社会課題を解決する人材の発掘・育成を行う「オンライン版の寺子屋」令和志塾、開塾の裏側
みなさん、こんにちは。「令和志塾」代表の西田将浩と申します。
私は19歳から約20年間、「高校生への進路指導とはどうあるべきか」を問い続け、探究と実践を行って参りました。これまで高校生のキャリア教育にまつわるあらゆる教育プログラムを高校の課外授業に組み込んで頂き、継続的に実践して参りました。
活動の一つに、提携先の高等学校で、放課後希望者に集まってもらい、授業を行うもの(OCES 寺子屋事業)があります。少人数を対象として、建設的にプログラムを提供し、一人の生徒の発達成長に寄り添うことを目的とした事業です。2018年7月に福岡県立香椎高校での導入を皮切りに、同年9月に北九州市の自由ヶ丘高校(私立)で開講。2021年7月、福岡市の博多高校(私立)で3校目を開講。2021年度中にカナダ オンタリオのフォードアカデミー(中高一貫・私立)で4校目の開講を予定しています。
これまで、寺子屋事業では多くの高校生を対象とし、社会課題を解決する人材の発掘・育成を行って参りました。そして多くの塾生と触れ合い、塾生たちの自ら学びを求め、課題の探求や解決のためのアイデアを創出する姿に大変刺激を受け、この度、2021年秋、寺子屋事業のオンライン版「令和志塾」をスタートすることを決意しました。
ここでは私がどのような高校生達と出会い、刺激を受け、「令和志塾」スタートを決意するに至ったのか。そのきっかけとなった一つのイベントをご紹介したく思います。
カナダ、トルコ、日本の高校生の集い
2021年5月21日、カナダのフルフォードアカデミー(オンタリオ州の中高一貫校)と、トルコのサキップ・サバンチ・アナトリアン高校(イスタンブール)と、日本の高校生(福岡県立香椎高等学校、自由ケ丘高等学校、福岡県立八幡高等学校、九州国際大学附属高等学校に所属)と3ヶ国の高校生達が集い、World Creativity and Innovation Day(対話と発展のための世界文化多様性デー)※注1 をきっかけに集い、ワークショップを開催。参加者は計150名で、対話の際はコーティネーターのサポートもありつつ、原則英語で進行しました。
※注1
World Creativity and Innovation Day(対話と発展のための世界文化多様性デー)とは
文化多様性の価値や重要性に対する理解を深める機会である。具体的には、有形・無形文化財と産業から文化的表現の多様性に至るまで、文化の多様な形態を祝い、これらが対話・相互理解そして持続可能な社会・環境・経済にどう貢献するかを考える機会です。
参考URL1)
World Day for Cultural Diversity for Dialogue and Development 21 May United Nations
https://www.un.org/en/observances/cultural-diversity-day
参考URL2)
World Day for Cultural Diversity for Dialogue and Development丨UNESCO
https://en.unesco.org/commemorations/culturaldiversityday
自国の歴史を学び、アウトプットし、ディスカッションを重ねる
通常、「OCES 寺子屋事業」では、日本の同じ学校に通う高校生同士が、日本語で探究活動を行っております。今回は、国籍を超え3ヶ国で、言語も英語で行うことが大きなチャレンジであり、可能性を秘めるものでした。
今回のワークショップテーマの1つ目は、『明治維新とSDGsの関わり』としました。
日本における世界遺産「八幡製鉄所(福岡県北九州市)」の成り立ち、八幡製鉄所ができたことで起きた課題、それをどのように解決したかに触れました。一方で、カナダ、トルコにおいてどのような工業化が起こり、課題が発生し、課題解決を行ったかに触れることを通して各国の比較を行うこととしました。
目の前の同世代の異国の友人に対して心から興味を持ち、彼らの自国への想い・知識をベースとした議論が、国際社会の学びにじわじわと繋がっていくのを、参加生徒達はもちろん、学びをともにするコーディネーターも体の奥底から感じていきます。
そのような感覚を得る理由の一つは、英語を共通言語として議論を行っているからかもしれません。今回集まった日本の生徒達は、決して英語を得意としている生徒ばかりではありません。中には英語に対して苦手意識をもつ生徒もおり、これまで学んできた単語や熟語、文法をフル活用し、自分の想いを伝え、疑問点に対して質問をします。当然、母国語で話す際の集中力とはわけが違います。自身の伝える言葉も、相手からの言葉もより深く、頭に染み入っていきます。
2つ目のテーマは、『革命家たちを育てて松下村塾の志教育』。
江戸時代の鎖国はなぜ行われ、そして、なぜ開国したのか?その背景にある明治維新とは?また、明治時代の革命家たちを育てた松下村塾とはどのような教育システムで、どのような役割を果たしたのかを探求します。
また、同じくカナダ、トルコではどのような革命がおこり、革命に対して教育がどのような影響を与えたのかについても、各国の高校生に直接尋ねることで、自身の国際理解へ繋がっていきます。
なお、ここで上記2つのテーマ設定の理由について述べたいと思います。
私、西田は本ワークショップを行うと決めテーマを考える際、「世界文化多様性デー」の主要テーマである「文化」を軸としつつ、以下を理由として日本の文化の転換点である明治維新を取り上げることに決めました。
「志」という概念を考えた時、(ここでは詳細は割愛しますが)「日本の文化」とも捉えることができます。志教育のお手本である吉田松陰、松下村塾をテーマとすることによって、カナダ、トルコの事例についても知ることで、既存の知を超えた議論が行えることを期待しテーマ設定をしました。
加えて、塾生たちは直近で「松下村塾ではなぜ優秀な人材が輩出されたのか?」「明治維新とSDGsのかかわり」というテーマで山口県萩市に訪れた上で探究をしており、既に日本語ではアウトプット済みであり、英語でアウトプットを行う場としても非常に良い場であり、カナダ、トルコの学生にもより深く伝えることができると判断したためです。
結果として双方にとって深い探求、学びの機会となったと考えています。
一般的な知識を向上させる一番良い方法とは?
参加した生徒たちは、今回の活動を通して様々な感想を寄せてくれました。
今回は特に海外の生徒たちの声を一部抜粋して紹介いたします(日本語に翻訳済)。
- 私たちの一般的な知識を向上させる一番良い方法は、異なる文化の友人と会話をすることだと学んだ。
- 異文化を楽しく学ぶ方法が分かった。
- 違いは私たちをユニークにする。世界は大きな一つである。
- 私たちは多くの国から参加しているが、共通点があることが分かった。
- 日本の特別な情報を得ることが出来た。
- このワークショップの方法が本当に好きです。
- このイベントにみんな参加すべきだと思った。
私、西田は主催者として、これらの感想を非常に嬉しく感じるとともに、世界への可能性を強く感じる出来事となりました。
「私達の一般的な知識を向上させる一番良い方法は、異なる文化の友人と会話をすることだと学んだ」
この言葉に、今回のワークショップの価値が凝縮されていると感じます。
日本では「教師が教科書に書いてあることを教える」が当たり前だが、今後、PBL(令和志塾が教えるプログラムの一つ)の教育手法での学習も含め、「自分たちで探究した結果、いつの間にか教科書に書いてあるようなことがより深く学べた」ということが、これからの教育のスタンダードになると考えています。
それが国境を超えた学びで、更にいつもと異なる言語で学ぶ機会となれば、知的好奇心も、探究意欲も、行動意欲もいつもの数倍湧き上がり、生徒も当然ながら私も非常に興奮しました。そして、参加した日本人高校生はこのワークショップ後の、英語に限らず社会問題への探求、学習意欲は数倍にも上がっていることを実感しています。
今回のワークショップの幹事校、カナダのフルフォードアカデミー校長より、今回のイベントの価値と、今後我々と行うアフターズスクール事業への期待とコメントを頂きました。(日本語に翻訳済)
対話と発展のための文化的多様性のための世界の日(2021年5月20日)交流授業について
2021年5月20日、カナダのフルフォードアカデミー、トルコのベシクタシュサクプサバンチアナトリアン高校、日本の令和志塾が、オンラインで一堂に会し、国連が定める対話と発展のための世界文化多様性デーを祝いました。各組織の生徒は、自分たちで企画したショートワークショップで、それぞれの文化遺産を多角的な視点で発表しました。発表後のグループワークでは、参加者(他の学生、スタッフ、学校コミュニティのメンバー)同士の文化間の類似点と相違点、およびそれぞれの豊かさについての対話しました。この2時間のイベントは、9つの国の文化を16の会場で交流し、参加者は150人以上集まりました。この経験を通して、参加者とプレゼンターは、自分たちは何者であるかを学びました。私たち全員がどのようにつながっているか、何が違っていて、何が同じなのか、それらを学び、祝福しました。私たちは、ミャンマーの人々が直面する課題、南イタリアの文化を保護するための競争など、現在世界中で直面しているいくつかの国(文化)の課題についても注目しました。
生徒たちのワークショップでの感想を紹介します。
「私はさまざまな文化から多くのことを学びました。そして、私たちの文化と似たところもあると気づきました。このイベントは、異なる人々や世界中の文化が一緒になれば素晴らしいことを成し遂げることができると、私に教えてくれました。」
「私たちは異なる文化の異なる場所から来たとしても、お互いを理解し、私たちが愛するものを共有する天賦の能力を持っています。」
「私は、他の文化について知ることは、有益であるだけでなく、楽しいことでもあることを学びました。他の国のユニークな文化は、自分たちが誰であるかの一部を表現しています。それを共有することは楽しいことです。」
アフタースクールの交流授業について
私たちは、2021年の秋から、新しい日本の友達と、更にいくつかのイベントを開催する予定です。これは関係者全員にとって有益なことです。フルフォードアカデミーの場合、私たちの教育の視野とネットワークを広げ、生徒たちに新しいアイデアと仲間を紹介します。また、日本のパートナーには、フルフォードアカデミーの学習を紹介することができます。最高の教育の1つとして認識されているオンタリオ州の教育システムです。それは世界のカリキュラムであり、北米、ヨーロッパ、およびすべての主要大学で受け入れられています。
フルフォードアカデミーデュアルディプロマプログラムについて
デュアルハイスクールディプロマは、フルフォードアカデミーを通じて提供される専門プログラムです。留学生は、高く評価されているカナダ オンタリオ州の中等学校の卒業証書(OSSD)と、自国の高校卒業証書の2つの卒業証書で卒業します。
このプログラムは、大学への願書を提出する際の強力な武器となるため、他の生徒と差別化を図りたい生徒に最適です。
デュアルハイスクールディプロマプログラムは、柔軟性がすべてです。このプログラムは、完全オンラインで完了するオプション(リアルタイム)、国際的な学習経験をしたい生徒には、一つの夏にキャンパスで完了するオプションがあります。
フルフォードアカデミーについて
9年生の経路の内容:
この経路は、母国で9年生を修了した生徒が利用できます。
学生は母国で通常の学年に出席し、9年生、10年生、11年生を修了します。
高校の卒業証書を取得するために必要な12のコース。学生は2年間で、オンタリオ州中等学校の卒業証書(OSSD)を取得するために必要な7単位を修了します。
9年生の経路の学生は、一度だけデュアルディプロマプログラムを受講する必要があります
10年生の経路の内訳:
この経路は、母国で10年生を修了した生徒が利用できます。
学生は母国で通常の学年に出席し、9年生、10年生、11年生を修了します。
高校の卒業証書を取得するために必要な12のコース。 14か月の期間にわたって、
学生はオンタリオ州の中等学校の卒業証書を取得するために必要な7単位を完了します
(OSSD)。 Grade 10パスウェイの学生は、デュアルディプロマプログラムを1回受講する必要があります。
社会課題を解決する人材の発掘・育成の場を広く提供したい
今回こそ、海外の高校生との交流でありましたが、今回参加した日本の高校生達は普段「OCES 寺子屋事業」(後の「令和志塾」)で学びを深めています。「OCES 寺子屋事業」とは、現代の志士を発掘育成し、高校生が志を育む学び舎です。彼らは、高校の課外授業の一貫として寺子屋に参加。週に一度、寺子屋が提供する社会問題探求プログラムを受講する中で、同年代の仲間たちそれぞれの成長途上の志を聞き、意見を交えることで自身の志を探し磨いています。
冒頭でも述べた通り、寺子屋事業では多くの高校生を対象とし、社会課題を解決する人材の発掘・育成を行って参りました。そしてこの度、2021年秋、寺子屋事業のオンライン版「令和志塾」をスタートいたします。
令和志塾とは?
・Mission
令和志塾は、高校生が志を育む学び舎です。未来の社会問題を解決する人材を、発掘育成するために、高校生向けのプログラムを提供しています。塾生一人ひとりが真に自分に合った進路選択、職業選択できる状態を目指します。
・Program
高校生が社会問題を解決する
当塾のプログラムでは、高校生が社会問題を探求し、課題の特定から解決策の策定、さらにはアクションまでを行います。このプロセスを通して、志を醸成します。
・Curriculum
学習の先端研究機関と共同開発した独自のカリキュラムです。Problem-Based LearningやLearning Through Discussionほか、複数の学習メソッドを組み合わせることで、生徒のマインドとスキルを多角的に養成します。
・Coordinator
専門のコーディネーターが、塾生の探求活動を支援します。また、キャリアカウンセリングやコーチングなど、塾生の課題にあったサポートを行います。
・Social
地域や大学、民間企業や官公庁といった実社会と交流します。自分たちのアイデアをプレゼンテーションする機会、トップランナーへのインタビューを行う機会があります。
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