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もう一度横浜のシンボルに。願いの塔 横浜マリンタワープロジェクトにかける想い

著者: 横浜市
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もう一度横浜のシンボルに。願いの塔 横浜マリンタワープロジェクトにかける想い

◆七夕の夜。横浜マリンタワーに青い光が灯った


「願いの塔 横浜マリンタワー」プロジェクト(https://negainotou.marinetower.city.yokohama.lg.jp/)では、2020年4月から2022年3月(予定)まで修繕工事のため休館する横浜マリンタワーを活用し、「願いを集める」参加型ライトアップ等を実施している。横浜市文化観光局の關さん、菅野さん、建築局の宮田さんに、今回の取り組みへの想いについて聞いた。


「横浜マリンタワーって横浜のシンボルなんですか?」


横浜マリンタワーは、横浜港開港100周年にあわせ、1961年に市民の発意でみなと横浜のシンボルとして建設され、ピーク時には年間100万人以上が訪れるなど、市民に親しまれてきた。

しかし、約60年の間に、利用者は年々減少。さらに、決勝戦が横浜で行われるラグビーワールドカップ2019™、それに東京2020オリンピック・パラリンピックの開催期間を含む2019年4月から約3年間、修繕工事を行うことが決まっていた。工事期間中は、マリンタワーは全館休館になる。


「マリンタワーの利用者がゼロになってしまう。周辺の観光地への影響も心配だ」


横浜マリンタワーを所管している横浜市文化観光局観光振興課は、危機感を感じていた。そこで、「横浜のシンボルとしてもっと多くの人に横浜マリンタワーを知ってもらい、周辺の賑わいも維持したい」そんな想いから、工事期間を活用したプロジェクトが立ち上がった。


プロジェクトについて、協力して進めている事業者と話し合いを重ねる中、「マリンタワーはシンボル性が失われているかもしれない」菅野さんがかねてから感じていた懸念を話すと、横浜出身の担当者から意外な言葉が返ってきたという。


『そもそもマリンタワーって横浜のシンボルなんですか?』と。それがすごく刺さったんです。今回の事業は、工事中もマリンタワーを忘れないでもらう。周辺エリアの賑わいを維持する、向上させるのが目的。だけど、事業として忘れられない事だけでは足りなくて、現在のマリンタワーは、皆さんからどのように見えているのかを正しく認識したうえで、新たなシンボルとして、それ以上のものを新たに作らなきゃいけないと思ったんです」(菅野さん)


2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響で、横浜の地域経済も甚大なダメージを受けた。4月には緊急事態宣言が発令され、外出自粛が求められた。当初の事業予定にあった、周辺エリアの賑わいを維持する、向上させるという目的は、当面変更を余儀なくされた。


「当時は、何もかもが止まっていて、正直、この先どうなるかわからない状況でした。あまり知られていないと思いますが、もともとマリンタワーは、市民の想いや願いが集まってできたもの。こんな状況だからこそ、夢を語る場所があっても良いのではと思い、皆さんの横浜への想いや願いをマリンタワーに集め、それを<光のエール>として、横浜経済の再興を応援することにしました」(菅野さん)

 <写真>横浜市文化観光局観光振興課 菅野さん


こんな時だからこそ、横浜に願いを、エールを届けたい。


そうして新たなプロジェクト企画がうまれた。横浜のお気に入りの場所やお土産など、毎週出されるお題に対し、参加者はスマートフォンやPCから各々の思い出や願いを送る。集まった願いの数により、マリンタワーの光り方が変化する。自宅からでも、自分が送った願いによって灯されたマリンタワーを見てもらえるように、ライブカメラを設置。集まった願いは、横浜の店舗や事業者に届けることにした。


ライトが届かない!!


しかし、予想外の事態は続いた。


菅野さんの元に、事業者から一本の電話が入った。


「頼んでいたライトが届きません」


ライトは海外から輸入する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で届かないという。分かっているのは、それだけ。今どこにあるのか?いつ発送されるのか?納期の予定も立たない。


「今何がどうなっているか、サッパリ分からない。という状況が随分長く続きました。もともと7月7日にライトアップを始めるということにはこだわりがありました。願いを集めるんだから、七夕でしょう、と。ただ、直前の5月くらいになっても納品の知らせがなかったこともあって、正直、ライトアップは出来ないんじゃないかと思っていました」(菅野さん)


諦めかけた頃、海外の工場が再開。当初の予定よりはかなり遅れての到着だったが、なんとか間に合った。ライトが現場に届いたという連絡をもらった時には、職員同士、ハイタッチをして喜んだ。聞けば、その後、また工場は一時閉鎖し、日本への輸送も止まったという。横浜にライトが届いたのは奇跡だと言える。


急ピッチでライトの設置工事が進められた。


今回のプロジェクトにあたっては、もう一つ課題があった。すでにマリンタワーの修繕工事が始まっていたので、ライトの設置工事や演出を、工事と並行して行わなければならなかったのだ。


「修繕工事の設計が全部終わったあとに、文化観光局から急にライトアップしたいと話があって。工事中の建物を使ってのライトアップなんて、今までも、これからも無いと思います。工事中はどうしても大きな音が出るので、ご迷惑をかけてしまいます。だから、ただカンカンとやっているよりは、ライトアップで見た目がきれいになって良かったんじゃないかなと思います。先日は、専門誌の取材を受けました。注目される事業なんだなと改めて実感しました」(宮田さん)

 <写真>横浜市建築局 宮田さん


また、今回のプロジェクトでは、横浜経済の再興を応援するという趣旨から、地元の事業者や団体などの協力の元、毎週出される「お題」を設定している。事前説明に行くと、「ぜひ一緒に横浜を盛り上げていきましょう!」と賛同してくれることが多かったという。


「多くの方の記憶に残っている施設なんだなと改めて感じました。マリンタワーが建設された当時の想いが、形を変え、みなさんの中に残っている。このプロジェクトを通し、その想いを紡ぎ合わせて、マリンタワーのシンボル性を再構築していきたいですね」(關さん)

願いを集める役割から、願いを代弁してくれる役割に


「大さん橋から横浜の夜景を眺めたい」

「山下公園を友達と歩きたい」

「中華街で食べ歩きしたい」


横浜マリンタワーに、さまざまな願いが届いた。


「僕は、横浜スタジアムで大きな声でベイスターズを応援したい。という願いが印象的です。大きな声を出して応援ができない状況なので、コロナが落ち着いたらぜひ僕もやりたいです。今回、地元の方や県外の方、横浜の企業やプロスポーツチームなどと、マリンタワーを介してコミュニケーションを取れている環境がすごく良いなと思っています。参加者にとっては、マリンタワーの愛着を生み出すきっかけになると思っているので、工事が終わり、オープンした時に『あの時に願いを送って、光に反映されたマリンタワーだ』と思って、また来てくれると凄くいいですね」(關さん)

 <写真>横浜市文化観光局観光振興課 關さん


「願いを集める役割から、願いを代弁してくれる役割に。単なる風景じゃなくて、マリンタワーを見た時、自分の心が動くような存在になっていければいいなと思います」(菅野さん)


修繕工事が終わるのは、2022年3月末の予定。プロジェクトでは、今後も、人々の心に光を灯す企画を実施していく。



 ◆横浜マリンタワー「願いの塔」特設ウェブサイト

  https://negainotou.marinetower.city.yokohama.lg.jp/

 ◆公式Twitterアカウント

  https://twitter.com/negainotou_mt




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