広島の老舗蔵元「千福醸造元 三宅本店」の若きリーダーが導く「味にこだわった酒造り」
1856年に創業。千福を主要銘柄とし、広島・呉で酒造りに取り組んでいる、株式会社三宅本店。日本酒をメインに置きつつも、新しいチャレンジをし続けることを大切にしています。
チャレンジを続けた結果、「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2020」のSAKE部門においてゴールドメダルを受賞するなど、さまざまな結果を残すことができました。
今回は、株式会社三宅本店 取締役の三宅清史が、挑戦した内容やその背景、チャレンジを続ける理由や今後の展望についてお話しします。
■会社を継ぐうえで必須になる「マネジメント力」を自ら積極的に学んだ学生時代
私自身は、蔵元の7代目として生まれ、幼少期より「おそらく会社を継ぐだろうな」という意識はずっと持っていたように思います。継ぐうえでマネジメント能力は必須だと考えていましたので、学生時代は吹奏楽部の副部長やテコンドー部の副主将を務め、その中で基本的な考え方を学びました。
人はどうしても行動するうえで感情が入ってくるものです。部活での経験を通じて、それをいかに出さずに作業に取り組んでもらうためにはルール決めが重要であることを認識しました。
そして、アルバイト先ではマネージャー職を経験しました。
何かをするうえで、信頼がないと人間は動かないもの。その信頼を得るには、人の3倍働き行動で示すことが一番いいのだということを、アルバイト生活で学ぶことができました。
中学から大学にかけて学んだマネジメント力は、現在の仕事でも活きていると感じています。
■3年で社内のスピード感を改善
入社してからは、良い意味でも悪い意味でも「会社の緩い部分」を改善していきました。
私は「チャレンジを行い、もし失敗しても改善してまた挑戦すればいい」という考え方を持っているので、組織全体の考え方を変え、スピードアップしようと試みたのですが、結果としてそれを実現するのに3年ほどかかりました。
具体的に取り組んだのは、新商品を市場に出すスピードを速めることです。
「失敗も経験になること」を社内に理解してもらってから進めたものの、最初のうちは、みんな半信半疑で取り組んでいたように思います。上手に思いを伝えきれずに私と現場の熱量の差が生まれてしまった失敗もあります。うまくいったことばかりではありません。
しかし、そこでも「何倍も働いて行動で示す」というモットーを貫いたことで、徐々に周りからの信頼を得られ、結果としてさまざまな実績につながりました。
また、酒造りの改善とともに、酒造りのコンセプトを「最高に旨い酒を求め続ける」に決めました。弊社の杜氏に元々「最高に旨い酒を求め続けたい」という強い思いがあり、それを明文化したものです。
言葉にすることで我々の考えをよりお客様に伝えていきたいという思いもあり、この形にしました。そして、千福の価値を伝えるためにあえて「千福」の酒銘を前に打ち出す商品づくりを決意しました。
■改善の結果、IWCでのゴールドメダルなど多くの賞を受賞
酒造りの改善を進めた結果、ありがたいことに国内外でさまざまな賞をいただきました。
2020年の全国新酒鑑評会での受賞やワイングラスで美味しい日本酒アワードでの金賞受賞などどれも喜ばしい結果ですが、特に嬉しかったのは、社内でも難しいと思われていた「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2020」でのゴールドメダルの受賞です。受賞が決まったときは、社内でも驚きと喜びでかなり沸きました。
また、フランスで2017年から毎年開催されている日本酒コンクール「Kura Master 2020」の純米大吟醸酒部門でも「千福 純米大吟醸 蔵」が審査員特別賞をいただきました。
受賞の大きな要因になったと感じているのが製法の変更です。杜氏が良いと思っていた手法を新たに採用し、より“旨い酒”を求めて決断しました。
ただ、弊社の中でも主要製品だったので、「悪い反応もあるのでは」というネガティブな意見が出たことも事実でした。しかし、我々が目指すのは「最高に旨い酒」。大きなチャレンジでしたが、結果につながってよかったと思っています。
■新たなチャレンジを続けている理由とは
私が入社してから、ターゲットを極端に絞った商品作りや数々のキャラクターとのコラボ、甘酒の商品化などかなりさまざまな挑戦に取り組んできました。
なぜこれほどまでに新たなチャレンジをし続けられているのかというと、「しない後悔よりも、やって後悔した方がよっぽどいい」という考えがベースにあるからです。現状維持は衰退だと思っているので、成長するためには挑戦が必要不可欠だと考えています。
現在も、社内外で新しいチャレンジを進めているところです。新アルコール事業を始めとした新たな分野への取組みなど、3年後・5年後を見据えた計画を立てています。
これからも最高に旨い酒を求めて挑戦を続け、今後は「千福だったら美味しいよね」「ここを選んでおけば安心」と、誰からも思ってもらえるような銘柄にしていきたいです。
(監修:三宅本店、取材・文:ameri)
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