サステナビリティに優れたセラミックコーヒーフィルター。波佐見の職人と共に実現した、プロにも認められる製品へ込めたこだわりの裏側とデザインカンパニーの挑戦。
「デザインで社会を元気にする。」ことを目指すh concept(アッシュコンセプト株式会社)は、オリジナルブランド +d(プラスディー)をはじめとする生活用品の企画製造販売、全国の企業・産地のデザインコンサルティング等を行うデザインカンパニーです。
2023年4月、多孔質構造を活かしたセラミックフィルターブランド「cerapotta(セラポッタ)」の第1号製品『セラミックコーヒーフィルター』を日米同時発売しました。
本製品は波佐見焼の伝統と、多孔質セラミック製造における最先端技術によって製造されており、紙フィルターを使用せずにおいしいコーヒーを淹れられるほか、半永久的に使える点が魅力です。アッシュコンセプトが大切にしてきたこと、そしてセラミックコーヒーフィルター誕生の経緯や製品特徴、今後の展望について、代表の名児耶秀美(なごや ひでよし)と、開発の名児耶海(なごや かい)よりお伝えします。
デザイナー、企業や産地、ユーザーとともに歩んできたデザインカンパニー
アッシュコンセプトは「デザインで社会を元気にする。」ことを目指し、代表の名児耶より2002年に設立したデザインカンパニーです。
happy、hello、hahaha……「 h 」からはじまる言葉には、心を豊かにする響きがあります。手のひらにおさまる小さなモノづくりや、企業や産地との取り組み、店舗を通した街の活性化。それらを実現する私たちのデザインも、「 h 」からはじまる言葉と同じく、温かなものでありたい。そんな思いから、アッシュコンセプトはスタートしました。
オリジナルブランドのひとつ「+d」は、デザイナーがモノに込めた想いやメッセージを世界に届けるブランドです。2002年に初めて製品化したシリコーン製の輪ゴム「アニマルラバーバンド」をはじめ、100名を超えるデザイナーのメッセージやアイデアを形にしています。
ほかにも、ユーザーの声を元に暮らしの新しいスタンダードを提案する「h tag(アッシュタグ)」などのオリジナルブランドや、モノづくりのプラットホームとして、数多くの企業や産地のお手伝いをするデザインコンサルティング事業も手掛けています。
2012年には直営のデザインギフトショップ「KONCENT(コンセント)」をオープンし、現在は国内外にショップを展開しています。オリジナルブランドや、デザインコンサルティングにより生まれた数多くの製品を中心にさまざまなアイテムを揃えています。
また、創業時よりスイス生まれのゴールドフィルターの輸入総代理店事業を行うなど、20年以上に渡りペーパーレスコーヒーフィルターの取り扱いに携わる中で、紙を使わずとも楽しめるコーヒーの可能性を探求してきました。
波佐見の大ベテランが作るセラミックフィルターに感動。新ブランド立ち上げへ
アッシュコンセプトは、+d「Kinome」の製品化にあたって、市場にある様々なセラミックフィルターに触れ、飲み比べた結果、産地や製造方法、フィルターの目の粗さ、色味など、同じセラミックフィルターでも、各社に個性があることがわかりました。それぞれ味と使用感を見定め、最終的には一口目に自然においしさを感じ、澄み渡った味に感動した窯元に製品開発の相談をしました。
そこで出会ったのは、長崎県波佐見の70歳の大ベテランがつくるセラミックフィルターです。機能や形状を探り、試作を重ね、窯元にはモノづくりの大切な心をいくつも教えてもらいながら開発が進みました。
開発を進める中で改めて心を動かされたのは、ペーパーがいらないという、サステナビリティに優れた点。それ以外にもお湯を注ぐとフィルター全体から染み出るようなユニークな抽出感や湯気を纏う美しい瞬間、繰り返し使用しても味にブレがない品質、そして何よりも雑味が少ない、澄んだ味わい、まろやかな口あたりに感動したと、名児耶代表は話します。
アッシュコンセプトは「Kinome」の製品開発をきっかけに多孔質磁器という素材に出会い、この感動、味わいを世界に広めたいと窯元と夢を語り合いました。そして、素材が持つ機能性の高さや魅力をよりダイレクトに伝えたいという点から、新たなブランド「cerapotta(セラポッタ)」が生まれました。
機能に着目し自然と導かれた形状、雨粒が滴るような抽出。五感でコーヒーを楽しむ体験を
「cerapotta」の第1号製品は、コーヒーを淹れることに集中したデザインとして『セラミックコーヒーフィルター』に決定しました。デザインは「Kinome」も手がけたデザインユニットwah(ワー)の2人に依頼しました。「Kinome」と「Kinome L」の開発で触れてきた素材と改めて向き合い、コーヒーが日常に与えてくれる喜びを見つめ直し、概念からデザインを話し合いました。
形状は一度「Kinome」から離れ、大胆な丸や三角、四角形など様々なデザインで試作しましたが、コーヒー豆とお湯が触れ合う適切な時間や、素材が目詰まりしづらい水圧の加減など、コーヒーを淹れる道具としての機能に着目していくと、大枠は自然と導かれました。様々な形状や容量のテスト段階でも、wahの2人は常に美しいシルエットラインを提案してくれました。
また、バリスタにおいしいコーヒーを淹れるコツをヒアリングした際の、一番最初のアドバイスは「スケールを使うこと」でした。毎回どれぐらいの豆を使用しているかを把握することが、安定した抽出には大切です。そこで、フィルターの内側には4本の平行線を引きました。スケールが無くても線があることで、マグカップ1杯〜4杯分を想定したコーヒー豆の分量目安がわかります。
そして、最終的にこだわった点は底面の形状です。底面はフラットではなく、少し内側に凹んでいます。膨らんでいるもの、フラットなもの、凹んでいるものなど、試作と試飲を重ねベストな形状にしました。凹ませることで、抽出時にコーヒーが生まれる流れが分散し、まるで雨粒が滴るような風情を創り出します。コーヒーを待つ間に、雫が垂れゆく音や、穏やかで豊かな時間を演出します。
道具としての佇まい、淹れる所作、抽出した雫が雨粒の様にぽたりぽたりと落ちてゆく音と時間。味、香り、湯気、雫、温度、舌触り、五感でコーヒーを楽しめるデザインを目指しました。「セラミックコーヒーフィルター」は、世界中の方にコーヒーの新しい体験を届けます。
長崎・波佐見の職人が手仕事で作るコーヒーフィルターは、長年の研究によって生まれた
「セラミックコーヒーフィルター」は、400年の歴史を持つ長崎・波佐見焼の伝統と、多孔質セラミック製造における最先端技術により製造しています。成形、乾燥、窯焼成工程のほとんどが長崎の波佐見で、職人の手仕事によるものです。
製造のパートナーである波佐見の窯元の職人は御年70歳。産地に生まれ育ち、物心ついたときから磁器に触れ、今も製造に携わっている方です。彼は自身の生涯でセラミックの可能性を世界に届けたいと、1200度以上の高温で造る多孔質な焼き物で液体、気体…様々なものを清浄する新技術を日々研究開発しています。
「セラミックコーヒーフィルター」では、素材を混ぜる時に水を極力使わず、小さな粒子と大きな粒子が均等に混ざった状態で成形することで機能面での個体差が少なくなり、目詰まりしづらくなっています。
10年以上の歳月を重ね、独自の多孔質セラミックの技術にたどり着き、技術が完成した今でも、日々より良くするため素材や製造方法の研究を続けています。現状にとどまらず、常に変化、進化することがこのセラミックフィルターのモノづくり、デザインの根底にあります。
美味しく簡単、環境にもやさしい 「cerapotta セラミックコーヒーフィルター」で新しいコーヒー体験を
「セラミックコーヒーフィルター」は、髪の毛よりもさらに細い5μm(マイクロメートル)の孔を持つ多孔質素材を通り、微細になった水の分子が、飲み物全体をまろやかにし、味を引き立たせます。ディープにもライトにも、好みに合わせて手軽に濃さや風味を調整できるのが特徴で、1〜4杯まで一度に淹れられます。
使用後のメンテナンスは水で洗い流すだけ。素材そのものが持つ防汚効果で、目詰まりしにくくなっています。ドリップスピードが遅くなってきたり、酸味を強く感じ出したら、フィルターの目詰まりによって抽出力が弱まっている“お手入れ”が必要なサイン。煮沸や電子レンジで簡単にメンテナンスが可能です。
ペーパーフィルターを使用せず繰り返し使えるため、ゴミ削減にもつながります。
また、貴重な素材を大切にしながら製品をつくりたいという思いから、製造工程を見直し廃棄物を削減すると共に、素材の色を活かした製品にすることでリサイクル性を高め、環境負荷の少ないものづくりに取り組んでいます。
イージーメンテナンスなのに半永久的に使える、地球にやさしい「cerapotta セラミックコーヒーフィルター」で、新しいコーヒー体験を手軽にスタートできます。
コーヒー好きから第一線で活躍するプロまで、広く認められる存在になりたい
「cerapotta」の目標は、コーヒー文化の中でも広く認められる存在になることです。セラミックフィルターは30年程前から存在しており、過去使用したことがある人も一定数いるものの、目詰まりへの懸念や、手入れの手間(火入れ等)からまだまだ一般化していない部分があります。それらの難点をひとつずつ改良し生まれたのが「cerapotta セラミックコーヒーフィルター」です。
コーヒーの文化はそもそも海外から流れてきたものですが、サードウェーブは日本の喫茶店をきっかけとして生まれたと言われているように、日本からコーヒー文化をより発展させるモノが生まれることもあると考えています。私たちは「cerapotta」もそういった可能性を持つプロダクトだと信じています。これから国内外問わず広く発信していき、コーヒー文化の中でしっかり浸透するものにしていきたいと考えています。
2023年4月、アメリカ・ポートランドで開催された「SPECIALTY COFFEE EXPO」に初出展した際、メキシコのバリスタチャンピオンで世界大会にも出場予定の方など、プロの方にも興味を持っていただけました。また、バリスタの元日本チャンピオンの方にも「澄んだ味わいを表現できる」と感想をいただいています。
蔵前のロースタリーカフェ「WESTSIDE COFFEE」では、製品の販売だけでなく、実際に業務用としても導入いただき、「セラミックコーヒーフィルター」を使用したハンドドリップコーヒーの提供も始まりました。
日常的にコーヒーを飲まれる方はもちろん、コーヒー1杯に人生をかけているようなトップクラスの方達にも浸透、受け入れられるブランドに育てることが当面の目標です。その先には、コーヒー以外の日本茶、紅茶、水、お酒などへの展開も広げられると良いなと考えています。
セラミックフィルターは今のところ日本でしかつくれない技術です。そんな技術を世界に届け、「cerapotta」を通して、愛され続けていくコーヒー文化をより美しく豊かなものにできればと思います。
製品はアッシュコンセプト直営のKONCENTをはじめ、全国のライフスタイルショップやオンラインショップにて販売しています。この機会にぜひご覧ください。
cerapotta
official HP:https://cerapotta.jp
Instagram:https://www.instagram.com/cerapotta.jp/
KONCENT:https://koncent.jp
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