
出産して当事者となり、初めてわかった育休者の心情
『仕事人間』と言われるほど、とにかく人事の仕事が大好きでした。初めての育休で、子どもとの時間はこの上なく幸せでしたが、夫以外の大人との会話がない日々に物足りなさを感じていました。それまでの自分が消えてしまいそうな不安を感じ、育休中にできる活動を求め、MIRAISに参加しました。
これまで、出産経験は無くとも育休者の力になりたいと、育休を取得する社員を支援する立場で仕事をしてきました。しかし、いざ自分がその立場に立ってみると、産後の体調管理から慣れない育児、家事分担の調整、保活、今後のキャリアパスなど、復職までに自力で乗り越えなければいけない様々な壁の数々に愕然としました。今までの自分は育休者の本当の気持ちは分かっていなかったことに気が付き、胸を衝かれました。
アンケートで社会に一石を投じたい
育休者が本当に求めていることを知りたい、周囲にも知ってほしい。そう感じていたところ、広報チームで過去に行ったアンケート調査がメディアで取り上げられたことを知りました。たくさんの人に知ってもらうにはこれだ!とアンケート調査に挑戦することに決めました。
過去のアンケートは育休中の過ごし方やパートナーシップがテーマだったため、今回は復職後の『働く×産育休者』に焦点をあてることに。復職経験のあるメンバーとの会話の中で「仕事と育児は両立しやすい職場だと思うけど、会議が夜からあって母親に横で子どもをみてもらいながら参加した」というエピソードをきっかけに、制度があっても職場風土が整っていない現状が多く存在するのではないかと疑問を持ちました。今回のアンケートでは、仕事と家庭の両立に関して、現状と理想を調査することに固まりました。
「社会に一石を投じたい」と熱い想いをもって集まった5名の広報チームのメンバーでアンケート活動はスタート。全員が4月からの復職を控えた育休者。育児の合間を縫って、ほぼ毎日SlackやZoomを使ってのコミュニケーションをとりながら活動を進めてきました。
必死に集めた500人以上の声
今回のアンケートは、より多くの人にアンケート結果を届けることを最優先に考えました。大きなメディア等で取り上げてもらうには一定の回答数が必要で、過去の参考数値から考えて目標回答数を500に設定。
回答数を増やすには、アンケート回答へのハードルを低くするために質問数を絞る必要がありました。聞きたい項目がたくさんあり、質問を絞ることにもどかしさを感じましたが、結果的に納得のいくアンケートが出来上がりました。
アンケート配信直後は、予想以上に回収率が低くメンバーは焦りました。そこで友人、知人への依頼、育休者向けのイベントでの告知だけではなく、最近流行りのSNSであるClubhouseを始め、恐る恐るルームを作り回答を呼びかけるなど、できることは何でもする姿勢で奮闘しました。
アンケートに回答することが社会を変える一歩に
アンケートの周知には苦戦しましたが、依頼した方からの回答率は高かったと感じています。それは、育休経験者がなんらかの課題を抱えており、その想いを語りたい、誰かに届けたいと、理解してもらえてない不足感を感じているためではないかと推測しています。
予想していなかった反響としては、回答者からの「自分のキャリアを振り返るきっかけになった」「女性の働き方を変えてくれる一歩に参加できた」という嬉しい声がありました。回答依頼は「相手に手間をかけるお願い」と考えていたため、驚きと共に、必ずこの声を必要なところへ届けなくてはと、責任感をより一層強めました。
仕事と家庭の両立支援 鍵は諦めないコミュニケーション
アンケートから、復職経験者の約7割が仕事と家庭の両立の大変さについて理解してくれていないと感じたことがあり、その主な原因は職場風土であることが分かりました。しかし、上司と十分にコミュニケーションを取れている人は両立に関して不満を感じている人が格段に少ないという結果が出ています。復職者と企業側、どちらか一方にでも、相手に対する思い込みや理解してもらえないだろうという諦めがあると、働きやすい風土作りは難しくなることが、自由記述欄から分かりました。
結果を見て、職場における両立への理解が進んでいない現状を改めて認識するとともに、「コミュニケーション」という解決の糸口が分かり、今回のアンケートを実施して良かったと強く思いました。人事担当者としては、両立しやすい職場風土ができるとより活躍できる人が増えるという確信を持つことができ、さらに前向きに社会に働きかけをしていきたいと決意を新たにしました。
育休経験者がより活躍できる社会に
育休を経験しても、時短勤務などの勤務形態に関わらずキャリアアップを望む人は約6割。育休の当事者である私たちの予想よりも高い割合でした。時短勤務希望だから育児優先だろうと想像するなど、行動や選択から育休者の希望を推測するのではなく、面と向かって本音を聞く必要性を強く感じました。成果を出しても子どもがいるからと評価されない、現行の制度にあてはまらない働き方でなければ評価されないといった声もありました。企業側のそういった対応は復職者の仕事へのモチベーションを下げてしまい、企業にとっては大きな損失につながりかねません。育休経験者に限らず、時間に制約のある人材も活躍できるよう多様な働き方が認められる環境が広がってほしいと考えています。
そして、育休を取得する方も企業側に対して遠慮せず、諦めずに自分の希望を伝えてほしいと思います。企業も社会も変化しています。過去に認められなかった働き方が認められるかもしれません。
もし、あなたの希望が残念ながら叶わなくとも、それは未来のための足跡になり、社会を変えるための大切な一歩になります。
【参照】
※1:MIRAISは1期6ヶ月
アンケートに関するプレスリリースはこちら
【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
育休コミュニティMIRAIS 広報:金澤、芝田
メール:ikukyu.community@gmail.com
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