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子どもの「外あそび」を推進する三重県生涯スポーツ協会。地域の子どもたちの健康づくりの取り組みとは

著者: 特定非営利活動法人三重県生涯スポーツ協会

 特定非営利活動法人三重県生涯スポーツ協会は、子どもたちの遅い就寝や運動不足、デジタルデバイス使用時間の増加といった健康を脅かす生活習慣の乱れに対して強い危機感をもっています。子どもたちは、日本の未来を支える「社会の宝」であり、その健全な成長を支えることは、今の私たち大人にとって重要な課題です。


 そこで、当協会は、2021年度から「外あそび」の推進活動を展開しています。「外あそび」には、子どもたちの運動能力を向上させ、近視の増加を防ぐとともに、生活習慣の改善や社会性を育むという多面的な効果があるからです。


 このストーリーでは、なぜ、当協会が「外あそび」を推進するのか、その必要性と代表の熱い思いについてお伝えします。さらに、「外あそび」の充実が子どもたちにどのような影響を与えていくのか、そして今後の展望についても触れていきます。


 当協会の取り組みが、より健やかな子どもたちの成長を促す一助となりますように。



「こどもまんなか社会」の実現に向けて動き出した日本で、子どもの健康づくりに多くの課題が

 2023年4月、「こども家庭庁」が設置され、「こどもまんなか社会」の実現を目指す政策が推進されていきます。常に子どもの最善の利益を第一に考え、子どもの視点で、子どもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子どもの権利を保障し、子どもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しする基盤となることが期待されます。


 しかし、近年は、子どもの睡眠習慣の乱れやスクリーンタイムの増加、外あそび時間の減少など、健康管理上の問題が顕在化しています。また、飛躍的に発展している情報化社会では、子どもたちがタブレットやパソコンを日常的に使用し、スマートフォンを持つことが一般的な社会になりました。疑問が生じれば、いつでも、スマートフォンで検索し、買い物はキャッシュレスで行い、時間つぶしには、どこでも動画視聴やゲームを楽しんでいます。さらに、小学校でも児童に1人1台のICT端末が配布され、学校活動においてもデジタルデバイスを使用する機会が増えています。


 それらも要因となり、子どもの近視が低年齢化し、拡大しています。これからの社会において、デジタル化のさらなる進展は必要とされます。また、次世代のデジタル人材育成の観点からも、早い時期からデジタルデバイスに触れる機会を増やすことは必要とされるでしょう。しかし、デジタルデバイスの普及のスピードに比べて、子どもの近視の発症予防・進行抑制の取り組みは、明らかに欠如しています。



サステナブルな社会を目指して「外あそび」の推進を決心した

 2020年12月の理事会にて、理事長の竹田昌平は、「外あそびの推進を社会貢献活動の柱にしよう」と提案しました。それまでに竹田が得ていた子どもの生活習慣に関する状況や外あそびの効果などが説明され、専務理事の橋川恵介や理事の木村達也に賛同を求めました。竹田の「事業として直接的な収益を見込めるものではない。しかし、その価値は別。子どもたちの近視予防に寄与し、体力と運動能力を向上させ、健全な生活習慣の形成を助けることで、次世代の子どもたちが健康で活力に満ちた生活を送ることができる未来をつくるための社会への貢献であり、サステナブルな社会への貢献に価値がある」との熱意に、両理事は感銘を受け、橋川からは「私たちにしかできない緊急性の高い社会貢献活動」との発言もあり、3人は新年度からの「外あそび」の推進を決心しました。


 これにより、2021年度から、子どもたちの近視予防や体力、運動能力を高める取り組みとして、さらに、生活習慣を健全化することを目指して、「外あそび」の推進活動が進められていきます。



正しい情報を知ることからスタート。県内の幼児の生活習慣を調査

 私たちは、「外あそび」の推進にあたり、子どもの健康福祉の第一人者である早稲田大学の前橋明教授が提唱されている子ども健全育成に関する理論や発表されている研究結果を学ぶことから始めました。さらに、三重県内の状況を把握するために、鳥羽市や東員町の関係者から協力を得て、全園を対象に幼児の生活習慣調査を実施しました。例えば、鳥羽市の幼児では、21時30分以降に就寝する男児が52.4%、女児が47.1%であることが明らかとなりました。また、降園後に外あそびや運動をする時間が30分以内の幼児は、男児が41.5%、女児が52.9%であることもわかりました。広域的な調査ではありませんが、三重県内においても就寝時刻の遅れや外あそび・運動時間の短い傾向にある可能性がわかりました。



「外あそび」を学ぶきっかけと「外あそび」推進の仲間づくり

 子どもたちへ「外あそび」を広めるには、当協会だけの取り組みでは、明らかに不足しています。そこで、「外あそび」について学べる機会をつくり、一緒になって「外あそび」の推進に取り組める仲間づくりの活動を行うことにしました。


 2022年4月には、「渋谷どこでも運動場プロジェクト」でスポーツ庁の「第1回Sport in Life 2021大賞」を受賞された一般社団法人TOKYO PLAYの代表理事である嶋村仁志氏を三重県津市に招き、「子どもの未来を創るプレーパーク&プレーリーダー」をテーマに外あそびの勉強会を開催しました。英国の大学で専門的にプレイワークを学ばれ、実践されてきた経験や冒険遊び場に関する事例などのお話を聞き、あそびの本質を理解するための機会となりました。


 同年8月には、鈴鹿大学(三重県鈴鹿市)にもご協力いただき、「第1回外あそび推進スペシャリスト養成講習会」を三重県鈴鹿市に誘致しました。講習会では、早稲田大学の前橋明教授や京都ノートルダム女子大学の石井浩子教授など、多数の学識経験者の皆さまが講師を務められ、子どもの現状や「外あそび」のあり方、具体的な展開の仕方、環境づくりの基本、安全指導・安全管理の方法などを学ぶことができました。また、2023年7月には、当協会と三幸株式会社が「第3回外あそび推進スペシャリスト養成講習会」を再び三重県桑名市に誘致し、講習会を開催していただきました。


 近年は、スポーツチームやスポーツ教室へ参加する子どもたちが低年齢化していると言われています。一方で、子どもたちが外であそぶ時間は確実に減少しています。こうした状況を改善するため、スポーツチームやスポーツ教室を運営するスポーツ団体・企業は、外あそび推進の重要な担い手になる必要があると考えています。子どもたちは、「外あそび」の経験を通じて、身体を動かすことの楽しさや爽快感を覚え、自然と運動やスポーツへの興味を持つようになる可能性があります。これは、生涯に渡ってスポーツを続ける基盤となり、スポーツ愛好者の増加に繋がると思います。したがって、スポーツ団体・企業が「外あそび」について学び、「外あそび」の機会をつくることや「外あそび」の必要性についての情報発信が期待されます。


 その他の活動として、当協会は「外あそび」推進の取り組みにおいて得られた知見を「外あそび推進の啓発チラシ」として、これまでに約30,000枚を保育者や教育関係者、保護者などに配布しました。私たちはこの啓発活動を通じて、外あそびの理解を深め、子どもたちが外で自由に遊べる社会を推進することに尽力していただける仲間づくりをしています。



都市公園を活用した「外あそびフェスティバル」の開催

 2023年4月、子どもたちの遊び場として人気のある津市の都市公園「中勢グリーンパーク」は、Park-PFIの活用により、公園施設が充実しました。さらに、指定管理者制度が導入され、民間企業のノウハウによって魅力あふれる公園づくりが推進されることが期待されています。そこで、2023年4月1日には、中勢グリーンパークのリニューアルを記念して、指定管理者の三幸株式会社との協働により「外あそびフェスティバル」を開催しました。同イベントには、前橋明教授や外あそび推進スペシャリストの野村卓哉氏にもお越しいただき、多くの子どもたちや保護者の皆さまに、心が動く外あそびの楽しさをしっかりとお伝えすることができました。



「外あそび」について、三重県生涯スポーツ協会が伝えたいこと

 近年、放課後の学校や公園の利用が制限され、習い事が増加し、デジタルデバイスが日常生活に浸透するという状況が進んでいます。それらの要因によって、子どもたちが自然の中で遊ぶことや友達と自由に外で遊ぶ時間が急速に減少しています。しかし、子どもたちの健全な成長を考えると、「外あそび」は必要不可欠であり、それを奪うことは子どもたちの成長を妨げます。「外あそび」は、運動を通じて健康的な生活リズムを確立させ、身体的・社会的・知的・精神的・情緒的な側面のバランスを整えるための助けとなります。また、骨の発達や自律神経機能の強化にも効果的です。さらに、子どもたちが自由にルールを定めて遊べる「外あそび」は、前頭葉の発達を促進させ、学習能力と社会的適応力の向上に寄与します。「外あそび」は、子どもたちの「生きる力」を養成し、社会の未来に貢献する自立した人間形成を助けるためにも非常に重要な活動です。そして、近視の低年齢化や拡大が進む状況に対して、台湾やシンガポールのように屋外活動を充実させることによる近視の発症予防・進行抑制の取り組みは、すぐにでも導入すべきことです。


 子どもの成長段階に必要であり、子どもの目を守るための「外あそび」が、政策として広く推進されることや保育者、教育者、保護者の「外あそび」への意識が高まることで、子どもたちのカラダとココロが喜ぶ「外あそび」の時間が増えることを願っています。





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