丸中株式会社が“ネックギア・ダンシャット”の開発をすすめた理由
産地の技術を集約して桐生の技術を広める【丸中 株式会社】篠田です
弊社が立地する桐生産地は、伝統的な技術を継承する帯・着尺や服飾工芸品などの和装関連商品や、婦人服地・インテリア資材などの洋装の商品など、単なる織物産地の域を越えた編み物、縫製、染色、後加工等、複合的な技術集積を有する生産地となっています。
弊社は、桐生産地の優れた技術と日本の伝統文化を、現代のライフスタイルに合った形へと再デザインすることで、新しい商品を開発してきました。
この度は、異業種遠方の企業「ヘルメット潜水(株)」様の協力を頂き、夏冬とも役に立つネックウォーマー・クーラーの開発を進めた裏側をお伝えします。
開発のきっかけ
真冬の雪の降る中、車の中から交通誘導員の姿を見て寒い中仕事は大変だろうなと思いました。
繊維の加工技術を通して快適に仕事ができる製品を作ってあげることができないかと
思いました。
空気層を多く持たせた構造の服は、着ぶくれの状態になり、動きが鈍くなります。
ストーブや、温風ファンを外で使いうことは、現実的ではありません。
カイロなどで背中や腰をあたためてもなかなか温度の調節が難しいものです。
そこで、昔からよく「首の後ろを温めると、手足が暖かくなる」と言われていました。
着用の負担を軽く、効果が上がる首に焦点を当てて開発を進めることとしました。
商品開発を進める中で出会った障害
桐生は、繊維テキスタイルの製造基地であるので、マフラーなどの首回り冬用商品は、
昭和の初期から製造されていました。
しかし、首周りをもっと積極的に、安定的に保温するには、機能が不足しています。
よりもっと柔らかく快適に温める機能を持たせるには、何らかの発熱体が必要であると
考えました。
残念ながら桐生近辺では、発熱する製品を生産する工場がありませんでした。
そこで、10年近く日本のもの作りのショールーム「Japan creation space
monova」を運営し、デザイン開発を共にする杉原さんに相談しまた。
このショールーム「Japan creation space monova」に同じく出展している会社に、
ヘルメット潜水(株)さんがありました。
この大分県のヘルメット潜水株式会社は、ウェットスーツ素材を使った湯たんぽブランド「CLO'Z(クロッツ)」を展開しこれまで約50万個の販売実績を上げている会社です。
こちらの伊賀社長さんを紹介いただくこととなり、おめにかかることができました。
開発のきっかけをお話ししたところ快く協力を申し出ていただけました。
もともとあった首用の湯たんぽを原型としてシルエットなど若干の改良を加え試作いただきました。
これを“くるみ保持する”首周りのネックウォーマーの開発は、いつもの仕事の一環にあるため短時間で開発できました。
開発中に出会った第二の障害
試作品を手に仮説通りであるか知り合いの工事関係者に意見を聞きに行くことにしました。
ところが、「冬暖かいのはありがたいが、実は夏の暑さはもっと辛い。命の危険度も
高い。」というお話でした。冬だけでなく夏のほうも辛いという現実があることにここで初めて気づかされました。
心配しなければならない季節は、夏が重要でありました。
日本には古くから氷枕や、氷嚢がありました。
氷や水を入れることで体温を下げていました。
開発した湯たんぽを氷枕として使うにはどうしたらよいか、再度企画会議を行いました。
湯たんぽごと凍らせておおきな氷の塊を作ることが近道であるという結論に至りました。
幸い、水を入れて家庭用の冷凍庫で一晩置くことで氷となることが確認できました。
夏用途での使用を想定していないため物性面、機能面の評価を群馬県繊維試験場に依頼しました。
実験は、外気温37℃の恒温室に8時間時間とともに温度を測定しまた。
結果は20℃近辺を5時間保つことがわかりました。
こうして、夏にも機能を発揮できることが確認できました。
本体の仕様が決まったので、洋服の生産も手掛けている弊社は、ファッション製品の生産スキームに入ることができました。
デザイン性を高めるため、パタンナーには、長年デザイナーブランドの型紙を起こしてきたヒワタシデザインワークスさんに依頼しました。
カバー用の素地は、夏用は、紫外線、熱線を反射するといわれるポリエステルテキスタイルを使用しました。
冬用は、原糸が弱赤外線を発するといわれるアクリル糸を使い、セーター編み機で制作しました。
今後の展望
こうして多くの方の協力を得て暑い時寒い時にお役に立てる“ダンシャット・クール・
ウォーム・ネックギア”は完成しました。
新商品の発表の場であるクラウドファンディングサイト“マクアケ”さんから発表させていただき市場の評価を仰いでいます。
ファンド終了後は、弊社独自のウエブサイトから情報を発信し、年間を通して広く周知を頂く予定です。
引き続き繊維の加工技術を通して皆様の生活を快適にする製品を創出するために力を尽くしていく所存です。
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