オフィスビルの盲導犬・聴導犬受け入れに関する現状 ~私が企業立ち上げ時に入居するオフィスを決めた理由~
KindAgent株式会社は今年2月よりサービス提供を開始し、障害のある方や働く事に工夫が必要な方に特化した転職支援サービスを主軸に事業を展開させていただいております。
事業開始に向けて準備を進めていく中で、オフィスビルの賃貸に際し、盲導犬の受け入れが出来ないというオフィスビルが非常に多い現実にぶつかり、入居先を決定するまでに苦戦を致しました。その際の経緯を振り返りながら、盲導犬を取り巻く社会課題とKindAgentのビジョンついてご紹介させていただきたいと思います。
【独立を決意~オフィス探しをしても全く候補が見つからない…】
独立を決意すると、法人設立の手続きやホームページの作成等といった重要なアクションの一つに自社のオフィス選定というものがあると思います。障害者や働く事に工夫が必要な方に特化した転職支援サービスを提供する弊社にとっても非常に重要な要素で、オフィスが有料職業紹介の免許要件を満たさなければならない事はもちろん、個人のお客様、とりわけ視覚障害のある方の盲導犬や聴覚障害のある方の聴導犬が入館が出来、きちんとキャリアカウンセリングが出来るオフィスビルでなければなりません。
そういった前提条件のもと、さまざまなオフィスビルにアプローチし、お話を聞いて回りましたがいずれも盲導犬・聴導犬の入館について「ペットは入館NG」という運用規定との事から厳しい回答をいただくケースが続いてしまいました。
その都度『盲導犬・聴導犬はペットではない※』というご説明をしましたが、なかなか理解が得られず、とても悲しく悔しい思いをしました。
【エキスパートオフィス麴町と出会う】
そういった状況の中、エキスパートオフィス麹町のレンタルオフィスを内覧する機会があり、これまでと同じように事業の概要をお伝えし、盲導犬・聴導犬ユーザーの受け入れについて要望をさせていただきました。これまでと同じような回答を、半ば諦めのような気持ちで待っておりましたが、『社内で検討してみます』とのお返事をいただき、これはもしかするとOKかもしれない、という嬉しい期待に変わりました。
後日、なんと利用規則を変更し、身体障害者補助犬の受け入れを可能とする運用に変更する旨ご連絡をいただく事が出来ました。結果的に問題なく入居する事が可能となり、カウンセリングが実施出来る環境を整備する事が出来ました。エキスパートオフィス麴町さんのホスピタリティ溢れる対応と柔軟な姿勢に心から感謝し、感動しました。
【盲導犬を取り巻く社会課題】
私自身、これまで視覚障害当事者の方に多く機会をいただきサポートをして参りましたが、今回、当事者の方がどういった社会環境の中で日々生活をされているのかという事を疑似体験し、大きな社会問題であると感じました。
そもそも盲導犬・聴導犬を利用する方のお気持ちとして、少しでも遠くの場所に行ってみたい、初めての場所へも安全に快適に移動したいという思いから、ユーザーとなる方が多いというお話をよくお聞きします。
そういった思いがある一方で、社会の側は入館・入店を拒否するというケースが今でも多く見受けられます。酷いケースですと、盲導犬をいきなり蹴られてしまったり、電車から降りるよう暴言を吐かれてしまうといった体験をされた方もいらっしゃいます。互いに支援・サポートするという段階ではなく、拒絶・拒否するというレベルで扱われるケースが多い事に憤りを感じ、SDGs等で持続可能性が大いに注目される中で、この社会全体が今後どのようなアクセシビリティを実現していくのか、とても不安が募ります。
【KindAgentのビジョン】
こういった社会課題に対し、弊社は何よりも人への愛情とあらゆる人々の活躍をご支援するという姿勢を軸に事業展開していきたいと考えております。盲導犬・聴導犬ユーザーである当事者の方のお気持ちにしっかりと寄り添い、その方が社会の中で価値を最大化出来る機会を創出したいと考えております。
視覚障害者・聴覚障害者を含めた障害者雇用に関心のお有りの企業様はもちろん、盲導犬・聴導犬を取り巻く社会課題に関しご一緒に連携していただける企業様も募集をさせていただいております。ご興味をお持ちいただける方はぜひ弊社ホームページよりお問い合わせをいただければと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
※目や耳や手足が 不自由な人のお手伝いをする、盲導犬、 介助犬、聴導犬のことを補助犬と呼び、身体の 不自由な人のからだの一部であり、ペッ ト ではありません。公共施設をはじめ、いろいろな場所で補助犬 を受け入れることは、『身体障害者補助犬法』 で義務づけられています。
(厚生労働省ホームページ 「障害者福祉・身体障害者補助犬」より抜粋)
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